小さな詩を書こうと思う
微生物のように
ゾウリムシのように
ミジンコのように
誰にも目につかないような小さな詩は
きっと誰の胸にも届かないだろう
この大きな世界に
小さな ....
カーテンの裾に星粒。
掌にのせると
溶けてしまいそうなので
そのままにして
靴下は
目に見えなくても
大丈夫
遠くで、
誰かが
静かに
幸せを見つけていますように。 ....
情緒に問題あり、と
言われた、三者面談で
帰り道、お母さんが
泣いていた、自転車の
荷台で、情緒の意味を
分かりかねていた
テンイヤーズオールド
西日のまぶしさだけ
息が詰まっ ....
琥珀色の教室の隅で
うずくまった
背中のよわい夕日が
一年後と
十年と
未来、のあいだに
消えてしまわないよう
お ....
■「知らない金属の話をしないでください」
■「ぼくと話しても、あなたが知るということはありません」
■「どこかへ金属が行ってしまったのです。話をしてください」
■「 ....
笑ってくれればいい
ぼくのシャーペンの芯から
世界と音楽が生まれるだけだから
好きなだけ笑ってくれればいい
きみの隣でひたすら
ギターを愛するだけだから
....
きみのりんかくをぬいあげていく
オルガンの重さが
ひかりににていて
急に
まぶたがいらなくなる
砂糖の
あじをわかりたくて
紅茶ばかりのんでいる、午後
猫が行った
声に体 ....
一.
青を
反故にした
空
よりも
事情がある
真昼につき、
雨はふらない
二.
鋏の持ち手が緑だったことから
分け合いたくない
ままの
手 ....
ビールは
駄目人間の味がする
どんな人間でも、
最後に行き着く場所は海なのだ
先生はそう仰った
私は 先生の指の先の
青だけ、見て
海を滲ませた
....
リアリティを損なった青春と
お金と服と安い性器
ふるえたのは端末化したぼく
薄くなったまぶたを伏せて応答する
欲しいのは ....
ねえ
世界から見ると
あたしは何色に見えるんだろう
置き去って寂しくした彼を思い出したりしない
ひとりじゃないから
バナナは好き
甘くて柔らかくて
でも
人前で食べるのは嫌い
なんだか
猿になった気がするから
■水槽に鳥を入れる。
■「その先はぼくが眠ることにするよ」
■日記からみた夢日記がそうであるように、夢日記からみてそうであるような日記を書くこと。
■ぼくからみた君が ....
もっと
高く 高く
宇宙まで
そこにも君が
あそこにも君が
さよなら
気泡みたいなことばを
無造作に夕暮れに飛ばしてみると
橙にすっと溶けていったのは
声が震えていたせいかもしれなかった
車輪の音、渇いた
ペダルを思い切り踏みしめて
陽炎 ....
ポケットが汚れ始めている
待合室は朝から眠たい
何かの整備工の人が
口を動かしている
語りかけるように
沈黙を選ぶ言葉があった
目を閉じようとすると
少しばらばらになる
水が優しい濃度 ....
彼が去りゆく
彼とは雲のことだ
君は歌う
君とは自然の音のことだ
僕は昨日から5度目の靴ひもを結び直す
僕とは見つめる目だ
彼女 ....
五時限目の
けだるい
プールサイド
微熱の
水飛沫と
君の呼吸が
うまく
混ざったら
わたし泳いでも
いいよ
反射していく夏
十七歳のまま
立ち止まって
しまえたら
ど ....
進みましょうか
あたたかい、厳しい光の下へ
それから百年後心は平和になり
あなたはまた洗濯物を畳みだした
だからもういいと思っておきたい
白いワンピースが揺れていました。
荒れ狂う怒号と崩れる瓦礫の山の中で、
白いワンピースが揺れていました。
もう動くものの無い街を照らす太陽が、
真上にまで移動して、
少女のうな ....
君によく似た笛に吹かれて
呪文になっていました
手紙と思っていたのは小さな扉でした
沈みながら走りましたが
波は見当たりませんでした
わーわーあー
詰まっています
あの魚に伝 ....
{引用=
甘えていたい
++
*
++++
* * ....
駅前に
都会が落ちていた
命のように
きれいだった
なくさないように
拾って
ポケットにしまった
そして
三年振りの待ち合わせに
僕は現れなかった
5
ささやきとゆめとで満たされている
乳白色の匂いが駆け巡り
スカートの裾と共に影がゆれる
したたかに群れるとりどりの手足に
手招かれるのは
おなじ匂いをさせる 少女
....
あのひとは淡いきみどりに似ていた
ひどくひどくつきおとすような感覚にまみれている
しんそこ愉快そうなわらいごえは
不似合いすぎて、なきそうだよ
いつでもどこでもやさしいひと ....
当てもなく靄を見つめ
少女は息を吸う
僕は沈黙を続けることしか許されない
取り巻く空気は新鮮すぎて
圧倒的な違いを要求された
それでも
僕は
少女とともにすることを決 ....
今日は霊園の日
場所を知らないので
どうやって歩くか知らないので
案内人に手をひいてもらって辿り着く
太陽のない青空の中に降りてみると
約束どおりあなたがいた
誓ったとおり覚えたままの ....
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