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光から溢れ散ばる蜜の束 あの子の耳を少しゆらした
手をとめて見てほら部屋の隅にある 打ち明け話のなれのはて
初めからやり直せたら戻したい一つ一つ一つの過去の間違い
やめていた酒をふたたび飲んでいる妻の写真が俺を見ている
ながいこと逢えずにいたら君の死が逢えない事のつづきに想えて
宝石が頭のうしろから採れる 親からもらった身体なのにね
夕立の跳ねて乾いてアスファルト 湿る私のおもたい体
どうしても遠いあなたと山椒の木 羽を乾かす若い蝶蝶
このままじゃ動けなくなるから行こう 猫は恋を終え 沙羅は咲いてる
なげうっ ....
「もうない」とつぶやく誰かがいないので「ない」がどこにもまだなかった日
十億年、と言わず千年くらいでも離れて見れば消えてなくなる
視点だけならどこまでも行けるので私が見えなくなるま ....
もう一人くらい私がいてもいい、はずなのにやはりいないのだ 雪
人あまたゐてそのうちのただ一人のみ我なりと知りし日のこと
風なのか
名もなき季節を通りすぎ
名もなき町をめぐる
僕らは
ひとつだけ朝をください。
この胸がいっぱいになる朝をください ....
自由という足枷を引きずりながら終点のない遠足に行く
等量のインクで書かれた二と十を異ならしめている、これが意味
眠りたいわけではないがこの脳が眠たがるから眠ってやるか
同じ穴から拔け出てもその先の世界がひとりひとり違った
良いものは良いと素直に伝えたい素直な目で見て良さを見つける
大雪で学校午後から休校で電車やバスは遅れてばかり
古い町白壁通り和の香り道行く人は外国の人
雨脚が激しくなってやがて雪長々 ....
通信が途絶えた時の液晶の色より外の夜は明るい
半ば幻なる他者のさはさはと脳裏にさざめきながらまた夏
その森の外にも森があり星を違う名で呼ぶ人間がいる
パン屑のかわりに記号の断片を撒きつつ歩む ここもまた森
出会いたい計り知れないこの思いインターネットの靄はらいのけ
暗闇に裸電球パッとつけ余計感じた部屋の暗さを
闇雲に歩きつづける愚かしさ辿り着けない道は狭まり
一度だけ産まれていつか一度 ....
進むべき道を間違え気がつけばひとり花火をみあげる桟橋
この距離が間に言葉を生んだから離れたままでいようこのまま
言葉という私に属さないもので構成されて今ここにいる
近づけば新たに何か見えるので何かがそこにあることにする
花を見てきれいだというわたしたち 人はこうして人を造った
無意味だと言葉にすればそれすらも無意味だという意味をもつので
半ば幻だとしてももうこれは眼を閉じるくらいでは消せない
もう誰が始めたかも覚えていない双六遊びの続く夕暮れ
苦痛には二つの消し方があってあいつはそっちを選んだんだな
眼を閉じて出所不明の光など見たくないから眼を開けている
そういえば君が残した落書きの・が彼方を見ている 今日も
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