かつて誰のために祈れただろうか
飾りのついた服を着て 街を歩いていなかったか
自らさいなむひとを見捨てなかったか
酒におぼれて遠ざけたものの数々
いまどこを旅しているのか
....
僕は世界に愛されているのだろうか ずっと不安だった
母の瞳の中に 僕はいたのだろうか そしてあなたの瞳のなかに
それらは僕の生を映す鏡 だからずっとみつめていたかったのだ
おなじものをお ....
夏の宵 風鈴さえも物静か 誰に別れを告げて過ごそう
すべてを溶かして夏が逝く 遠く僕らを置き去りにして
朝顔にそっと問いかけ返事待つ あの恋の行方こころの行方
短信の むこうに見 ....
拡散する
薄く透明に広がって止まない 大地は世界は 逗留するには狭すぎるから
陽光は優しく乾いた匂い 風の中に見えるもの それを慈しんで生きてゆきたい
心は風 すべての物の中に 僕は生き ....
不思議な朝
その日君は小鳥となって僕の庭から飛び去った
もぬけの殻の僕は夜通し泣いていたのだ
君と暮らした日々が心地よい音楽のように蘇る
僕達はアダムとイヴのように睦まじく ....
時にゆっくりと或いは急に速度を増して上下する人生
君は金の木馬に僕は銀の木馬に くるくると廻り続ける 音も無く
それはやがて闇に溶ける 美しい二人の風景だ
まるで回文のように行ってはもど ....
もし僕が君の瞳になれるとしたら どういう世界がうつるんだろうか
もし君の心が盗めるとしたら どこに隠しておこうか
僕は身に余る沢山の夢を持っていた 海の向こうに新しい地平線が見えていた
....
黴
家へ帰って早速チューハイを冷蔵庫からおもむろに取り出して
さて昨日の枝豆はと見るとなにやら白いものが付着している
黴の生えた人生 ふと自分のことを思う
人に期待もされず人にも ....
夢を見た 巨大なイベント会場での婚活パーティー 何故だか三人の息子達とタッグを組んでいる
現実には親父と息子が婚活で共闘するなどということは有り得ないが夢だからまあいっか
たぶん会場は本来 ....
僕は夢見る人が好きだ 当然僕もその種族だろう
ただ夢を見ながらも 自分と正対できたらいいと思っている
夢を見る自分を受け入れ それでも夢を夢となずける強さがあれば
毎晩暑苦しくて 真 ....
またひとつ哀しみに満ちた爪を拾う
またひとつ絶望で破れたこころを拾う
あなたの夢は何色ですか
Gからはじまる朝テンションコードのうえで踊るコーヒータイム
断裂の金属弦のはじける悲鳴うたが終って反転する夏
ジョンレノン忌 愛こそはすべてを歌う夜 ニューヨークの夏は優しい
アスフ ....
僕は君をスキャンしてもう一人君を作ってしまった
とても素直で良い娘だ ちょうど昔の君みたいに
3Dプリンターは存在しないものは作れないんだ
僕はまた恋をするだろう 3Dの君に
そして携 ....
僕は壊れたラジエーター星間飛行もままならぬほしのまにまに愛と彷徨う
ひかり差す君の右手を握りたくて闇に左手売り渡す
愛人とエデンの園をさがしに行くそれは太陽系の第三惑星
この街 ....
哀しい村を過ぎて丘を下る 教会の鐘が鳴る午後 マリアは涙を流す
礼拝堂は空虚で まるで僕の心みたいに 遠近法を失っている
君の庭園はとても静かだ 静謐という名の永遠
遥か高みを鳥が横 ....
小魚の様に無心に生きる 花びらの様に綻びる 風の様に巡り 夏の様に燃えさかる
春の様に流れ 雪の様に舞う 歴史の様に積み重なり 光の様に消滅するのだ
その姿は見えない 誰にもさわれない 湧き上 ....
弄ばれしものまたひとつこぼたれてかなしき玩具と呼ぶ
それは精緻に造形された官能の器官 僕は甘い夢をみている
君かどうかなんて問題じゃあないんだ その器官が好きなんだ
限りなく蠱惑するもの 熱く潤うもの 淫らな小宇宙
僕だけのマスコット ....
しどけなく綻びたる君の肉体をもてあましてはまた闇に還る
届かない手紙を書いてはまた破る君に伝える夢の断片
閉じられしノートに綴る短信を誰に伝えんこの夜の深さを
華やいだ季節が過ぎて 気がつけばまた一人
一番確かなことは 誰も僕の内面を知らないってことさ
まあお互い様だけどね
君は僕と違う橋をわたる それぞれ別の国を夢見ている
行きずりに眼 ....
かつて夏の日に幾千万の蝉たちが空へかえった
その日の灼熱はすべてを焼き尽くした 八月の焦土
大きな鳥の影が空を覆いポトリと卵を落とした
破壊と悲惨の卵 子供たちを奪い去った卵
何の大 ....
夜の光沈黙の歌冷たい道
お月様風にながれて一人旅
ふち子さんちょこんと座るマイコップ
愛しさを花びらにかえて月の夜
宇宙の種をはこんでくるのか流れ星
空虚なる心を照らす月 ....
流しにうず高く洗われぬまま放置された食器
とりあえず洗濯はするのだが部屋干しのまま畳まれることはない
読まない新聞が玄関に散乱している
居間の一角は得体の知れない整理しかけの古本がうず高い
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その鳥には名前が無い 永く忘れていたのかも知れない
その馬には乗り手がいない あまりに荒々しいから
その石には角が無い ずっと転がってきたから
僕は銀河の鳥の名前を知りたかった
....
ショッピングモールの雑踏にきみの面影ほのかにうかぶ
ラヴェルのボレロを聴きながらこの日常の主題をおもう
奥田民生の描く自由とさすらいそれを模範に生きてみたい
彼女にみたててもらった ....
しょーこ姉さんとショッピングモールへ行く
彼女の誕生日プレゼントを買いにそいでもってお昼にパスタでも食べようかって
姉さんといっても年下だが今年はダイエットするんだそうな
ジョギング ウオー ....
風が身の幅を寄せて悲しみを吹き渡る
蒼白な月はちょっと捻じれて孤独をうたう
僕たちは崖っぷちを降りたらしばらく水平を保って喀血する
航路を失った船は喪失を柔らかく受け止めて輝き
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テシ坊が死んだ
たまたま声が聞きたくなって携帯に電話をかけたら彼女が出て
去年亡くなったという
東京の西葛西に住んでいた頃膀胱がんになった
煙草もやめて摂生していたのだが
その後名古 ....
海原は果てを知らない だって地球を何周したって終わりが無いんだもの
地球は平面でその果てに大瀑布があるって そっちのほうがよっぽどスペクタクルで面白いが
空は蒼くその果ては悠久に続いている ....
写真の裏を見ると75年8月とある
セピア色の時間が流れている
若き日の自分と対面する
少しは成長してきたのだろうか
自分に問いかける
かなり厳しい時代もあったが ....
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