八月の子供たち
梅昆布茶

かつて夏の日に幾千万の蝉たちが空へかえった 
その日の灼熱はすべてを焼き尽くした 八月の焦土

大きな鳥の影が空を覆いポトリと卵を落とした
破壊と悲惨の卵 子供たちを奪い去った卵

何の大義名分も意味ないんだ子供たちにとっては
ただ夏の日をたのしみたかっただけなんだもの

いま空から子供たちの歓声がかえってくる
僕たちもかつては八月の子供だった
だから空から降ってくる哀しみがわかるんだ

じんじんするような青空を 
涙のでるような夏の空を思い出してみないか

ほら子供たちの歓声が聴こえる
きっと水遊びやとんぼ捕りや
それに宿題だってたまっているにちがいない

かつてぼくらは八月の子供だった
あのじんじんするような暑くて眩しい

夏の子供だったんだから






自由詩 八月の子供たち Copyright 梅昆布茶 2013-08-08 23:18:14
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