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彼を傷つけて解ったの
傷つくより傷つける方が辛いって

と言って彼女はまんまと
悲劇のヒロインになった


同じ頃


彼を傷つけて解ったの
傷つくより傷つける方が辛いって
 ....
満月の夜


犬みたいに吠える













君の名を呼ぶ









俺は君を愛し ....
私達は断崖に立っていた、震える左手は、あなたの背中を撫でていた、
寄せては砕ける波を眺めながら、ここには私達しか居ないね、と言いかけて、
逃げてきた世界から現実から、切り離されたような、心もとなさ ....
月を投げる所作で骨を嬲る

あなたよ
速度を落とし日に暮れ呼ばれ遊ぶあなたよ
春が待つようにして 白く落ちた嘆きがあるのだ
知らずして手をやる 水に揺れたのは破片であったか

 ....
花びらの裏側
紙吹雪を紙は憎んだ
たどりつけるがたどりつけない
たどりつけるがたどりつけない



何もなく明るいものを見ている
無いものをすぎる無いものを見て ....
六月にはなにも書けない
上昇し続ける温度と
いつでも雨を隠しているような
湿度に
脅かされて
六月にはなにも書くことが出来ない
消化出来ないものを胸の内に抱えて ....
すべてのものが途切れた
俺は寝床で
もやのような昨日までが
流れてゆくのを眺めている
あらゆるものの
スイッチを落とした部屋は
空気の音だけが
反響して

 ....
明日は無いと
知っていれば
生まれることも 無かった
ふりかえり、ふりかえり
遠のいてゆく
ふりしきる黒雨に。
ぬれながら

雲は
あつく
おもい出をはらみ
底も無く
どんより ....
長いトンネルを抜けると
また長いトンネルだった

不思議に思って
後ろを振り返ってみても
やっぱりトンネルだった

はるか前方を見ても
やっぱりトンネルが続いていて

入り口まで戻 ....
僕にも使命はありますか
十字架にとまった蠅が
呟いた
海岸線に寝ころんで
国の皮膚が破れたところを見ている
ざぶざぶと水が侵入しては
さらさらと砂を溶きほぐして
ありきたりに
去って行ってはまた侵す
起き上がり
波打ち際に立って
まだふれ ....
ふらちなよみのくにから来る男は
   死んだ者をむりやりたたき起こし 
   ふとどき者の口からなにごとか聞こうとする

その行為 その汚らわしい行為に
あしも ....
オキナワの方々はほんとうに県外に基地を移設することを望んでいるのだろうか

普天間の普

普遍の普

普通の普

オキナワの方々の普

その普を

享受したくても享受できなかっ ....
31
朝日は海の深いところに落ちている。

32
彼女は、彼の下駄箱に手紙が入っていたのを見て、代わりにポストに投函した。

33
彼がアルバムを整理していると、出会う前の写真に不自然なほど写り込む、 ....
21
恋人が血塗れの姿で、私の頭を凝視してくる。

22
砂を吐いていると、あさりがたくさん採れたね、とブルーの壁に区切られた丸い空から聞こえた。

23
科学者が妻に、ナスカの地上絵は飛んだのだ、と ....
降り出した雨で
黒い道路がいっせいに音を立てて
激しく破裂した。
アスファルトの色が、
より深い黒に染められていく。
落ちることしか出来ないのに
精一杯、地面を蹴り上げて跳ねたが ....
瞬間見えた隙間に
飛び込んで
五線譜に記された過去と未来を
現在に引き戻す
柔らかな肉の感触が
夢の中で甦る
もう少し先を見たかったのに
覚醒は強制だ

飛ぶ鳥がいなくなっても
空 ....
傷だらけになって

息も 絶え絶え

それでも

ゆっくりと 翳した

てのひらを

強引に 掴み

立たせてくれたのは

まだ まだ 若い


 ....
『テキサスの悪魔』って題名だが

題名なんか何だって良かったんだ


意味なんか


無い


問題は書いてるって事だ


俺は詩を書いてる


俺は詩を
 ....


足音が山道を滑り落ちていく、空と衝突するまでに必要な耳の数を質しながら。足元の岩から生え出ている昨日の私に、私と環境とを隔てる少年と筆談をさせる。それぞれの葉の色の量だけ枝の火力は増してゆく ....
太陽が東から昇ると
おれはまたしても踏みにじられる
あんたらの言う常識が
おれの体には流れていなかった
繰り返し繰り返し
針のとんだレコードみたいに


前を向け
あんたは言う
 ....
胸からぶら下げた
白いプラカードが標的の証


次々に降り注ぐ
憎悪のつぶて


血を吐き
涙を流し


それでも倒れることを許されず
ひたすら意味のないゴールを目指 ....
死んで焼かれて
骨だけになってみる
生きていた頃の面影は
煙と化し
白い骨が
朝日に照らされると
磨いた水晶のよう
他人の骨を混ぜてみても
誰にも分からない


骨を割っ ....
ふるい塗料で
世のなかに
送電線は雨や 風

紙粘土の鉄塔が
削り取られ
魚のように
崩れそうに

土草ミズ艸
田んぼ道の
泥濘む足元に

横たえられてら


目の前の ....
新雪の上にあし痕をつける代り鮮血を垂らす
雪の原(畑で可)に裸の女3人をしゃがませる
1の女は経血を垂らす
2の女は死産児を産み落とす
3の女は陰部にナイフが刺さっている

3人の女の流血 ....
床にグラスを叩きつけると
飛び散った破片が
キラキラと光っていた
光っていたものは
ガラスだけではなくて
僕の透明な内臓も
砂浜に打ち上げられた
海月のように
日に照らされて
光って ....
記憶していたものは嘘だった。
時計のアラームが鳴る。
すでに世界は光に満ちている。
思い返すほどもなく、記憶は消えていく。
夢は、触れた肌、触れられた肌。
夢は消えていく。
見えない冷たさ
夜の手のひら
わたしわたされ
ひらめく見えなさ


指に映る指の影
花でくるみ ひとつ剥がし
鳴る夜の外
夜の外


やわらかな針
風 ....
蝶には羽がある
カラスには羽がある
人には足がある

足が無くなって

夜を滑り込んで

昼に遊んで

友達がいなくなった

影法師

ノミに脳みそはいらねぇ

人には ....
叫びだろう
耳を塞ぎたくなるほどの
{ルビ詩=うた}だろう
目を背けたくなるほどの
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