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羽根を嫌った僕たちは
飛べなくなる事を知らずに
一心不乱に羽根を千切った。
飛べなくなった事を知った僕たちは
風に舞う羽根を見つめて
只ひたすら涙を流した。
川の終わる場所で
雨が止むときの風が吹く
旅が終わろうとしている
ちょっと長めの草を引き抜いて
ひらひらと振り回しながら
流れの方向に土手を歩いて
遠い雷鳴にも耳を澄ませる
波は流れ出よ ....
さあ 凍えそうな真夜中に
今すぐ外へ出ていこう
錆び付いた街は
今 全てが 凍りついててさ
人も 時計塔も
口うるさい 君のママも
今はきっと 夢の中さ
誰もが 忘れ ....
言葉なんていらないなんて言ってみる。
水族館はもう飽きた
ぼくらは都市を閉じ込めたかった
一瞬を
フラッシュをたいて、めをつぶらぬよう
外は豪雨と雷
出られないね、とつぶやいて
....
鏡のなかの じぶんを
こわすこと ぼくにも
儀礼の ときがあって
いまでも その破片が
胸郭に ささっている
眠り飽いても肉の身は
休みなしには居られない
文字も音も最早ただ記号
妄執にままに浮き沈み
醒める朝のおぞましき
皆揃いに揃って終息へと向かう
くたびれた終列車に乗って
規律正しい、けれど弱々しい
街灯の列へと突っ込んでいく
こうやって抜けていく
現実を
夢となぞって
ねえほら、もうすぐ
....
現在という塊の中から
わたしの輪郭だけを残して、わたしが
蒸発していく
夕暮れの空は赤く発光し、届かない高さで
じっとして居る
いったい、わたしは何に忘れられたのだろう
浮遊す ....
それは約束された儀式
かりそめの情熱
どちらが先に瞼を閉じるのか
けものの眼差しとなり相手の出方を窺い合う
わざとらしく歯を閉じ
拒んでみせるのは
初々しさをこころにまとい
....
公園の水のほとりで
老人が自爆している
ソフトクリーム胸に突き刺しながら
芥子色のニット帽が
つぶれて落ちている
喘ぐ声は、聞こえない
だ ....
放蕩のあとで
俺はまた女を抱く
女は女で 俺を抱いている
俺は抱きかかえられている
夕凪にかき消された
誰かの名前
*
白い肩の揺れる姿が
つめ ....
生首を抱えて逃げる 君はさしずめメデューサ
目を見てはいけない 目を合わせてはいけない
簡単に囚われてしまうから ね?
でもどうしてだろう 君の抱えているその首の顔
どこからどう見たって君 ....
教えてくれないか?良ければ
知りたくなかった
知ってはいけなかったんだ
俺はお前を見ようと目を閉じる
目を閉じなければ見えないんだ
どうしてもよそ見をしてしまう
どうすれば ....
絡めた指を切り落とし、
冷え切った声で
ささやいてやろうか?
「おまえなんか、大嫌いだ」。
かなしい水が水色からあせて
透明になるそあくな 貧相なるすい
目にとまらないかなしみ
人のとうとうのイルネス
闇に臥す病理
闇を服す心理
わたしと
あなたのもよおすイルネス
....
舗道
天象儀
展開
コロイド
眩暈
砂時計
遡及
吊り橋
覚醒
シグナル
郵便船
記号
万華鏡
平行線
庭園
シナプス
散乱
フェンス
溶解
....
落ちてゆきましょう
僕はもう自由になるのです
靴を脱ぎ捨てて
そう裸足で
底のない暗闇へ
光の雫を弾きながら
垂直に垂直に
風はいつだって僕の敵だった
髪を服を乱していたずらに
....
{ルビ海鳥=うみどり}は
{ルビ淋=さみ}しくないて いますよと
波間のふねを
そよ風が
帰っていって 透きとおり
なき声ひくく羽ばたいて
夕べの斜陽が今朝方に
燃え映ってしゃらしゃ ....
赤い部屋 鍵の束
黒い猫 稲光り
足音 足音 遠くなる
人影 人影 消え失せる
(君は知っているだろうか この感情が何かを)
禁じられた書 落ちる窓
目隠し鬼 白痴の横顔
雨音 ....
高層ビルの屋上から
飛び降りる
観覧者に手を振る余裕はないけど
地面の凸凹が鮮明に迫り
接地に至ろうとする瞬間
バサッ、と 翼が背中から
それは貴方かもしれない
観覧者に ....
今日は死ぬにはとてもいい日だ
草穂を揺らす風が吹く
ヒマラヤスギが黙然と立つ落日
強さの代わりに口を閉ざすんだ
風がすわりと立ちはらむ草原で
空気に重さがあるということを
彼らは厳かに ....
彼岸花が倒されていたのは覚えている
あれはどこだっけ
あれはわたしだっけ
晩飯のおかずを考える
家には
年寄りが居るから
エプロンをして料理をする
パジャマを着て寝る
そんなこ ....
草原のような爆薬
震えだすポケットは抗躁剤
いつだって宇宙から引き戻してくれるゴムの一筋
小気味良い内包を諦める音
意味なんて理解しようもない言語
束ねるや 地上の罵声
崇める ....
憂鬱を枕にして寝ている
夢に出てくるのはいつも君で
左手に握ったピストルの銃口から涙が零れている
薔薇が其れを吸って育っている
違う朝が来てもきっと考えてしまうだろう
エレベーターの ....
此処から視える世界は
何て判りづらいのだろう
街も、空も、君の笑顔も
総て朧げで、悲しい
やっぱり僕は
魚の気持にはなれないや
さぁ、早く出ようか
....
私は電気椅子に座って
頭をケーブルで繋がれ
闇の世界を支配している
一つの生贄は
民衆の意思によって
何時でも処刑する事ができる
暗闇の中
力なく項垂れた女の
十メートル後ろをつい ....
無いものねだりをするよりはと
秋の白い雲流れる堤防で
ひとり
清貧ということばの意味に思いを馳せる
それはあまりにも懐かしいことば
仄かなランプの灯かりを頼りに
見果てぬ夢を追い続けら ....
怖い夢を見た 気がする
目を覚ますと記憶からこぼれた感覚に襲われた
何もする気が起きなくて
しばらくぼーっとする
仕事に出かけ同僚より早くタイムカードを押す
瞬間的に押される時間 ....
煙草の煙が頭に染み付いている
医者がいくら胸部のレントゲンを取ろうが
脳が灰色に色付いているのだから
透視でもしない限り異常には気付かない
肺はもともとピンクらしいが
灰色の肺のほうが洒落て ....
桃の実は人を裁くと言う
僕が試験に落ちたとき
確かに桃の実はわらっていた
お前本当は桃の実じゃないだろう
僕はそいつをもぎ取り
皮をむいてみた
白くて柔らかい果肉があった
食べてみたら甘 ....
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