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不思議の森の叶えの樹は
どんな願いでも叶えてくれるそうな
その樹の枝は決して折れることはなく
とある男はその枝のおかげで
安心して首を吊ることができたそうな
ただ不思議の森に入 ....
ドラムカンの 外にはみだしてくる
火の勢いに のまれてく
窓から見下ろした 交差点
流し込んだ 健康飲料水
一回 千円のカットだけの看板
マラソンの金メダルのテレビ放送
セルフサー ....
窓際に並べた氷がとけていくのを眺めていた
わたし以外に誰もいない
広い部屋の中で
ひざをかかえるように小さくなって
息を潜めて
日が落ちて暗くなっていく
とけた雫か
わたしを伝って流 ....
今日から血が流れ出す
騒々と蠢く子供の叫び声
赤く染まった明日への希望の色
次第に黒味を帯びて世界は沈黙する
真っ黒な絶望・希望・沈黙は街を覆う
止せばいいのに飛 ....
モデル崩れで夢遊病持ちのレイナは
月も眠りについた真夏の夜に
四角い空に星を張り付けて回っている
いつか自分も星になれると信じていたけれど
最近は慎ましい結婚に憧れたりもする
プロボクサ ....
秘密は機密情報の様に隠されてる
密約し迂回する
そこに何かあるってだけで
通り過ぎるんだ
嗚呼いいかい?
俺には俺を象ってくれる先人達の意思がある
でもまだ足りないんだ
....
思考を止めて海で暮らす。
『海と宇宙は双子なの』と、晩御飯のホッケが最後に言ってました。
信じない僕は、
健全や偽善に塗れたまま。
だって、まさか、ねぇ。
....
足跡残す
砂地の軟らかさ
眠りの中の古い夢
絶え間なく風が動き
その中心から
連れ去られた
形 ばらばらに
ブルース聴かせて
友達がそう言ったのはいつだったろう
その夜に僕たちは並んで写真を撮った
この町を出ていくと聞いてから
僕は戸棚を漁って古いアルバムを捜しているのだが
少し ....
「ゆうれい列車」
ホームで下を向いていたので
うっかり
ゆうれい列車に乗り込んでしまった
しまった
向かい合った二列のゆうれいたちが
脚をそろえて腰掛けている
脚は途中か ....
不純物ゼロの氷の様な悪があったんですよ
歪な貌ではありますがね
私も迂濶で、指を切ってしまいました
しかし、この切り口も見事なものでね
当たり前の様に皮膚と皮膚とが離れていって ....
殺す殺す
彼は殺す
人を殺す
ひたすらに
ただ、ひたすらに
否
ひたすらに
悲鳴が聴こえる
鼓膜が破れる
血が吹き出る
飲んでやる
恐怖の目は
彼の目だ
急所 ....
酸素は息苦しくなった
どうも心地よく自分が循環していない
もともと組織とか社会というものに
馴染めるような体質ではなかった
求められるものに求められる分だけ
与えているだけで十分だった
そ ....
あなたの部屋の扉が内側から開かれて
はた、と目が合う
あいさつよりもさきに
わたしを射るように見つめる瞳の
恐怖、という快感
わたしをどうしようっていうの
と声もあげられず
....
爪の間から
ぼろぼろと、溢すのは
何年も前からの癖
何が溢れているかなんて、
知ろうともしないまま
昔話の中で
お爺さんは呟いていた
その空白にこそ
全ての答え ....
黒い炎に包まれた ぼくの無人のパラシュート
予言者たちの展覧会場に迷い込んでいる
狂った頭蓋骨のような鋼鉄の果実
夜の高速道路を疾走する 慎重な共犯者の告発
やがて廃墟の壁を手探り ....
お前を見た時から目玉の奥が痛ぇんだ
ズキズキと
きっとお前の睫毛が入り込んだから
取ってくれねぇもんかな
ぬるりと春の生暖かい風が絡みつく
重い足をひきずって進む帰路の真ん中に
う ....
俺達は、姦淫殺しを試してみた。始終、見えぬ土地の中に埋められた白痴の子を殺すのだ。案外、憧憬にも似た感覚のままで、そこにいた尼僧は、お経を唱えては、子達のゆらゆらと映る様に、又、黒い喪服の列が、ひしひ ....
生きてゆくことの危うさ
悪意なんてない
少し踏み外しただけさ
それで人がまた一人 死んだよ
僕たちはわかりあえない
事勿れ主義の神様
あなたのおかげで今日もずいぶん
赤い血が
青い ....
塔を隠した樹々たちがくりかえす
やわらかな墜落
螺鈿の微笑を浮かべる遊星たちが
結晶状に形成する空間に
浮かべられた白い柱廊に
並べられたフラスコ
時折それらのいくつかの中で
新 ....
見た目ほど大丈夫
人目ほど気にならない
垂れて来る液
家の中 浸る 潤う 赤い液
呼吸をするストロー
もし 塞がれたら
家の中 漂う 瞑る 黒い液
酔っているカクテル
....
街を焼き尽くした大空襲の後
一人の男と一人の女だけが生き残った
それは奇跡だった
すぐに二人は恋愛した
やがて銃剣が二人を引き裂いた
それから十年後、男と女は
都会の片隅で再び出会った ....
青空の下に
大きな穴が並んでいる
列車が来て停まる
線路の端に
白い雲が湧いていておそろしい
時間になると汽笛がひびき
車両に載せられた人と財布を
地番外にできた
あたらしい穴まで ....
青い空は私の目の前にあり
私と其れをさえぎる者はこの世界にないというのに
私はその中へと埋まることはできない
希望を抱いては砕かれ
夢を見ては叶わぬと知らされ
現実は私にとってとても悲し ....
泡になって消えても
犯されたいのはあなたにだけ
依存してゆく夜
痩せた胸に突き刺す残像
魅せられて
堕ちてゆく蒼い闇の底
【失語症】
嗚呼 宵闇に
涙するは金糸雀
その二つの金の眼は
ただ在るべき姿へ
還りたいと
白い頬を濡らすけど
涙を拭ってくれる
愛しき彼の人は
既に霞ん ....
世界の終わりを思わせるほど明るい日
地の果てのようながらんとした広野に
世を捨てたようにひとつ立つ古い塔のそばで
君は僕を待っていた
僕らは手をつないでだまって塔をのぼった
ひょっとして ....
哀しみが霧のように
降りしきる夜
君はただ呆然と
立ち尽くす
僕の目の前で
その瞳を閉じたまま
君は金色の羽根をひろげる
荘厳な儀式のように
僕はひれ伏して
そして君の手に
くちづ ....
君は孤高の城砦に篭り
アメリカンコーヒーを片手に
砂時計を睨みつつ
夜空に浮かぶ星々の軌跡を追う
君は数式を解いて
混沌に秩序を
偶然に法則を
変化に予測可能性を
無数の仮説を検証 ....
愛し人を真白の紙に立たせようとすると
僕の脳は一斉に窓を閉め始める
どんな世界に連れだしても
独占は止められず
清き風は吹かず
広大な海原は
狭く細長い橋になる
....
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