すべてのおすすめ
爪の先から始まる
君の泣き声に震える
無数の羽撃きを聞き
映し見る雨粒
片隅を照らす炎
闇を広げて星を抱くだけ
力尽きるまで無力な宇宙
雨曝す心ひとつ
待つ身の程の隅々へ
ゆっくりと
行き渡るのが
夜の毒だから
ケチャップの夜は
泣き止まず
ただだらしない雨を
ひそかに運ぶ
可愛いひとを
手品の箱に
詰め ....
五月の終わり、六月のはじまり、雨、雨上がり、雨上がりの、街。
咽る光、光、に、蜂鳥、蜂鳥がゆらぐ、ゆらぐ、かすかな影、その残響、翳る、光、黒揚羽。
揚羽蝶、焼く、焼ける、焦げる、黒く、霞む、目 ....
愛してるから
あなたの白くて軽やかな骨
砕けた
破片と大小の粉
風に飛び散ってしまうのが怖いから
壺へ収めていく
手に取って 確かめて
愛しているから
形のないそれを掴みたいんだ
掌に乗せるようにそっと
見上げたら花火がすでに消えていっていた
残った余韻に僕はキミを想った
そばにいたい そばにいてほしいなんて
思うのは簡単だけれど
....
この真夜中の
この静けさに
チラチラと
狂気は降って
闇の秒の遅さと
生の流れの速さに
僕は怯える
明かりを付け
異国の古い
映画に紛れながらも
こ ....
―夢魔―
嫌いなのは
寝苦しい熱帯夜などではなく
今 眠らなければいけないこと
そして明日 目覚めなければならないこと
自分の体温を感じながら
墜ちていく混沌と浮遊の狭間
自我さ ....
頭の丸みと髪の流れに沿って
手の平を浮かべる
カメラは遠くで蝉のごとく鳴り続け
レンズは割れんばかりに照らす
足を水桶へひたす
過去にも存在した気のする
記憶をリピートさせるよ ....
狭い部屋の
狭い窓から
雨が降っている
が
遠く聞こえるのは
蝉の聲
雨が蝉の羽を濡らすから
今日はもう
おしまいにすればいいのに
狭い部屋の
狭い窓から
雨が降 ....
白い杭と鉄条網が
鉄の獣を取り囲んでいる
天気雨がなまぬるく
獣の背の光を流す
欠けた虹がすべるように
ひとつふたつと遠去かる
溶けるように昇る空
指の跡のつ ....
人の向こう側に横たわる人よ
横たわる人を跨ぐ人よ
潰された眼は見ていただろうか
白く透ける少女の抜け殻を
地下水脈の夜光虫を
皮膜に隠された結晶体を
地は焦げるほどではなく ....
街の隙間を流れる音が
曇り空の信号をつややかにする
22時すぎを唱う点滅
夜の湿り気にまわりひろがり
車輪の音を手招いている
祭の粒が匂っては消える
草 灯 ....
見えない何かに繋がれて いつも何処か窮屈で
本当の自分はどこなのか 自分自身が分からない
四角い籠の中 いるのは自分自身
いつも俯いてるから空の色も忘れそう
時代のせいだと笑えたらどんなに軽 ....
先週の午後
雨と一緒に
隣の男が降った
最上階に住んでいるとそれだけで
いつでも飛び下りなさい、と
手招きされているような気がするので
荷物が重たくなった時などは
ベランダに近づ ....
この島に生まれた胡蝶のさだめです
あかい実を食べたら
あかい胡蝶になってしまうのは
さだめを背負っていきなさい
はるか彼方まで飛びなさい
さあ
北の国に住む少女の黒髪にとまって
....
夜から朝の為に空いたボトル押し退けたら
ふらふらの激しさが昼の為のコップ倒した
テーブル掛けの端で
黄色い花柄、千切れ
そこから床へ滴るも
滴るも、美しい麦茶
息の要ら ....
倒れた自転車から音は聞こえない。
コインロッカーに花束を忘れてきた。
クレーン車の輪郭が闇に消える。
花壇の整列した花々で指先を切った。
低気圧、靴紐を揺らす。
埋められ ....
熱を嫌う
冬の午前十時
錆びた手すりに
もたれて
こめかみを撃ち抜く
動物園に火をつける
噴水は枯れた
飼育員の首吊り死体
食らいつく ....
眼球の裏側は
逆さの像を映している
正しい位置に修正し
脳がそれと認識する前に
見えなくても良いものたちが
自動消去されていくのを
誰も気がついていない
白黒にしか見えない犬は
だ ....
わたしは肋骨だ
肋骨はあなたを心から慕い
肋骨はあなたの心臓を守る
あなたの胸を打ち鳴らすものを
至近距離から呪いながら
肋骨はあなたの胸 ....
短き命を 駆け去りし
君が姿を 思いつつ
夜の浜辺に 独りいて
我は目を閉じ 聞き入らん
深き命の 波の音
永き命の 波の音
我が火を付けし ひとすじの
....
壊れた傘を 拾い集めている男がいた
破れて水が滴る傘
骨が折れてしまった傘
錆びて開かなくなった傘
雨の矢から 人を護る役割を
果たせなくなった傘は
存在価値すら もはや認めてもらえな ....
職場で黙々と仕事に励む
ふと気が付くと誰もいない
みんなどこへ行ったんだろう
サイレンが鳴っている
煙に包まれている
僕は取り残されたみたいだ
....
旅立ちの道は心地よく
熱を残していたのに
いま太陽の下の冷たさは
独りの歩みを空へとつなぐのか
願いに満ちた足跡が
雨のなか消えることなくつづき
標のようにまたたいて
....
僕
には携帯を充電す
るより少しだけ大切なことがある たま
に
は逆らってみたいと思う
....
緑の海がたなびいて
少しのカーブで横切るレールを
3両編成の電車がすり抜けていく
乗り合わせた肩は語らないまま
ひとつひとつ 暮れていく
天気予報は雨
降水確率は不明
飾らない傘の行 ....
本当を言うと
おまえは 少し こわかった
祈るように欲得なく
好きというだけで
なにもかもほうりだして
入り込んでゆく おまえに
私が 壊されそうで
少し こわかった
それ ....
僕はもう数時間もそうしていたように思う
この道の先が見えない
この道の終わりが見えない
途方に暮れて
僕は泣いていた
会いたい人がいる
出会いたい人がいる
だけれど
今 ....
血が欲しいんだ血が欲しいんだと繰り返し言うことが本当に必要だったらやってみるがいいよ今にじみ出すような本当にきみが必要としてるような世界は赤いセロハン一枚で事足りてしまうぞどうするんだ幼稚園児と手をつ ....
夢をみた
君が出た
忘れたはず
涙は渇いたはず
なのに濡れる夢見枕
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