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散文的であるかも知れない
晴れ間を見つける
こころはいつも
古くはならない
あたらしくもならない
それが空なら
繰り返すものごとに
少しだけ優しくなれそうな
そんな気が ....
線路脇の小石を濡らす黒い雨
焦げ臭い騒めきに揺らぎ
くしゃみの止まらない僕
感じる間も儚く手放してゆく微睡み
翻して僕は
二月の呼び声へと駆け出す
湿った呟 ....
虫を食べるのが好きで
押入れの奥に潜っては
身体を縮めて待つのです
新しく手に入れた螺旋は
それはそれはいい声で鳴って
第二楽章の三段目、斜めの五秒のところ、
うあぁあ、うぁあんと歪ん ....
君の中の炎は
常に形が定まらず
消えることなくむしろ
どんどん燃え盛り
竜巻となって
全身を駆け巡る
その炎はいずれ
君の中の情熱を燃やし
そこから生み出される蒸気によって
君は ....
月を見ながら死ぬ君は
夜明けの太陽を
むしろ恨むことだろう
君のいない明日を
やつは何かの始まりみたいに
照らし出す
君が死ぬ時間に
起きている人は
ただ眠れない夜 ....
自分が肉の一片に成ってしまう夢など
誰が望んでみるものですか
(けれど毎夜、私はふつりふつりと千切れていく)
私以外の誰かが望んでいるとしか思えませんね
この体たらく この ....
愛という名の怪物は
過去の意識
もしくは現在の思考回路
その他諸々を食い潰し
私の脳内に
爪痕の如く働きかける
記憶が曖昧な私は
夢と現実の区別すらできず
相違なる言葉のいずれをも ....
地下鉄の人々
無数の足が階段を昇る音
振動する灰色のアスファルトが剥き出しの壁
銀色の車体の煙草臭い車内
黄色い線の上の電光掲示板に
白くぼんやり浮かぶ駅名が繰り返される
無機質のアナウン ....
どんな たくらみが
わたしを 必要とするのか
無私であるならば
心から よろこんで
裏切られもしよう
降る結晶
白く
ただ白く
消えないように
触れないように
壊れないように
溶けないように
白は光と出逢って
銀を一寸
後には何も残らない
それでも あの銀は
僕の心に ....
窓のない病室で
地球儀を塗り分ける
水彩絵の具の赤は
少しだけ優しい
冷蔵庫に
入れておいたの
私を生かす電池は
もう使えなく
なっていたから
安心を買うなんて
違反だって ....
暮れてゆく空に
消えていった電車
曲がり角の先にある想像上の一点を
祈るようにして見つめていた
街外れの鉄塔が夕日に照らされている
灰まみれの外壁を見つめたまま
歳の瀬はやって ....
其の純白が
花嫁衣装の様だった
『純白般若』
祖母は
小さい頃に
骨を食べたという
焼け野原になった当時
ろくな薬も無いなか
人間の骨は万病の薬だ
という噂が ....
正月ぼけで出勤すると
コーヒーメーカーで淹れたコーヒー
汚い共用灰皿からこぼれる煙草
不愉快だったり
コンピュータのご機嫌と上司の会議
会議中の上司への電話
俺には意味不明な伝言
....
刺青は溺れる
暑い
静かな
暑い
午後
静かな
雲は走る
片言の
静かな
午後
心臓のおと
汗に
刺青は溺れる
産毛は
光り
静かな
陽光は縦に
産毛は
暑い
午 ....
1
夥しいひかりを散りばめた空が、
みずみずしく、墜落する光景をなぞりながら、
わたしは、雛鳥のような足裏に刻まれた、
震える心臓の記憶を、柩のなかから眺めている。
(越 ....
ぼうっと空が染まりだす
月明かりに変わり太陽の予兆
石段に腰掛ける年老いた人
賑わいの境内
泣き出す兄弟
少し先には白いテントがある
もうすぐだからね
そう言うとぐずりながらも
うなず ....
飛ぶ鳥の名前などは
どうでもいいことかも知れない
晴天をかもめ、
夕暮れには
からす
一応の名前で
呼んではみるけれど、
きっと何かが間違っている
かれらは一途 ....
退色の花 割れた花瓶 滴る雫 濡れる宝石
廻りゆく日々 反射する光 笑む絵画と画廊
下らない話→建前理論 死ねばそれまで→感情理論
閉ざされた部屋から 運ばれる幻想
侵食してゆくは 束の ....
面影はなくなったのだ
そこにはたらくちからを
しばらく考えもする
不条理ではない 赤い血だもの
とくべつはひかりを放ちながら
平楽のなか 潤いはかぜだったか
中核にむかい やがて永 ....
針を含んだ
夜更けのくうきがはこぶ
とおい稲妻の裂ける音
面影のように遠雷
かすかに
(雪を呼んだのかい、それとも)
コートのポケット
握った手は汗ばんでいるか
遙かな遠吠 ....
いつくしむ
いつくしむということを
忘れ去ってしまったならば
それは つながりのもつ距離が
不鮮明にとまどっているの
けれど立ち止るな
そこは業火の唸る 底無しの淵だ
それでも振りか ....
蒼い海峡の水面に、座礁した街がゆれる。
煌々と月に照らされて。
わたしが走るように過ぎた感傷的な浜辺が、
次々と隠されてゆき、
閉ざされた記憶の壁が、満潮の波に溶けて、
どよめいては、消えて ....
黒い天幕に
開けられた小さな穴
零れ落ちる
涙の雫と悪意
サラサラと音を立てて
遠ざかる 幼い記憶
目の前の無垢の心を汚す
口唇から洩れる
密やかなため息
頭も指 ....
J
なんで苛めるんだ、なんで、俺はくずなんかじゃないのにと、こんな目にあわせるんだと、拳で鼻を叩き潰して泣いていたジェイに、皆はジェイが彼らを苦しめたからだよとは誰もいわなかった。僕はジェイとは話し ....
私は光がほしいんじゃない
光は掴みに行くものなの
決して、もらうものじゃない
透き通る水
すくえどすくえど、指の間から零れていく
馬鹿に、されてる
そう思った
....
私にはあなたを焼き尽くすような強さはない
筆圧が愛の重さを表すというのなら
私の愛は軽薄にして
紙面に刻み付けるほどの価値もないのかもしれない
あなたの書く文字が美しくて
それがあなたの愛の ....
もっと自由な筆先
四千七百枚の絵画
その内二十三枚が
君の情景ならいい
土に腐蝕した躯
奇跡の孔雀の色彩は
燃えた様に
震えた様に
空中には寝返りの浮世絵
吐息と履歴書の ....
1
十二月の眠れる月が、遅れてきた訃報に、
こわばった笑顔を見せて、
倣った白い手で、ぬれた黒髪を
乾いた空に、かきあげる。
見えるものが、切り分けられて――。
伏せられ ....
金色の海で
私は上手く笑えていただろうか
『金色の海で』
郵便受けに
見なれない封筒が入っていた
差出人は
失踪した親友からだった
彼は
一年前に妻子を亡くし
....
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