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蔦を植えた君を風が抜ける
触れる者を待ち
褪せたドアノブに
風上となって立つ貴方の水滴が滑り落ちる
ゆっくり
さわらず、
傘立ての底が濡れてゆく
一滴を撫でた貴方の皺より ....
煙草を一本、灰にするあいだ
曇りの夜空、見上げているのは
この道で自分がしでかしたことへの
悔いと純情を見つめるためなのだ
風のうわさ、本当にあるんだな
秋の雨はどこ ....
一篇
どこに
詩 は
....
まだ頭で祈っている
まだ全身で祈れていない
全身全霊だ
頭で祈っていることを体感している、というのもおかしな話だが
全身全霊とはよく言ったものだ
頭で祈っていると祈りは持続しない
....
カインツホーム
ぼくたちは
ある晴れた
空白が青く
平屋の建物に
くり抜かれた
にちように
ポカリと口を開け
まぶしいと
顔をしかめながら
柱から斜めに切れ込む
影に半身を切り取 ....
夜が起き出して
今夜はと舞台衣装に着替える
黒い不安と白い恐れの鍵盤を
交互に叩くその曲は
泡立つ恍惚の光り
濡れた海を拭くように
満月の落した布が
昼と夜の境界線から漂う
かもめ ....
午後6時、早々に暗くなった道を
蛙は横断する。
警戒するヘッドライトはまだ十分な距離がある。
1918年、食用に連れてこられた
彼らの祖先は、食べられることよりも、
食べることにその力を ....
車のドアを開けて
アスファルトに降り立ち
ゆっくりと
夕焼けを踏む
夕焼けについて書こうと思う
古びて傾いた夕焼けについて
それは人通りのなくなった街道の
傍らに立つ廃屋の壁に
擦 ....
がたがたになった
コンクリートに
濁った赤が染みこんでいく
粘度は高く
糸をひいている
海水で洗い流す
呼吸できずに
目を白黒させている
有機物が
外装を傷つけながら
外装をはがし ....
言葉に割れる岩道の
ひとつひとつがまたたき並び
空の底へと落ちてゆく
出せずに裂いた手紙のように
曇のほとり
ひとり祈り
この手を焼く火が
この手のみであれ
....
窓を開けると部屋に入り込む夜の冷気
あぁ、もう秋だ
日毎に高まる焦燥と新鮮な倦怠を更新して
静かに沈没していく街の灯
眩しさ。もう生まれることのない昨日の眩しさが生きたのか
透明な漂流物 ....
寝続けるのはつらいと笑うきみの声は
瞬く間に白い壁に吸い込まれて
ああ 病院の白さはここにあった
と林檎の皮を剥くナイフが震えた
いつかの海は
ただしっかりと海岸を歩いて ....
動かない少年
岩のように
動かない少年
中心核光るのみ
<この世界>の住人達は絶えず動いている
パンを得る為
家を守る為
かつては動いていたが今は動かない少年
絶えず動 ....
遠い銀河を駆け抜ける汽車を
細い目で夢を眺めるように見ていた
枯れた花を抱いて
生まれたばかりのように震えながら
君はまるで無力だと笑う
陸に立っていることすらも精一杯で
まして君を抱 ....
我が思うのは
迷宮の地獄の解読図のもとめかた
今日は誰を明日は誰を
そう考えて毎日を過ごす
理由はどうあれシッポをふんじゃったのは罪深き貴方
時は視ていた
その踊る ....
電話回線の中をひとり歩く
途中、水溜りのような海がある
工事のためしばらく混線する恐れがあります、と
電話会社から通知書が届いたばかりだった
仕方なく簡単な水遊びをする
ふやけた体 ....
凄い勢いで流れが変わる、あの雨は、昨日の涙かな。
激流の中、繋いでた手は、好きだか。
激しい流れの中、一緒に耐えて、いつか穏やかな流れになったら、抱き合おう。
キスをしよう。愛してる ....
問いかける様に見つめられると
結局辿り付けない気になって
どんな言葉も相応しくないと
いつも口をつぐんでしまう
伝えたいことがあるのに
薄暗い照明と騒がしい音楽と
楽しげな笑い声に包ま ....
カミナリが鳴ると
暗いお外は夕立のおと
リビングのテレビは
昭和四十年代の時代劇
はんぶんに切ったメロンを薄い皮にして
セブンスターの吸い殻をそのなかに捨てた
暗い ....
{引用=アベフトシにささげる
あなたは僕の青春の多くの時間を奪った
僕は奪われてもなお満たされているという初めての経験をした}
小さなテーブルに
ショットを置いて
安物のタバコを ....
俺はあんたの事をよく知らないし
あんたも俺の事なんて知らないだろうけど
一つだけわかってる事があるんだ
それを言葉にするのはすごく難しいけど
だから細かいことは言わない事にするよ
お ....
空がまだ黒一色だったころ
ぼくは静かにいきていた
窓から見えるのは 絶望ばかりで
希望は何十年か前に 旅人が見たのが最後だという
最初から希望だったものなどない
最初は絶望なんてもの ....
iPodから流れる
リロンのさわやか会社員を聴きながら
雨雲の去った青空を見上げてると
心も伸びやかに
どこまでも泳いでいける気がする
いつか親友と走った道
うぶだけど どこかませて ....
今日も余計な風、吹いて
心が斜めを向いてしまう
過去という気流が大きすぎて
すぐに足元、とられてしまう
肌傷つける爪であれば
迷わず切って片付けるだろう
流れに逆らう毛があれば
迷わ ....
声がきこえる
まどろみの午後
なつかしい声音は
母のようで父のようで
深海から響くように
雲間から降りるように
記憶を呼び覚ます
なめらかな旋律
やわらかな ....
考え過ぎて物質の根源まで行ったらその危うさの恐怖に襲われ、
言葉が支配する一つの物について確実と信じられているものを疑ってみたら
もうキリが無い。
一週間眠れる薬。いつか骨と皮に。病的願 ....
鎌の三日月。目指すもの高く。
探し出した体温計の数字もやはり高く。
愛しいまどろみの中で声と瞳がよぎる。
新しい感情と世界。
あなたに感謝。
首に余計な発熱装置。
....
バーに行けば オーケストラが行き交う
饒舌なバーテンダーが指揮をとり
客は各々の楽器を手にする
銀行員の男性は総銀製のフルートを吹く
離婚歴のある女性が笑うようにピアノを叩 ....
僕らはどこでも眠れる
可能性の、結果として
拘りを隠しましょうか、誇りを仕舞いましょうか
まっすぐな道をまっすぐ歩くためだけの
呼吸、でしょうか
道は裏返りながら繰り返されて
それ ....
あなたが地上から旅立って間も無い今
こうして語るのは月並みだが
友達でもないのに僕は言う
マイケル、
あなたが音楽の神様に選ばれた
天使のように
あふれる歓びを踊りながら歌 ....
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