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もの憂いのには もう飽きた
あかるいうたを 謳いたい
夜明けのまえが なお暗い
とはいえ わたしは しっている
こごったような 濃紺の
ぴちりとパ ....
あなたとふたたび会えてうれしい
鼻先をあなたのももにうずめると
しあわせのゆりの匂いがして
こころがころころと弾むんだよ
あなたとふたたび会えてうれしい
アメージング グレイス
改心は ....
余白は余白のまま
残しといてくれたらいいのに
ちゃんと感じとるのに
余白を埋めようとするなんて
信頼してくれてないってことよ
。
そこそこに慌ただしい日をこなしたあとは
急ぎの用ではない
コマゴマを
脇へ全部追いやって
静かに坐ってまゆつくる
まゆからでてきたからといって
羽根あるものになるでなし
わたしは ....
うすももいろの{ルビ襦袢=じゅばん}の
冬に{ルビ纏=まと}えば
きぬの{ルビ温=ぬく}さ
衿をくいと抜き
腰ひもをきゅうと締める
そのうえに伊達〆をきゅうと締める
足元に着やすく ....
実家に帰ると
母は今の母で
わたしが思っているお母さんとは違う
いろいろあったもんね
川の形だって水の流れで変わるんだもんね
でもわたしの頭のなかのお母さんはやっぱりいつも不幸で
あた ....
あをによし
奈良のみやこの若葉の頃は
群青 {ルビ縹=はなだ} {ルビ甕=かめ}のぞき
{ルビ藍濃淡=あいのうたん}に夜が明ける
{ルビ瑠璃=るり}{ルビ玻璃=はり}きらり
渡来の品を
....
駐車場のわきに
見知らぬ実のなる木があって
くるりとくれよんで描いたみたいな
小さなきいろい丸いのが
道にいっぱい落ちていた
わたしはつっかけサンダルの
ぴんくのつま先でそれを ....
陽が射す春、昼ひなか
わたしは道に迷いに出かけた
途方に暮れる練習をするために
よいとわるいの二元性、
どちらの側にもつきたくなかったわたしは、
そのぎりぎりの
まんなかで
屹立 ....
そうか。
モノガタリが組み換えられることがキセキなのだな。
だから、
「このことを、違った見方で見させてください」
そんなふうに祈ろう。