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新しい波線が
次の更新を終えてしまう前に
浜辺の水跡を
ジグザグとたどっていく
からだの左側は
いつもより無感覚に支配されて
向かってくる白い音に
何かを奪われている心地が ....
大気が湿った二酸化炭素を十分に含んで
重く 重く 圧し掛かるから
心を軽やかに
まるで鳥らの真っ白の羽の羽ばたきに比して
天使らの飛翔の音楽 モーツワルト
ボッサノバの和音で宙に浮い ....
夕立は、ぼくのことなんか忘れてる。
低い声で、かみなりが鳴いている。
さっきまで明るかった空が、とたんに表情を変えた。
なんだろう、よくない雰囲気がする。
まなざしが暗い、落ち込んでしまっ ....
きみのはだけた地図を
わしづかみして
通ったおとこたちを
ミキサーにかけたのだ
はやく爆ぜろ
たましいを
すりあわせていた
もうすぐ何処からか
鈴の ....
知っている
野生の生き物たちが
自らの意思で立ち上がれなければ
どうなってしまうのかを
ふるえる膝を押さえながら
重たい身体を支えようとするとき
昔見た象の瞳を思い出した
陸 ....
紫が染みだし跡を残した
眠りかけの紫陽花は
次々に色を手放していく
雫に色が宿り
すがりつくわたしを紫陽花色に染めていく
柔らかな土に倒れる体
内側に眠る紫が
わたしを飲み込み根 ....
先生
ボク帰って来ました
この教室に
円周角やら
関係代名詞やら
習った
この教室に
先生
あなた方が座っていた
デスクに
今
ボクが座っています
こんなにも
広かっ ....
鳥の居場所はわかい、翼が生えているからなー
切符を握りしめたまま彼女は眠りについて、
相手の男は、洗濯機の中にまぼろしの車輪を見つけた。
ベットサイドに戻り床に転がるギターを眺めていた彼の、 ....
マダムヤーンは綺麗な人で
いつも小さな
花柄のブラウスを着ていた
ほんのり香る花の香水をして
静かに笑う人だった
ある日マダムヤーンのもとに
小さな蝶々がやってきた
蝶々は羽根を休め ....
見渡す限り、白い世界がどこまでも続いている
ある一点にだけ古びた椅子があった
木片を適当に組み合わせた揺すり椅子
どこからか現れた白髪の老人が腰掛けた
皴枯れた手に一つだけ持つ
“色のない種 ....
みんな大好き!
と叫んだアイドルがいた
その場の誰もが
「みんな」には自分も含まれている
と信じようとして
アイドルの名前を大声で叫んでみたりする
「みんな」
そして「わたしたち ....
葦を
くわえている
(目と 鼻とを とじて)
水が圧す
身じろぎせずに 黙っている
(黙っている)
指を
動かす
日が
つかめそうな気がするから
(本当にそんな気がする ....
きみはシーツのうえで
まったいらな胸になった
キャラメルみたいに口にくわえた
やり過ぎのマッサージの力で
素肌をなん往復もなぶる
粘っこく濡れていた裂け目は
さらさ ....
雨が笑ったら
それは春の始まり
雨が色付いたら
それは夏の始まり
雨が美味しくなったら
それは秋の始まり
雨が意志を持ち始めたら
それは冬の始まり
....
今朝方まで降り続いた雨で
赤い実、おちた
何とはなしにいつものパターン
硬い靴底で踏み潰す
だけどそれは、赤い実じゃなくてふにゃふにゃのみみずだ
ずるりと這う怠惰は音も立てず×××
固体な ....
あたしを信じてよ、と
泣いてる神様
宇宙はたったひとつしかなく
うばい合い、ころし合う
人形はただ
生きていたいだけなのに
そして、あなたと
暮らしたいだ ....
{引用=
1. カスタネット
}
紫陽花の花という花がてっぺんまで匂いたち、その色目も日に
日に濃くなっていく有様を窓から見ている。雨粒がはらはらと
落ちて窓ガラスにもかかる。風があるのだ。 ....
ケェキに
蝋燭たっていない
ケェキに
名前入っていない
晩飯は
ケェキだ
酒の肴は
ケェキだ
明日の朝飯は
忘れなければ
多分
間違いなく ....
あの螢祭の夜
ミルクの河 渡った
ボクの手が少しギュッとして
キミは 痛い 顔を{ルビ顰=しか}めた
力の加減を知らない
ボクを許して
少し折れてしまった指
キラキラしながら
....
スナックで知り合えば
たわいもない話をして
エレベーターで送られて
手でも振ればさよならできる
夜の屋上できみと話せば
ケンカでもしなければ
おたがい立ち去れないよ ....
空気がむせかえる
ジャンクションを間違えてカーブしていくおもいきり
アクセルを踏み替えないで俺たちは加速して
絶対に追い抜けない霧もやの中を疾走する
あったかい罪を犯したかったの
サミッ ....
真夜中に電気を消して
テレビの明かりだけで見渡す
この薄暗い部屋は
あたしの不安を増して
慣れることもない
この先の光を信じるなんて
不器用なあたしには望めない
だから夢を ....
{画像=080523225735.jpg}
大丈夫?
そう言って母はいつも
額に手をやった
そう言えば額の熱は
手で繋がっている
39度の熱を出した
娘の額は汗ばんで
手を ....
両手いっぱいの憎しみで
ふくらませた青い風船
それを今
ベランダからそっと飛ばす
それは思うように
遠くへと旅立ってはくれず
ただ あたりをふわふわと漂い始めた
部屋に戻り
静か ....
羽化していく
心が
闇に吸い込まれて
音もなく
消える
不在証明
書き殴り捨てた
手錠したままで
りんごの皮を剥いた
{引用=(I'm not here) ....
身体の中で潮騒を飼っている
辞書はそれを焦燥や憂鬱や歓喜などというが
潮騒はそんなにもシュハリ、と
姿を変えるものだろうか。
生まれて初めての始発に乗った。
どうしてだろうかとは考え ....
うなじの寒さ
ひとつはばたき
去るものひとつ
来るものは無く
風が
糸のようにわずらわしい
抄い 抄いつづけても
言葉は砕け 言葉は消える
さまよい ....
虹が燃えているのを
ぼくは想像する
その思考と同じ速度で
閉じた瞼の奥で
火薬の匂いが湧きあがる
銀河の向こうがわで
死刑囚が馬鹿笑いする
光の届かない深海で
眠り姫が森を思い出して泣 ....
細い路地に入ると
食事処がぎっしり並び
人々の賑わいから
昭和の匂いがぷうんと漂う
頭上の鉄柵に
取り付けられた蛍光灯は
細い路地を仄かに照らす
油汚れの壁に描かれ ....
あの子は
気分のいいときも
泣きたいときも
海を見に行った
ブレーキの利かない自転車を
力いっぱいこいで
砂をかんでぱたりと倒れた
のは初夏
そこ ....
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