スナビキソウ
AB(なかほど)

あの子は

気分のいいときも
泣きたいときも
海を見に行った

ブレーキの利かない自転車を
力いっぱいこいで
砂をかんでぱたりと倒れた
         のは初夏



そこに
咲いた花が

そこに
咲いている花が
海を見ているとか
風を待っているとか
うそぶく前に

生きている
そのことだけを
そのこと
   だけを
感じて
ぱたり
   と倒れた


 


自由詩 スナビキソウ Copyright AB(なかほど) 2008-07-02 00:33:32
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