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ある日マザーテレサは
旅先の列車の中で
(貧しい者の瞳に、私がいる・・・)と囁く
不思議な声を、聴いたという
もし、人生に幾度かの岐路があるとして
私も夜の{ルビ静寂=しじま} ....
誰もいない静かな部屋で
時折鏡を、覗いてみる。
目はふたつ
鼻はひとつに
口ひとつ
奇跡を行うこともなく
些細な魔法もわからずに
背伸びをするわけでなく
....
「この病室は、眺めがいいねぇ・・・」
ガラス越し
輝く太陽の下に広がる
パノラマの海
ベッドの上で点滴に繋がれて
胸の痛みに悶えながら
なんとか作り笑いをする祖母をよそに ....
たこ焼きを買うといつも
棒が二本添えてあるのは
何故だろう・・・?
屋台の太ったおばちゃんよ
ついこの間
惚れた女に逃げられた
寅さんみたいな俺さまに
ずいぶん気が利く ....
夏の終わりの夜道に
動くことの無い蝉が
独り
仰向けに転がっている
( 人々の 無数の足が 通過する )
長かろうと
短かろうと
人の一生は
蝉の一生に ....
食事を始めた
一口目に
山盛りポテトフライの皿の
隅っこにのせられた
パセリを食べる
噛み切れない小さい葉達が、苦かった。
今日も世界の
あちらこちらの食卓で ....
美しい花にそっぽを向かれると
ぼくは自らが蝿だと気づきます
柔らかい蕾に包まれて
花の囁きを聞く日を
ずっと夢見ながら
周りを飛んでは見るが
こちらに微笑む気配は
いっこ ....
細い路地に入ると
食事処がぎっしり並び
人々の賑わいから
昭和の匂いがぷうんと漂う
頭上の鉄柵に
取り付けられた蛍光灯は
細い路地を仄かに照らす
油汚れの壁に描かれ ....
図書館で資格の本の頁を閉じ
色彩を失った日々を嘆いた
長い手紙を書き終え
疲れた腕をしろい机にのせる
(机の下に潜むかみさま)が
ぼくの重さを支えていた
ふいに後ろを向 ....
ましろい部屋の空間で
宙に浮いたペンが
血と涙の混じった文字をノートに綴る
開いた窓を仰いだ神保町の曇り空から
誰かの涙がひとつ、落ちて来た。
「ひでぶ!あべし!あちゃちゃちゃちゃあ!」
歌舞伎町のライブハウスで
登場した幕間詩人の
雄叫びを聞いた翌日
職場への道を歩いていると
古びた赤いポストの下に
「北斗の ....
ひとりの人が年老いて
深夜の廊下を
手すりづたいに便所へ歩く
開いたドアの隙間から
漏れる音
しゃ〜
ぶ〜
誰もが生まれた時から
そんなに変わること ....
東口を出た歩道橋に
一人立つ
目の見えない
フルート吹きの奏でる
あめーじんぐぐれいすの
音色を前に
手押し車の老婆は通りすぎ
土産袋を持ったサラリーマンは通りすぎ
....
なぜ僕は今日も
この手で重たい門を
開けるのだろう?
なぜ昨夜の雨のどしゃ降りにも
水溜りはいくつもの楽しげな波紋を
広げたのだろう?
なぜ春を待つ空は
あんなにも ....
{引用=わたしはすでに
わたしそのもの}
自ら望み
生まれてきたわけでもなく
自ら選んだ
両親と国と時代でもなく
窓辺に置かれた鉢の
枝葉を広げた小木のように ....
喫茶店の席を立ち
ふと足元を見下ろす
椅子と椅子の隙間の床に
鈍くひかる百円玉が
恨めしそうにぼくを見ていた
世界はいつも
ぼくになにかを
云っている
....
新宿駅のホームで
母親が呼んだ駅員は
先っぽがクワ型の棒で
線路から何かをつまみあげた
猫の死体か何か?と
恐れおののき見ていたが
つまみあげたのは
桜色の靴だった
....
いくつもの古時計が
まばらな振り子を鳴らす
時の無い珈琲店
木目のテーブルに
頬杖をついて
ものを思う
いつかわたしも
衣服の抜け殻を地に遺し
空へ消える煙となろ ....
今から40年前
モノクロームな戦後の昭和
素朴なふたりの物語
たまたま
男は人の紹介で
ある会社に入り
たまたま
女は求人広告で見た
ある会社の電話番号のダイヤル ....
{ルビ霞=かすみ}のかかる朝
交差点を横切る車の窓に
雲間から射す
日が光った
( 冬の澄んだ路上に浮かぶ
( かたまった光の残照
次の瞬間
「通りゃんせ」の唄は流 ....
目の前に
清らかな川の流れがあった
両手ですくった水を飲むと
足元の小さい花がゆっくり咲いた
村に戻り
壺に汲んで運んだ水を
器にそそいで皆にわけると
口に含んだ人のこ ....
昨日のゴミ置き場で
幸せそうに日向ぼっこしていた
白い便器の蓋が
今日は無い
腰を痛めて十日間
介護の仕事を休んでいたら
先月の誕生会で
目尻の皺を下げていた
....
佐々木妖精さんの服部 剛さんおすすめリスト
(22)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
(無題)_
-
服部 剛
自由詩
3*
10-1-10
月夜の草_
-
服部 剛
自由詩
9
09-3-27
祖母の見舞い_
-
服部 剛
自由詩
5
08-11-18
串棒二本_
-
服部 剛
自由詩
9*
08-9-28
蝉と人_
-
服部 剛
自由詩
3
08-8-30
パセリ達_
-
服部 剛
自由詩
17
08-8-12
蝿と白百合_
-
服部 剛
自由詩
9*
08-8-10
想い出横丁_
-
服部 剛
自由詩
4
08-7-2
宛名の無い手紙_
-
服部 剛
自由詩
4
08-6-15
Gallery_112番_
-
服部 剛
自由詩
6*
08-5-26
ケンシロウの行方_
-
服部 剛
自由詩
7*
08-4-24
ひかりの十字架_
-
服部 剛
自由詩
1
08-4-10
五線譜の橋__
-
服部 剛
自由詩
17*
08-3-24
春風のうた_
-
服部 剛
自由詩
1
08-3-23
きせきの日_
-
服部 剛
自由詩
8
08-3-17
百円玉_
-
服部 剛
自由詩
6*
08-3-14
桜色の靴
-
服部 剛
自由詩
5
08-3-1
ぢろばたにて_
-
服部 剛
自由詩
3
08-1-21
Born_
-
服部 剛
自由詩
4
07-12-25
しろいひと
-
服部 剛
自由詩
7
07-12-15
水のふしぎ_
-
服部 剛
自由詩
8*
07-11-15
「_無_」
-
服部 剛
自由詩
32*
07-11-6
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