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着ているのを忘れるほど着なれたにおいの上に
すっとしてほっとするほのかなにおいをはおり
むわりと包み込んでくる空気を受け流しながら
いろいろな顔の一面をのぞきにいった
家から抱えてきたざらざら ....
物心がついた頃
私の首には、細い紐で作られた長い首輪が掛けられていた
その時の結び目は確か、みっつ
毎年、誕生日に紐が切れる
だから毎年結び目が増える、ひとつ
そして毎年、少しずつ短くな ....
職場の同僚に教えてもらった
初夏の広域農道は明るく開放的で
自然と車の速度も速めになっていく
ストレスフリーで思うがままに操る車
エンドルフィンが漏出して
ハイな気分で
車を操って ....
緑色の雨が降るとき
どこかで誰かが泣いている
そんな気がしてならないのは
あの日君と出会ってから
やさしい心の奥で
僕は君を求めている
このままやるせないままで
雨に打たれるのもいい ....
せいに意味を感じられたらよかった
*
{引用=
意味なんかないと
笑っていえたなら
ぼくらもう少し強かった
ひとみの奥に傷が見えるよ
夜はまだ ....
窓越しの陽射しが
薄いまぶたを通過する
汗ばむ髪をかき上げると
晩夏が私に混ざり合って香る
あの日に帰りたい
そう思ったことの無い自分が
幸せなのか不幸せなのかわからぬまま
季節がま ....
雨は崩されてゆく
透明の灰が静かに積もりゆき
アスファルトの水溜りに雨音の波紋ができた
土地は湿り気を増し
ビルディングは地階から 灰に埋まった
飛び散る 雨
しぶきが足元を濡らし ....
つ、たん、とわずかなタップダンス、軒先を転がるようなリズムがして
時のながれをひとあしおいこして行く
あのひとは、いまごろ猫だろう、思いのほか自由な四肢で世界を掻い ....
{ルビ砂見詩=さみし}くなったときは
{ルビ気意多居伝和=けいたいでんわ}を{ルビ診=み}る
{ルビ素己=そこ}には
{ルビ図真大智=ともだち}が{ルビ羽楽=わら}って{ルビ委=い}るのだ ....
12/9
ばらっ ばらっと こどもたちがかけて
うたをうたうひとは すこしだけ
しずかになった
あれは はとではないね
はといがいのなまえをしらないのだけど
12/10
....
{画像=080602022745.jpg}
波打ち際に沈む
ガラス片のように
毀(コボ)れて
流れて
静かな時間の中で
出会いを待っている
満ち足りた時間が
角を丸く取り
いく ....
けれども胸は 青く傾斜してゆく 怯える意識には
透明なふりをする思惟が 蔓草のようにからみつく
窓の外では 涙のように 果実の落下がとめどなく
そのさらに遠く 地平の丘の上では 二つの白い塔が
....
葉桜のむこうの
三つの波
つながれていたものは放たれて
水辺をめぐり 戻り来る
青に灰に
くりかえす
ひび割れ倒れる間際の硝子に
まだ名のないものが映っては
光 ....
あたまのなか
きみがしめる
わりあいは
ちきゅうなら
りくちくらい
かな
ときに
おおつなみ
りくはしずむ
ときに
だいかんばつ
うみはひあがる
なみはあっ ....
はじめて自転車で転んだとき
きれいな模様の種をひろった
部屋のすみに小さな鉢を置いてまいた
はじめて喧嘩をしたとき
種から芽がでてきた
塾通いを始めてから
すくすくと成長して葉が繁 ....
おそらく灰色の 町外れの停留場は
傘の上のダンスの 懐かしい音がするので
目玉の星が キラキラ光ってしまう
セルロイドは酸性雨に弱く
ネジ式の動力で
スキップをしながら溶けそうにしてい ....
この碗はわたし
ひんやりとした手触り
入っていたのはひと綴りのことば
自分に深い意味はない
ここまで来て
この次に至る中継点であっただけ
どうなるか分からない はいいろの海に
漕ぎ出し辿 ....
ドラマで
そんなセリフがあったのだろう
次男が
階段ごしに質問してきた
気のきいた答えでも言えれば
良かったのだが
ぼくは
じぶんの頭のうえに手をかざして
....
080530
キュー
キュービクル
美しい連想が
恐竜を孵化する
化石の卵から
人間も作る
キュービクルの巨人に
未来を託す
見てく ....
言葉と
拙い花瓶の
間に
めり込んでいる
弾丸
ある日ふと、音もなく
内戦が始まった日
わたしは回転扉の外で
小指に満たない大きさの
硬い虫をいじっていた
失望し
憤怒し
....
一足 一足と 雨が近づき
一つ 一つ 我々が浄化され
雨 雨の日に崩れゆくビル
舗装道路が湿り気を帯びて腐乱してゆく
人が人として輝くために全ての物質は滅び
雲が押し寄せて
....
人格のスーパーマーケットにて
宇宙の漬物を買う
星と星とが交際している
水生のマクドナルド
切っても切ってもくっつく血液
ピクルス硬貨でお支払い
学校の墜落を授業参観
騒ぐな貴金属ども
....
ダイヤモンドが燃えた
白い皮膚で
月が燃えているという
小さな嘘で
笑い飛ばしてしまおうよ
わずかばかりの白い炎が
燃え尽き果ててしまう前に
穴のあいた靴下を
霧雨のより糸で繕 ....
正でも負でもない0
0は虚数のようなものだ
実存から自由な
観念とは
0や虚数のようなものだ
ぼくはきょう
あるひとが美しいことを
発見したんだ
....
泣きはらした様な空が
広がり
あたしのうちまたを
細い暖かい体液がまたながれて
玄関の先の土を濡らしてる
うすぎたない腕を
切れそうな糸のように伸ばし
母が若い稲のようにふさふさとゆれ
....
凍えてる
なんて
いいわけを隠して
プールサイドに
埋めた
水草の気持ち
僕の
好きだったもの
すべて
きみに見せられない
夜が
こないことに
なんの疑問もないなら
朝に ....
ましろい部屋の空間で
宙に浮いたペンが
血と涙の混じった文字をノートに綴る
開いた窓を仰いだ神保町の曇り空から
誰かの涙がひとつ、落ちて来た。
杭
重い空から
雨のように降ってくる杭
黒い杭
枯れた大地に次々と突き刺さってゆく
私はそれを
何処から眺めているのか
目を閉じれば
瞼の裏に火花が還流する
....
080525
すべての商いを忘れ
品川駅に行く
新幹線に乗って
旅をする
南から来た男が
北から来た男の顔を眺める
擦り傷から血が滲み
転んだのか ....
帰っていく
町のともしびが
冷たくなって
帰っていく
月の出ない晩
朝まで
何の鳥を鳴かせよう
誰かがきた
また遠のく町に寄せる
手紙と同じ重さの波
海が近い
花 ....
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