すべてのおすすめ
路上の水溜まりに
人が落ちていく
見上げると
空を魚が泳いでいる
見えていなかった
世界の本質が
突然そのように
あらわれることもあった
今私は魚の餌になっている
愛する人が何も ....
解って欲しいって叫んでばかりで
解ってあげたいって
一度も云えなかった
星は散ってもいないのに
散っているようだった冬の月
知らぬまにまるくなっている
星は散ってもいないのに
ゆきずりの夜のまえ
スペイン料理のそのあとに
女が誘う、 ....
光があまりにもがちがちに直進するので
光に邪魔されて動けない
と思ったら案外簡単に動けた
光は迂回することを覚えたのです
公衆トイレは人が用を足すところ
湿って秘密めいたところ
もよお ....
(水槽から飛び出した金魚の体温)
煤けたような暗がりで
瞳が開いていく
洞窟の中をずっと迷っているような
コオロギの摺り足
夜には手が届かない
指先が触れる闇の境界線、それは
ひんや ....
地下鉄の剥がれかかったサイン計画でいとも簡単に私は迷子になって
孤独に酔って人をビンで殴ってしまい簡単に割れた破片が人を壊して
しまっていて黄色いブロックに救われた盲者の白髪がはらりと落ちて
そ ....
眠っていやしない
酔ってはいるけれど
聞いている 君の話しの続きだね
星が降って来ては 炭酸水のように消えてゆく話しや
星のとんがりが 山に刺さった話
聞いているよ ....
まぁやぁ 赤ちゃんて
こんな ちぃせぇもんじゃったけぇなぁ
玄孫の姿を
光の乏しくなった瞳でとらえ
しわだけの顔になって
ひいばあちゃんは言った
そして もう一度
同じ言葉を繰り返してか ....
お金や幸せを掻き込むという
縁起物の熊手
わたしの望む幸せとは
そんな熊手の上手から漏れた小さな幸せ
例えばそれば
何時に無く目覚めの良かった小春日和の午後
所在無いままに陽だまり ....
今から40年前
モノクロームな戦後の昭和
素朴なふたりの物語
たまたま
男は人の紹介で
ある会社に入り
たまたま
女は求人広告で見た
ある会社の電話番号のダイヤル ....
雪の中を
雪うさぎは
穴から
飛び出し
走り回っている
鼻をぴくぴく
させながら
立ち止まっている
季節の
においを
感じ取っているのかな
夜は
穴の中で
寄り添 ....
きょーちゃんはクリスマスが大好き
サンタさんからプレゼントが届くからです
クリスマスの朝が 一年で一番嬉しいときでした
きょーちゃんは サンタさんに お手紙を書きました
....
幸せってヤツを求めて生きてく奴は 悲しいからさ
しきりに愛を口にして生きてく奴は 淋しいからさ
夢ってヤツを支えに生きてく奴は 弱いからさ
誰も ひとりぼっちにはなりたくないんだ
....
現実が後ろを向いたのは
僕が目を閉じたから
それは造作も無いこと
感情は石のように転がって
悲しめない事に胸が病む
蔦のように絡まりながらも広がって
あんな空も塞いでしまえ ....
幸せが側に来ると
男は
おびえて
目を背けた
いままで
幸せなどというものを
見たことのなかった
男の目に
それは
あまりに
まぶしすぎた
男が
幸せから
目をそらし ....
何がプレミアムなのかも分からずに
モルツを口に運びます
くだらない形容詞が世の中に溢れて
肝心なことが言えずに今日も終わる
たった五文字の言葉の中にも
行間が絶え間なく滑り込んで
最後 ....
太陽に触れたいと思ってしまった
目の前にあるのに 中々近付けない
太陽に恋してしまった
目の前にあるのが いつの間にか当たり前になって
太陽を愛してしまった
今更になって愛しくて 此の身は焼 ....
それが愛だと信じているのです
それが覚悟だと信じているのです
それが生きてゆくことだと信じているのです
あなたのこころをコピーして
ぼくのたいせつなところに貼る
....
地平線の上で
縄跳びをしている
少女がある日
その向こう側に
行ってしまった
縄は残されたまま
速度をうしなわずに
今もまわり続けている
地平線の向こう側には
言葉のい ....
戦うことに理由を求めたのは
さて、何時の事だったろう
生きる事が戦いなのだから
産まれる前からすでに戦いは始まっているものを
今更
理由なんて
意味を持たぬというのに
....
最初は綿ぼこりかと思った
小さな白い塊が
ふわふわと目の前に浮かんでいた
疲れた目の錯覚と決めつけてはみたが
白い塊はその数を増し
やがて
小雪でも降り始めたかのように
凍えた集会室 ....
彼は写真の中でわたしとは違うひとの隣で笑っていた
この写真が彼とのはじまりで
わたしは
彼がわたしを好きになるずっと前から好きだった
賢くない頭で精一杯考えて
友達として、でいいから逢いたか ....
ひとつひとつに
名前なんてなかった
きみだけが知っていた
美しい世界
神さま
ねえだから
きみは神さま
みんながうまれたときに
さいしょに泣いてくれたのは
きみだったな
あわくする ....
つばさに
傷をつけて
泣いている
鳥がいる
それが
あなたなら
どう感じる?
あなたの
心が
つばさなら
傷つけないで
やさしく
受けとめて
痛めつけないで
そっと ....
ご検討賜りますよう
お願い申し上げます
が、歓喜している
何卒の強迫観念
が大人たちの心を擦り減らしていく
着物を何枚も重ねて
潔癖な私は
冬の自転車を漕ぎ
整えられた本
整えら ....
ある人はそれを「雨」だと言った。
またある人はそれを「雪」だといったし、
偉い学者は「塵の一種」だと力説した。
ある日細かいものが降ってきた。
パラパラと人が気づくかど ....
天球を半ば覆った夕暮れが燃え
肺胞には空気が足りぬ自明の理
お天気予報に言わせれば
あと十五年は夕暮れらしい
結局は息の仕方も忘れちまったし、
吸うなら吸うで煙草があるから
ど ....
いつも
会う人
何ですが
どうしてあなたはと いってしまう。
いつも
云う人
....
好きに生きろとジョニーは言った
茶色いパイプを片手に
暗闇の中を走ってみた
野良猫が僕を見ていた
求めるものは存在した
でも淋しか ....
黒い道がのびている
静かな{ルビ轍=わだち}が寄りそうように走り
道の上には白い雪が
粉砂糖のようにやさしく降り置いて
灰色の空には切り裂く翼もなく
肌を刺す冷たい空気ばかりが動く
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40