早朝よせて
あすくれかおす


新しい波線が 
次の更新を終えてしまう前に 
浜辺の水跡を 
ジグザグとたどっていく

からだの左側は
いつもより無感覚に支配されて
向かってくる白い音に
何かを奪われている心地がする

隣で慟哭する波の 
その声に交じって
私も 
海の雄叫びをあげたい



例えばこの限られた 
日暮らしの散歩が 
永久に続く毎日になってしまったとして
私は疑問を 感じられるだろうか

私が麻痺しているのか 
世界が麻痺しているのか
もう区別もつかないくらい 
何もかもが痺れてしまって

息ができないのか
息を止めているのか
まだ潜ってもいないことすらも
何もかもを忘れてしまって


目も耳もある世界で嗅いだ匂いは
果たして本物だったろうか



さわわ 
 さわわと


気がつけば 
炭酸が昇っていくみたいな音の風


海鳥は やがてくる空模様をよんで 
陸橋の見える方角へ
旋回しながら飛び立っていく


私もぼんやりした白朝夢を醒まして
裏腹な駆け足で
朝食の匂いを
食べにゆく









自由詩 早朝よせて Copyright あすくれかおす 2008-07-14 09:26:56
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