かたちのない宝石を
手のひらで転がす九月の午後
孔雀たちはまどろんでいる
淡く実る葡萄の夢を見ながら
実のつらなりが
水に映る
逆さになり
雨が来る


遠くと近くの震えが混ざり
小さな 音だけの雨となり
曇へ降る虹
曇から降る虹を見つめる


指のかたちの熱が ....
どんなに小さな波紋でも

今ひとときを願う夜

果て散る枯葉に焦がれている

ゆらゆら月の真ん中に

小石をひとつ投げてみた
右手が
左手を透り先へゆく
何かに触れる
何かを透り
さらに先へ


おおら おおら
ときく ときく
揺れに満ちる水
すきまなくすきまなく
兆しではなく  ....
窓の外には

石となった旧人類を囲んで遊ぶ子供達が

誰一人として眠りを知らずに

すべての草花は咲いたままで 果てなく咲いたままで

毎日が祝福される たったひとつの俺の世界で

 ....
きづく
星と椅子とで
いつか生きた証をとおもっていたひと

息吹く緑に
ひかりと風がふりそそぐ

問いはない
おだやかな招きがまぶたをおさえる

五月
まばゆい魂の軌跡にうなされ ....
1 ピアノ

誰もいない地平で
黒いこども達が踊っている
輪になって
誰もいない地平で
黒いこども達が歌っている
よその国の歌を

どこに置き忘れたのか ....
 
 
もっと簡単にあなたを愛したい
複雑な手続きなど経ることなく
もっと簡単に
もっと簡略に

僕は僕の皮膚を越えて
外に出て行くことはできない
僕から出て行くのは言葉
それは様 ....

 わたしはひそかにその人をガーベラさんと名づけている。
 月曜日の昼、大体同じ時間にやってきて、大体同じ内容の花束を頼んでいく。ガーベラと赤みの差す花を葉蘭で包む花束を。
 だからガーベラ ....
記憶を
残す
出来るだけ
美しい形のものを
渡す
それが
なんなのか知ったのは
ずっと
後の話





いつか
死ぬことを
知らずにうまれ
しばらくは
その ....
ふしぶしにふと表れる愛しき妻の持つくせ声と姿に

夢をみし水晶の王冠と妻を表すしるしのダイヤ

妻の絵がもう一枚できる日が近づいている文月半ばに
             
居間のテーブルに、汗をおびた白い皮膜がひろがり、ひとり
のピンクのビニール手袋は、両手で艶めかしい声をあげた。
一面、ピンとはった空気が、わたしの熱を帯びた息で震える ....
切ない夜を波濤の数だけこえて
やおら滅びゆく貌(かたち)のように虚しく、
何処までも果てのない君とともに
歌うべき僕たちの言葉が見つからない

伏せた漆黒の虚しさは朝日を浴びて
いつしか濡 ....
ひとつの瞬きの中の
帷の綻びから深遠を見つめる少年の
そのはるかな頭上を


商隊が騾馬に荷車を牽かせて
かぽかぽと銀河のほとりを迂回してゆく
どこか遠くの ずっと若くて活気のある星団へ ....
メリー、
それは細長い
木々の根元から枝の先までがちょうど、
ひかりだけ流れているようにみえた
夢みたいな夜


ぼくらは産み落とされて
地図だけを持たされていた
しずかに痛みな ....
流れる水辺にあって、冬の光が
点っている。てらてらとここは
静か。見えないものに、触れた
ことのない。めくらの。薄く紅
挿す頬のあどけない。水掻きの
広く、長い指の掬えない。指間
指間から ....
ふたしかな水を生きて
行方のどこにも底がない


くうかんを蹴りあげて
足音を確かめる
ひかりは、
柔らかくかげを踏んで
どこか遠い国になった。



どこまでも水。
ぼく ....
はねを生やして飛び立とうとするのは
なにも言葉だけじゃない
重すぎる心臓を
あかく吐き出しながら
お前のことを絵にするのは
いいかげんにしなくちゃね
お前はそう、
ひっそりとやさしいに近 ....
 
 
かみさまという鏡のような未来は
ぽろぽろとこぼれながら
なにか悪い事を口にしかけて、
小さくなっていく産声
どうやらここは初めから
ちきゅうという
名前もないどこか遠いところ
 ....
機を織る音は雨の音に似ている
人の心臓が脈打つ期待と怯えが
まったき雫になって林の上に降り注ぐ
神が御座においでになる
{引用=
  長い雨季がやってきた

月の半分は水がついてしまう ....
路地裏を覗くと
空がかくれていた

こっそりと詩を書く人が
虫かごにたくさんの無意味を捕まえていた

ギャートルズのエンデイングのような
なんにもないところから試行錯誤して

結 ....
病院で診てもらったら
うどんこ病にかかっていました
お医者さんは
専門じゃないので、と言って
生花店の名刺をくれました



お店のひとは
ぬれた脱脂綿で
手のひらを優しくぬぐって ....
{引用=laisser vibrer

(音楽)鳴らしたままに。(打楽器で)振動を止めない。}

0,

ポリリズム、
異なるリズムの孤独が、偶然同期する
ほんの一時の間だけ、でも
 ....
紺碧の輝きを放つ
カラスアゲハの翅が
百合の花のつよい匂いに紛れて
大きくひらくのを見た

静止した夏の庭。

そこに私がいる
分岐の先に、
意識が流れてゆくのも――
移ろう涼しげ ....
鎖骨の
においが
こぼれ落ちたら、

さかなのゆめに朝がくる



ことば未満の愛を交わして、
ゆっくりとたしかめる
てあしの記憶

水の
においの
シーツを背中に
 ....
       余 熱


       そこは
       しろい花が咲いていて
       緑も若やいで うつくしい
       空気は
       いつまでも清澄であり
  ....
あらゆるまがりかどの公園の
無人のブランコ
ばかみたいにゴミ箱の中身はちらかったまま
カラスが群れる

夜道切り分けて曇り空は進む
ガラス窓が割れて
流線型で情報が流れ込んでくる
ひき ....
 *灯台

   かすかにまだ
   光っている
   間違えたままの、
   やさしい思い出
   わたしの幸福な思い違いを
   あなたは
   そのままにしてしまったから
 ....
だらしない服が
花のように香る
からだの線が
浮かんでは消える
あなたは
無言にたなびく


降る曇
くちびる
とじたまなこ
うしろあたま
ひとつかがやく
 ....
寝苦しく目覚めた朝に夢うつつ
    激しく窓をたたくたたく雨


雨音を思えば雨が支配する
    人を思えば雨の一日


アンブレラ覗いた瞳くぎづける
    すれ違いざま舗道の ....
藤丘 香子さんのおすすめリスト(1956)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
中_庭- 塔野夏子自由詩17*10-9-29
夜と辺- 木立 悟自由詩1410-9-29
水月- 相馬四弦自由詩2*10-9-28
降り来る言葉_XLVII- 木立 悟自由詩510-9-20
新世界- 相馬四弦自由詩5*10-8-12
いつかの一葉- 乾 加津 ...自由詩7*10-7-29
音楽- 手乗川文 ...自由詩13*10-2-8
もっと簡単に愛を- たもつ自由詩2110-2-3
ガーベラさん- 瀬崎 虎 ...散文(批評 ...709-12-18
森は人に届く- 石田 圭 ...自由詩2409-8-13
妻の王冠- 生田 稔短歌109-7-10
遠い夢—デッサン- 前田ふむ ...自由詩9*09-7-8
渚のリフレイン- atsuchan69自由詩16*09-4-21
星宙間をゆくキャラバンの宴- 相馬四弦自由詩2*09-2-3
Arrow/ぼくら- 石田 圭 ...自由詩2408-12-19
雨音光、少女の運ぶ- 石田 圭 ...自由詩2908-11-21
生き抜くために死んでいる/きんいろの森/きんいろの波- 石田 圭 ...自由詩3508-10-14
光速の美夏- 石田 圭 ...自由詩2308-10-5
ひかり/音楽- 石田 圭 ...自由詩3108-9-12
長い雨季- リーフレ ...自由詩708-9-4
こっそりとVistaで前向きに生きていく詩人- tonpekep自由詩308-8-27
うどんこ病- 佐野権太自由詩32*08-8-27
laisser_vibrer- rabbitfighte ...自由詩23*08-8-19
美しき残像_☆- atsuchan69自由詩18*08-8-16
プロミネンス- 千波 一 ...自由詩24*08-8-11
余熱- るか自由詩24*08-8-1
ゆれる- モリマサ ...自由詩31*08-7-15
海辺の詩集- 嘉野千尋自由詩49*08-7-13
海辺- 木立 悟自由詩1108-7-12
雨、また雨- 石瀬琳々短歌7*08-6-25

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