あなたが感じた
その美しさを
僕の手のひらで触れることが出来るのなら
あなたが感じた
その痛みを
僕の右足で蹴ることが出来るのなら
あなたが感じた
その優しさを
僕の頬がさ ....
星も月も光る夜
窓辺に置くティーカップ
ダージリンの海に浮かぶ君
香りに誘われて揺らぐ光
満たされている心
君が眠りにつくまで
小夜すがら見守っているよ
遠くで聞こえる
波と夜想曲
教室の斜め後ろの席から
窓の外を眺めるふりして
本当は君だけを見ていた
机の隅に書いた相合傘
先生が通るたびに隠して
ずっと君の事を考えていた
それだけで良かった
....
最後に口にした紅茶は
裏切りとアーモンドの味
苦しくて床に倒れこんだ
貴方の顔が歪んでいく
それは許されない関係だった
貴方には婚約者も子どももいた
いつかは別れてくれると信じて
....
それは約束された儀式
かりそめの情熱
どちらが先に瞼を閉じるのか
けものの眼差しとなり相手の出方を窺い合う
わざとらしく歯を閉じ
拒んでみせるのは
初々しさをこころにまとい
....
恋人なんだから手を繋ごうよ
恥ずかしがる必要はないでしょう?
恋人なんだからキスしようよ
周りは関係ないでしょう?
あなたはいつも急ぎ足で
遠くの景色を眺めているけど
....
指揮棒が乱舞して
演奏が走りだす
息は上がり
弦ははち切れ
それでも止まらない
もっと速く
もっと速く
もっと速く
もっと速く
もっと速く
もっと速く ....
時間は意識しなければ
いつの間にか流れているけど
本当はこうしている間にも
一秒一秒刻々と動いている
僕達はそれに気付かずに
過去にしがみついたり
....
野いちごを食べて、細いけものみちをわけいった。
蔦が絡まる門が、行き止まりを告げているが、
白い壁に覆われた一対の塔をもつ建物は、
わたしを甘い蜜のように誘惑した。
とり憑かれたように、門をく ....
消えゆく光と
生まれゆく光
すべての光を救いたいなんて
無機質な優しさを振りかざしては
何も出来ずに立ち尽くす
アルタイル
ベガ
アンタレス
それ以外は皆同じ星でし ....
空にたつ少年
キャンバスを粗く擦ったような
雲をみあげる
銀色の髪
長袖Tシャツとバスケットシューズ
細い骨の孤独を
風に{ルビ晒=さら}している
視界に収まらない空
どこからがは ....
暗闇に光る君の瞳
影から影へ移る君の姿
君は夜に生まれたから
そのまま夜を身にまとい
ひとり息を殺して闇を行く
夜は君の姿
闇は君の心
影は君の名前
そして沈黙が君の言葉
けれどそん ....
この広い野原いっぱいきむちちげ
さみしいよるにはさむげたん
嗚呼 熱が出ると
こころが優しくなるね
不思議だね
空気を抱き寄せてはあはあはあはあ
うどんがアタマの中でぐるぐる
ス ....
――外国産と思しき、
ずいぶんと安っぽっちい杉板の木枠に
金槌で小ちゃな無数の鋲を打ち込み、
皺なく「ぴぃーん」と
白い亜麻布を張った
自分で拵えた七百号の白いキャンバスへ
左官が使うみた ....
{引用=落花することに歓びがあるとするならば
目の前に横たわる海鼠状の災禍を受け入れてみたい}
あなたと
わたし
コロシアムと密かに呼び合う
誰ひとり立ち入ることの無い塔屋の片隅で
ふ ....
桔梗の匂いです
ほんのりぼかした地平線は
花のうねりが続いています
その上をすべる
乳白色 あおい月
輪郭はまだうすい
夜はさらさら
風はさやさや
月は花の ....
世界の終幕のときがきたら
きみと、ぼくと、
ゼロから恋に落ちよう
最期のたった1日を
なにもかもしがらみを無くして
互いのためだけに存在したい
僕ら許されないんだ、だから、だ ....
芯まで酔わせて
君の支配する空間に
すべての細胞が
罪を忘れて叫ぶBREAK ME
追い詰められたら最期
あの時消しておけばよかった
背筋に痕をつけて
紅い月のジャッジメント
....
この道は
君のカーナビには存在しない
私たちは海の中を走っていると言う
海の中の
あるのに無いという道を
私たちはただ進む
夜は飛行機をどこに運ぶのだろう
温かな ....
今日、ってこの空の
どこにあるんだろう
今日、さりげなく流れた風も
もう見つけられない
昨日は、星
明日は
あるお腹が空いた日
しょうがなく戸棚を開けた
何もなかった
幸せすら
見当たらなかった
あるお腹が空いた日
雨粒を一掴み口に入れた
なんの感情もなかった
ただ
冷たくなった雨 ....
若葉が芽吹いた時の
頬の熱さを
私は今も未だ
忘れずにいる
瞳孔を徐々に開く
その過程の間で
視界が緑に染まるのを
見ないふりをして
気管をゆっくりと
狭めていく、 ....
野菜を切る音で目が覚めた
炊飯器からは蒸気が上がっている
優しい声に誘われるように
欠伸と同時に体を起こして
山吹色のカーテンを開けた
物干し竿には雀が二羽
番を組んで仲良 ....
冬の夜の
何もない一本道を
包帯だらけの山羊が
針金でできた自転車に乗って走る
かたりかたりと
暗闇に音を染み込ませていた
....
ふたりの仲は
今が最大の{ルビ危機=ピンチ}
洗いたての洗濯物を干しながら
ピンチで止めていく
ふたりとも
洗いたてには
もう
戻れない
ピンチでとめることも出来ない
き ....
凶器って
ナイフでも
銃でもなくって
コトバなんだね。
ねんねんな
ねんねんな
耳元近く響いて
優しく鼓膜を揺らす
ねんねんな
ねんねんな
もう歌ってもらう
年でもないけれど
ねんねんな
ねんねんな
....
テストの端に付けた
小さな丸の中だけが
やけにリアルに見えて
目を逸らした、あの日
飛び交うチョークの粉と
女子高生の猥談の側で
僕は、サナギになる準備を
早々に始めていた
....
あなたのなかをふるあめが
あなたのまつげをゆらして
あなたのなかをふるゆきが
くちびるをふるわせるとき
ぼくはあなたのてにふれて
ちいさくなみうつおと
ちいさくはじけるおと
あま ....
ハンカチが飛んで、
きみのスカアトがめくれて、
ぼくの目線をとらえて、
きみはウインクをして、
踏切の音がして、
知らない歌が聞こえて、
人々の足音が止まって、
ギタア ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68