すべてのおすすめ
喉の奥に良からぬ話題が引っ掛かっている
だから、一昨日くらいから喉が痛い
唾を飲み込もうとしてもうまくいかない
段々と不満が頭の中で熱を持ち始めている
もうすぐ風邪でもひくのだろうか
今、と ....
雨が笑ったら
それは春の始まり
雨が色付いたら
それは夏の始まり
雨が美味しくなったら
それは秋の始まり
雨が意志を持ち始めたら
それは冬の始まり
....
朝昼晩、わたしは地球とキスをする。
姉は鏡を持って出てきた
お母さんは?
と聞くと
買い物に行った
と言った
彼女は看護士をやっていて
だから、医者とは絶対に結婚しないそうだ
まだ、結婚に可能性のある姉が
希望をひと ....
郵便受けに入っていたのは
営業スマイルの葉書と
ネクタイをきちんと締めた葉書
営業スマイルの葉書を開いてみると
べりっという音を立てて
用のないパンフレットを差し出してきた
次から次へ ....
街なかで白い小鳥を配っていた
籠に入ったたくさんの小鳥を
小鳥配りの人が要領良く配っていく
受け取らないつもりでいたのに
いざ目の前に出されると受け取ってしまう
わたしが手に取ると
それは ....
夢の中に落とし物をした日の朝
猫になっていた
仕方がないので
夫を会社に送り出してから
家事は明日にしようと決め
日向ぼっこをして過ごし
夜になったので眠った
明日はせめて、猿になりたい ....
液晶の画面の中では
愛と恋とが
消費されて擦り減って
それでも笑顔を忘れずに
人間の傍にぴたり、と
まるで一人では生きられない
飼い馴らされた犬みたい
マニュアルなんて
何も知 ....
無言の種がいつの間にか芽を出していた
沈黙を守りながら
ときおり呼吸を整えて
少しずつ葉を増やしていく
色濃くなる葉
物語るのは血潮
忙しく変わる私の騒がしさを
彼らの静けさが中 ....
地球が滅びるとき
進化が過ぎて
全種類のいきものが
一斉に空を飛ぶ
大気圏を越えて
少し離れたところから見た地球は
丸裸になっていた
そんな夢を見てしまったら ....
鼓動を知っている
急激に階段を上がり
寝床に入ると
生きている苦しみと共に
息切れと共に
脳を覆う
熱を合わせると
寝床が海に変わり
大海原を旅する船になる
鼓動 ....
集めている
草花の歌声を
鳥の時を
空気の鼓動を
水の根を
空の恋を
魚の道のりを
暗やみの夢を
ひたすら
見つけては
集めている
....
明日のための『今』を食べる
『今』を吸収した体は少し古くなり始める
古くなる体を抱えて、明日の続きに怯えたり、期待する
明日の続きは死へと確実に繋がっている
一つの歯車が錆始める
きゅるきゅ ....
神様がくれた隠し事に
毎日悩んでは忘れていく
何を焦っているのか
やたらと派手な飛行機が
どうしようもない青空に直線を引いて
もしもそれがチャックみたいに開いたら
想像できるのは人 ....
月曜日
わたしには仕事などない
だけど、うちにばかりいると叱られるから
とりあえず、仕事に行くふりをして
たんぼの畦道をよろよろと歩いた
畦道は細くなったり
太くなったりして
歩きや ....
野良犬「怖い。人間は怖いいきものだ。」
飼い犬「なぜ? あんなにも優しいのに。」
野良犬「あなたは頭がおかしくなっている。理不尽に死を与える人間のどこが優しいのだ。」
飼い犬「人間がそんなことを ....
あるお腹が空いた日
しょうがなく戸棚を開けた
何もなかった
幸せすら
見当たらなかった
あるお腹が空いた日
雨粒を一掴み口に入れた
なんの感情もなかった
ただ
冷たくなった雨 ....
灰色のコンクリートには
ない、ない
としか書かれていなくて
薄紫色の夕暮れには
さあ、さあ
としか書かれていなくて
茶色の地面には
まあ、まあ
としか書かれていなくて
青 ....
シロとクロは
相反する色をして
だけど、寄り添い
補っているようで
二匹はいつも
空き地の隅に
重なるように眠っている
実際は交ざることなく
無造作に生えた緑から
シ ....
あおいそらと
しろいくもと
とうめいなひかりが
わたしのあたまの
はるかうえで
たのしそうに
おどっていた
すん、と
せすじをのばしていない
そらとくもとひかりは
ほんとうに
たのしそうで
....
ガラス窓が
ごつん、と鳴った
振り向いたら
何かがぶつかって
怪訝そうな顔をした
ガラス窓がいた
蝉が死んだのだ
わたしはそっと拾い上げて
犬にやった
窓の外には
....
欠けた月の前を
白い
大きな鳥が
西へ
通り過ぎてゆく
どこへ行くの?
お前は
急いで
呼んでいるの
みんな
帰る場所があるの、ね
西は
羽根を ....
雨上がりの水たまり
泥水も尊いいのち
綺麗な花が
尊いいのちなら
枯れた花も
尊いいのち
忘れないよ
ここにいたのは
尊いいのち
犬が
ぴちょん、と
鼻をつけ ....
玄関のチャイムが鳴ったので
仕方なく立ち上がろうとしたら
背中の上に
重たい鳥が
止まっていた
「どいてくれますか?」
黄色の羽根を
ぱたり、と閉じて
ずん、と居座る
「私は止ま ....
おもてに映るのは
笑って
泣いて
嘘を吐いて
うらでは何を
映しているの?
遠い空しか
見てないの、ね
仰向けに眠る癖は
やっぱり
私なんか
あなたのどこにも
....
強さの羽根が一本、二本
折れては生えてを繰り返し
今もまだ輝いている
弱さの羽根は思いのほか丈夫で
だけど君には見せられない
わたしは強い女でありたい
もし、本当に
本物 ....
空気で身体を洗って
空を仰いで
膨大な宇宙に
飛んでいく
あのころの
空は
青く澄んでいて
忘れられない横顔
長い睫毛が
煌めいていた
そのすべてが愛しくて ....
地球が背伸びをした
夢の中から目覚めて
(いつになったら
孤独は消えるのだろう)
そんなことを考えていた
夢で見た
木星との
失恋を思い出していた
悲しかった
こんな ....
人生は刹那の繋ぎ合わせ
時間はただ
平等に人々に与えられ
平等に消えてゆく
刹那の時間に変わる世界を
瞬きすらも惜しみながら
隣り合わせた花の開花を
運命と名付けて
見逃さないでい ....
“三歩下がって付いてゆきます”
いつだって女は
そう思っているの
紅差し指に光る
永遠の絆
永遠なんて
そんな簡単に掴めるものじゃない
わかっている
わかっているから
....
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