季節はもう冬支度なのに
たんぽぽの綿毛になるんだと
あなたは言った
過ぎ去った日々を惜しむかのように
ひとびとは
大きな樅の木の下に集いだす
そんな季節に
たんぽぽの綿毛になるんだと
....
教育者である彼の趣味
日曜日の朝 リビングの窓を全開にし
庭の隅で一週間分のゴミを燃やす
煙草の吸殻、
妻の髪の毛、
娘のナプキン、
息子の手紙、etc.etc.
家中の燃やせるもの ....
他人の気持ちの分からぬヤツに
詩を書く資格はない
とスタンドから野次が飛ぶ
自分のことさえ分からぬヤツに
詩を読む資格はない
と背中から声がする
何千何万 バットを振って
汗を流 ....
柵の外には自由が溢れているのに
何故か人は柵の中で生きる
ちょっと跨げば乗り越えられるのに
誰も跨ごうとはしない
自由の身になることを恐れ
しがらみから解き放たれることを拒絶し
狭い柵の中 ....
おんなにとっての
それは囚われ
深遠の亀裂より鉄鎖を垂らし
おんなは生きる
獣は獣
下履きから覗かせる鉄鎖を
見も知らぬ男に掴まれたとしたら
それが悲恋物語の序章
秋の日の静寂に我が身 ....
子どもは大人のように残酷で
大人は大人なのにてんで大人でなくて
『バカの壁』や『国家の品格』が
バカ売れするにもかかわらず
この国では保身と自己満足の生き方がオオハヤリで
そこから脱皮できな ....
海辺のレストラン
マリンバの調べ
マグロのマリネ
コトバのダラク
カンネンのリンク
三年七組
娘のクラス
概念だけの家族
言葉の堕落
観念のリンク
ヤンバルクイナ
千年の ....
心が抜けてしぼんでしまった
わたしの身体に
あなたの息を吹き込んで
ちょっとあたたかな
ちょっと煙草臭いあなたの息を
自分までもが赦せなくなった
あの日から
わたしはわたしじゃ無くなって ....
光の中、静かに死にゆく森
闇の中、静かに死にゆく君
人の中、静かに死にゆく善
夜の中、静かに死にゆく鳥
火の中、静かに死にゆく空
希望さえ、静かに死にゆく{ルビ現実=ゆめ}物語
ね ....
聖フランチェスコはイタリアの裕福な商人の子として生まれました。
フランチェスコが青年になったとき、キリスト教の聖地、エルサレムがイスラム教徒に奪われたために、ローマ法王の命により、エルサレム奪還 ....
硝子細工の
幾つかの重なりは
小さな風の溜まり場をくるくるとかき混ぜて扉を揺らし
丘に続く小道を夢見るのです
夏が降り
気まぐれな模様を織りなして
あのひとの指に留まった雨粒が私の
....
中心へ向って途絶えない無数の
緑の中に駈け寄って
眼の後ろで呼ばれた光は
しだいに
向かい合わせた最後の場所で
塵に変わりゆく扉に刻まれても
痛みのオウトツを識らない
薄まら ....
それがほしいのだという
網の籠を背負って
捕まえて入れるのだという
静かな息に
舞い上がり漂ったのち
重さを感じて落ちてくる頃に
掴むのだという
小走りに途切れて
靴音の後ろか ....
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