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(彼の手によってもたらされる気持ちの悪さは、少なからず私の子宮辺りで産声を上げていた。
それらは私が芯から疼く度に鼓動を募らせるのだが、しかし、その心臓である彼の脳髄 ....
瞳を震わす息吹を
すべからく
祈り、と、呼ぶ
そんな
少女の小さなまつげは
時折、瞬きとは別に
揺らぐことがあるという
胸元で組んだ手の
その周りに、
祈りは宿るのだろう ....
若葉が芽吹いた時の
頬の熱さを
私は今も未だ
忘れずにいる
瞳孔を徐々に開く
その過程の間で
視界が緑に染まるのを
見ないふりをして
気管をゆっくりと
狭めていく、 ....
テストの端に付けた
小さな丸の中だけが
やけにリアルに見えて
目を逸らした、あの日
飛び交うチョークの粉と
女子高生の猥談の側で
僕は、サナギになる準備を
早々に始めていた
....
ハンカチが飛んで、
きみのスカアトがめくれて、
ぼくの目線をとらえて、
きみはウインクをして、
踏切の音がして、
知らない歌が聞こえて、
人々の足音が止まって、
ギタア ....
僕の右手が
何度も触れようとした、空の隅っこは
夕凪に吹かれて
いつも少しだけめくれていたのを
僕は、微かに覚えている。
その話を
黙って聞いていた君が
急に、眠りにつくだな ....
使い捨ての帽子に
ミルクティが付着して
私は
何故か、はっとする
余りは沢山あるからと
笑いながら言う
これが人間だとしても
あなたは
笑うのだろうか
白いメッシュ ....
雨色の空気が
私の奥をノックする
深く吸い込んで
吐くだけの、仕草
名も知らぬ花に
小さく声をかける
雨音はもう
とうに止んで
水溜まりの上を
わざと歩く
波紋が ....
揺れる電灯を
膝立ちのままで、消す
扇風機からの人工が
生々しく
私の頬を通り過ぎる
茶色い光の下
飛び交う光がある
テレビを消してみた
全く
見えなくなって、しまった
....
オレンジの三日月が
細やかな雨を降らす頃
私は屋根の上で
うさぎを探している
時計仕掛けの空は
星を降らしながら
ただ、じっと
佇んでいる
床に落ちている苺は
まだ ....
ステンドグラスが光る
クラシカルな部屋で
私は無言のまま
珈琲を含み
ケーキを頬張っている
鏡張りの壁に
もたれ掛かる身体は
きっと、もうすぐ
溶けてしまうのだろう
....
ゆるすことにつかれてしまった
ひとりのせいめいたいは
とけいのはりをおって
じかんをとめて、しまった
はりとはりのあいだで
だれかをまちわびている
そのまま
うずくまっている
....
バニラシェイクが
白く、あぶくを吐き出して
私の頬を
愛撫している
フルリレロと銘打った
ソフトクリイム
(キットカットフレイバア)
の、カップは
見て見ぬふりをして
壁の反対 ....
フロントガラスに映る
木漏れ日をなぞって
睡眠体勢をとる
外に出てしまうと
少し、汗ばむ陽気だけれど
一つ隔てた世界では
丁度良い感じだから
上昇気流に乗って
飛ばさ ....
真ん中に
するり、と
入り込んで
溶けきった後
成長を、開始する
君のその
心に根付いて
愛という
餌を貰って
大きく、なっていく
....
ある筈のない
五行目をなぞりながら
レコードは音を紡ぎ続ける
私、と呼ばれる生き物は
禁断の実をかじりつつ
その音に
聞き入っている
ある筈のない
存在しない、五行目 ....
これから
私、という名の
暴走特急は
成長という駅へ向けて
猪突猛進
進んで、参ります
ですから
危険を伴いますので
窓からお手は
出さないよう
後ろを ....
爪の間から
ぼろぼろと、溢すのは
何年も前からの癖
何が溢れているかなんて、
知ろうともしないまま
昔話の中で
お爺さんは呟いていた
その空白にこそ
全ての答え ....
瞳の奥で揺れる
至極、あやふやな
日付変更線を
片足ずつで跨いで
昨日と明日の間
本当の、本物の今日で
息をする
世界を知る
でも
ここには
日付なん ....
臨界点まで
達してしまった温度は
やっぱり
オーバーヒートを起こして
冷却装置の
スイッチを入れてしまった
(ただいま)
(くーるだうんちゅう)
(しばらく、おまちく ....
雨上がりの世界
虹はもう、霞んで
短い終末を迎えた街に
新しい世界がやってくる
隅っこでうずくまったままの
黒く淀んだ
嫌われたものたちの声が
啜り泣いているのを
人 ....
足早に通り過ぎた
世界は今、遥か後方で
私を呼んでいる
擦れ違った私は
遥か前方で ただ
先を、見詰めている
ネジが何処かで
一本抜けてしまった
から
世界と私は
....
むきになって
取り繕った一雫、が
忘れ去られた今
ようやくチクチクと
棘を
発生させて
忘れるな
忘れるな、と
声を上げている
(ように、感じる)
洗濯機に ....