終わってしまった
はずなのに
それは密閉した
重いふたの透き間から
かすかに甘くたちのぼる


人知れず心の底に
埋めたはずなのに
かぐわしい記憶の薫りは
ゆるゆると漂い
真夜中 ....
異なる温度、異なる
基準、で。



噛み合わないままの送信箱の
中の、哀しい記号たち。




今日も行き場を失くして、
スプートニクの遥か上

不思議な磁力 ....
わたしのたいせつな彼氏
ちょっと太めで
なんだか見た目はイマイチだけど
ひたむきって感じの横顔が
とても好きなんだ

でもね
困っちゃうんだよね
おんなの子はこうあるべきだという信念
 ....
ぼくには声はないよ

さけんで さけんで
声はきこえなくなってしまったよ
ぼくは、うたえないよ
ただ、卑屈な笑みしかつくれないよ


正直、今日も死にたいと思っているよ
病気と言って ....
雑踏のあちこちで発生する
ポップな着メロ
それぞれの手のひらの中
ぽろぽろとカラフルな
想いをつかまえる


まるでゼリービーンズのよう
人工着色料かけたみたいな
絵文字やコトバが
 ....
近づいてゆく
風が乾いた草の匂いをはこんで
近づいてゆく
滅んでゆくものの気配を
怖がらないで足をのばし
サンダルを遠くに飛ばして
近づいてゆく
秋のサテンのやわらかな手触り
私はこの ....
きらきら きらきら
シルバースター
しんしん しんしん
夜の音
ぴかぴか ぴかぴか
イエロームーン
ぴこぴこ ぴこぴこ
空飛ぶ円盤
朝はこくこくと
近づいている
太陽が沈んでゆく
そこが西の空だ
そして今日は下弦の月
だからすぐには
月を見ることができない
真夜中までじっと待て
そうしたら
太陽が沈んだ反対側を見ろ

今日の理科で習ったばかり ....
{ルビ鈍色=にびいろ}に濁るかつての青空
そっと思い出してみて
君の笑顔はそこに在る

見つけたものは、既に死んでて
どうしようもない現実に、
涙はどうせ流れては来ない

鈍色が私の銀 ....
良くできたうめぼしは
故郷の懐かしい味がする

すっぱさのなかから
忘れかけていたものが顔をのぞかせて
こんなんだったよね
と問いかけてくれるような

ほどよく皺くちゃで
秋アカネの ....
ー圏外ですー


見えない壁に阻まれて
打ち砕けていく
想いの断片


わたしの中で
バラバラ散らばる
感情の鋭い破片


拾いあつめようと
無造作に触れて
斬ってしまっ ....
今あなたが食べた
その秋の実は
一年に一度しか実がならない
そんな生き物なのです
人の一生の中では
わずか五十回くらいしか
作ることができません

この秋の実ができるまでに
冷たい風 ....
簡単な語彙、


まるで水の中の魚みたい




な、こと。



喉に、つかえた繭を探して、

見つけて


瑞々しい言の葉、を




邪な ....
さよならのホームに
闇を抜けてやってきたヘッドライト
ふと目が眩んだ

線路は続く、と
幼い頃何度も口ずさんだ歌の
ほんとうを確かめるように
飛び乗った
行き先表示は
確かめ ....
          
            ねえ、キミもためしてみてよ
            魔法のシガレット
            小さいころに気どってくわえた
            ....
数段にかさなった雲がちぎれて
やがてあなたのところに届く
そうして同じ雨を降らすの

目に映りこんだ人の波を追い出したくて
必死で目をつぶってみるけど
ぶつかり合う肩の痛みに
思わずあな ....
なにかが欠けていたのだろう
あなたに伝えること

いま
全裸を隠そうとしている
この月のように

僕があなたを
少しずつ愛していった
はずなのに

あなたは
不信で覆われていく ....
晴れた日に
テレビゲームをしていたら
外で遊べと言われ
公園でサッカーをしていたら
ボール遊びはするなと言われ
自転車で探検に出かけたら
行き先を必ず言えと言われる

ぼくたちの遊びを ....
かつて潔く閉じた手紙は風を巡り
伏せられていた暦が息吹きはじめている

朽ちた扉を貫く光は
草の海を素足で歩く確かさで
白紙のページに文字を刻みはじめ
陽炎が去った午後に、わたし ....
夏の終わり

りんりんと鳴く虫の音の響く夜の淵

なまあたたかいぬめり気が
頬をなでる



セックスを終えてアパートを出た後の
このにおい

夏のにおい、のような
記憶のか ....
セミの声を追いかけて
見知らぬ森ん中
麦藁帽子のつば先は
南の方を指していた
虫かごん中はからっぽで
虫取り網を空高く
どんどん奥へと進んで行った

四方八方セミの声
どっちへ進めば ....
せつない夜は
何して過ごす

ことば遊びの
ことば紡いで

とろとろ落ちる
時間を織ろうか

それとも

赤い月から滴る
ゆらいだ糸で

あの人に裂かれた
心を繕うか
 ....
旅だとか
なんだとか
の前で
ぼくは無性にくすぐったくなる


ここは星がきれいだ
ただ、それだけでよかった

くちにする言葉なんて
くだらないことばかりで
ハンドルを切り損ねた ....
君の夏の中に
向日葵は咲いた
去年よりも太い茎で
大きな花を咲かせて

はっきりとした向日葵は
これからしおれてゆくだろう
けれども君はそれを
悲しんではいけない
それが自然なのだか ....
蜃気楼を信じて
砂漠に打ち上げられた鯨

現実から逃げ出して
淡水の夢を見たけれど

安らぎは
もっとずっと
遠かった

求めたものと
与えられたものと

砂粒みたいに
隙 ....
蒼の天蓋
と、


切り取られた
過ぎ逝く季節の空気は、


きっと
黄金色。



その一瞬、


愛おしい白い星砂のよう、





 ....
        サハラ砂漠のように
      地上をすべてやきつくす
           向日葵の葉月
        青空にひろがるのは
     regretのシャボン玉ばかり

 ....
ナツノ星、
ナツノ空、


ナツノ海。

ナツノ、、、


すべて、ぬってしまいましょう、



貴方が眠りについた、
その後に。

貴方と私、

 ....
真下に拡がる海原は
厳しく削られた岩の入江を包み、
とうに半世紀を過ぎた
今しも汽笛の鳴る港へと
煌めく漣(さざなみ)を寄せて

夏の賑わいが恋人達とともに
古い桟橋を大きく揺らして訪れ ....
はじめてラブと出逢ったのは
新宿歌舞伎町にあるペットショップ
狭い檻のなかで怯えるように震えていた

あなたの瞳をみつめた瞬間から
ラブ
わたしたちはあなたの虜になってしまう

思わず ....
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