信じることから始めるつもりが
疑わないことに気を取られ
信じることで救われるつもりが
疑わないことに疲れている
もうダメだ もうダメだと嘆くうちに
まだダメか まだダメかと唱えるようになった ....
さ。く。ら。ち。る。ち。る。
さ。く。ら。ち。る。
文字は花びら、桜散る。
て。ん。て。ん。て。ん。て。ん。
転々と渡り暮らした町々の
別れの記憶に桜散る。
....
いつものように
髪を結い
いつものように
紅をひく
わたしは何も
かわらない
置き去りの
この部屋で
恋しい
恋しい
恋しいと
嘆 ....
トリコロールカラーを織り混ぜた不協和音が
螺旋状に響く午前2時
F♯dimとB♭7がクロスした地点に
ジンジャーエールを凍らせたような結晶が生まれる
そう、今わたしの左の腰に小さな氷山が突き出 ....
朝 魚だったものが
夕方には生花に変わった
明朝には昭和を生き延びた築堤も
すっかり掘り崩されているだろう
燃え落ちる前々日に新線開通
潮で潤すことができなかったいきもの
忘れた積りはなか ....
この浴槽を欲情で満たす牡丹雪
ひとひら、
口づけるたび、悲しみの温度が肌を焼く
ひとひら、
白い手に抱かれるまま、別れの雪を肌に降らす
この雪は溶けるため
この白は忘れるため
あなた ....
向かい風、吹雪の下校道。
風速10メートルと零下10度の結婚で生まれた雪のカミソリに
顔を傷つけられないように、後ろ向きで歩く。
「大丈夫だから。」って言って
かばうように前を歩いてくれる友達 ....
白い孤独に金切り声をあげる
メチャクチャニシテ
狂喜乱舞する地吹雪こそ真冬の神髄
静寂零下の銀野を破る侵奪者
生命に対する絶対者
天も地も前も後もない
白刃が体中を引き裂き ....
それってホントに必要なのか?ってことがよくある。
ナニかとそんなコトで身の回りは溢れていたりする。
それでもキミにとって大事だと言うのなら好きにすればいいと思うけど。
何度も言うようだけど押し付 ....
━数億年、
寄せては返し繰り返し
水、空気、光を、
混ぜる、取り込む、濾過する
そうして造られた海は、人の創造を遥かに越えて
例えば、ありふれた海岸線の湾曲にさえも
....
過ぎると思えばもう七月だった。太陽は容赦なく地平を照らし、噴水は熱を帯び煮え滾るように地底からの湧き水を惜しみなく撒き散らし、攫うように若者たちの長袖を奪っていく。燕尾服のよちよち歩きは麦わらを無理矢 ....
きみが帰ってこないあの日から
砂時計の砂はさかさまにこぼれて、こぼれて、
しだいに、ちいさな子供になってしまう、夜
遠くで、つぶやくきみの言葉が、わたしの名前だといい
そんなふうにして ....
書き出しの言葉は、思いつかないから前略。
今年の東京は春が来るのが早いよ。
本当の冬は来ないままだから、故郷の二月、思い出してたところ。
−20℃、ダイヤモンドダストを肺に吸い込む日、 ....
窓を 開ける
太陽が 沈む
もう 一寸 ひとりで
眺めて もしも
藍と朱が交差する沖の向こう側に
寝そべって小さく閉じた夢を見れたらなあ
ああ
盗塁王 扱ける
蜜蝋が 融ける ....
その風の名前は知らないけれど
黄色い砂を連れてやって来るその風の後には春が訪れることなら知っている
そこが何処に在るのかは知らないけれど
3月の空の青を背に、辺り一面に咲く菜の花の黄色なら知っ ....
ミモザの下でキミを待つ、キミを待つ。
雨は銀灰
傘を打つ音、なる、なる、なる。
ちりちり りりり 燃える線香花火。
さわさわ さわわ ざわめく拍手。
ぽんぽろ ぽろろん ....
あれは 炎と 誰かが言ったが
つかむものはいなかった
祖父は 過去へ向かい
一閃に 死体を 乗せていく
それらに 名がつく事はあっても
私の 怒りは 極めて 加工される
抑揚を知らない ....
ねぇ、かあさん。わたしの初めての言葉って何?
「赤ちゃんのときの?
ぎゅって握った手を差し出して『うまー』って言ってにこにこって
笑うから、母さん、本当にうれしかった。」
うま?な ....
━聞いてな━
なあなあなあ、あんたほんまにうちのこと好きなん?
どうせまた騙されてるんやないのって、お母ちゃんは笑うねん
けどな、うちはあんたのこと
なんでか知らんけど、信じら ....
口語の時代はさむいがその寒さの中に ※2
自分の裸をさらすほかない時代
ひとつの恐ろしい美が生まれた ※3
三角さん、錯覚しなければ ....
石をみている
石の奥に映る光をみている
石の奥に映るわたしをみている
石の奥に映るわたしの瞳をみている
石の奥に映るわたしの瞳に映る光をみている
石とわたしのあいだには
....
車道を行く
ひたすら行く
迎えは居ないが
歩く、ただただ道程をたどって
後頭部からカット・インしてくる
車両の音
踏み切りのベル
仕事帰りの会社員の独り言
二階から自販機に家族 ....
{引用=彷徨うお前のたましいからもしも右手が差し出されるのならば、}
泣いたり笑ったり
他愛無い言葉を交わしたり
時に交わってみたり
逆立ちしてみたり
泣いたり
笑った(ふり)を
し ....
何故かあのひともそうだった
年上の素敵な奥様がいて
それなりに幸せな家庭を築いていた
そしてそんな男の軽い浮気心に惚れてしまう女がひとり
初めて出逢ったのは真冬に逆戻りしたような夜 ....
夏になると 春色づいてた花は散り
青々と茂る緑の木に変わる
木は二本 三本と増えていって
林になる
林がたくさん集まるといつの間にか
森になる
コンクリートの社会に住む現代人は ....
時折見せる
あなたのかなしい微笑に
わたしは茜の放課後をみる
琥珀に澄んだ
あなたの真直ぐな瞳のなかに
わたしはゆらめくさかなの影をみる
あなたは そう いつもやさしい
....
鯖、青くあれよ
他愛も無い会話にひとりで萎れて
声を殺す自分以外の
殺生するな、その声で
正夢のなかで
静寂に甘えずに瞳孔を拓けよ
望遠鏡
向こう側の前に
焦点を見出せ横たわるのなら、 ....
みそひともじの
みそひともじの
こいのうた
みそひともじの
みそひともじの
あわれうた
かなわぬこいの
かなわぬこいの
つづりうた
あわれをうたう
あわれな ....
{引用=死ぬ気になれば何でもできる…
それは瀬戸際に立たされたことの無い人間の言葉}
新地に棲んでいた頃の母を良く知っているといって
狐目の男が自宅を訪れることがあった
その度 ....
凍てついた太陽の下で僕は笑えずに
澱んだ空の隅っこに温もりの床を探す
それは冬のこと
日向に微睡み
夢見心地に酔いながらねえ…
ずっと、そっと
人知れず
浮かんだままで居れたらいいのにね
(僕 ....
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