(1)

掛け声と干物の臭いに押し流されるようにして
昼下がりの賑やかさに身を委ねてみる
所狭しと商品の並んだ店先を覗けば
一見かと値踏みする手練の客あしらいに
思わず半歩後ろへ下がりつつ ....
特急の追い越しのため
列車の停車中に
駅の端では若い女の車掌が
さりげなくにこやかに
初老の車掌と交代していた
ちょうど明日を
告げようとする頃に
常夜灯の近くを飛び回る
一匹のコガネ ....
1.

すき
きらい
どちらでもない

ひとひらの

花びらを海辺にすてに行く
指先が君を呼びかけていて、長袖を捲ることが
できない
もう知ってるんだ

この先で
海辺の声 ....
ひどく繊細なうすばかげろうがフェラーリの排気ガスを消化していく。そのうすばかげろうを砂場の幼女が記憶に残し胎児の記憶を曖昧にしていく。養殖され、養殖されていく幼女、どさりと汚い音は、スリーピースの黒い .... (1)

明日と言う日の訪れを恐れるときがある
気を紛らわすことさえままならず
早々に床についたとしても
考えるのは埒のあかないことばかりで
苦し紛れの寝返りを打てば
人の気も知らず目覚 ....
波の匂いがする。

まぼろしはわたしをさらうことはしない。

やさしさという風が、角のコンビニエンスストアに入っていった。思わず後を追う。ああ、ここにはいつも、誰かがいる。自動ドア ....
おれの妻には
感心する
女の共通なんだけど
純粋なんだね
演技なんて
全然ない
嫌いと好きが
はっきりして
俺のこともぼろくそに
言うが
時にはめっぽう
褒めてくれる
計算もな ....
青空に舞い散る飛沫きらきらとプールに飛び込む少年の夏

呼んでいる遠い記憶の夏の声駆けて行きたいいつかの森へ

朝顔の花が咲いたよきれいだな笑顔も満開夏の絵日記

水平線の彼方に浮かぶ蜃気 ....
ドイツへ行って
ビールをのもう
赤い自動車に乗って
ブティックへ行こう
表に出れば牛乳車が
ガタガタ
砂糖壺の中の
小人が踊る
占いの絵に見入り
ブルブルビユン
ペラペラシュパー
 ....
残像にある
夏の陽差しが萌える
ニッコウキスゲの
ように咲いている笑顔に
揺らめく胸のときめきは
信濃銀河鉄道の
レンガ色に敷かれたアーチ橋へと
遥かに架かる
真っ赤に錆びついた
レ ....
暗い受難が
名もないアスファルトの海に

堕ち、

て、


、産まれ





1.

座り込む前、私は知っていた

焼けた夕陽を目にする度
自分の踵から伸 ....
境界の打ち水、
風が死んだ下町の昼下がり
狭い裏路地を通りすぎる
黒い日傘を差した女

夜に咲く花が匂う、
鉢植えの月下美人が
錆びた郵便受けの真下に
只ひとつ置かれていた

よう ....
* 1

愛無しには生きられない
わたしは本気でそう思っていた


* 2

あの水着もそうなんだけど
これもなんだよね

目新しさは常に外側からやってくる
そんな時代になった ....
おなじすなをさわっている
別の数を言うから
涙がでるだけ
目を見て。 それか
目を閉じて。
見渡す限りの砂場で
雨が降って
いたとしても
同じところにいる、
それだけで
掘ったり  ....
あらゆるまがりかどの公園の
無人のブランコ
ばかみたいにゴミ箱の中身はちらかったまま
カラスが群れる

夜道切り分けて曇り空は進む
ガラス窓が割れて
流線型で情報が流れ込んでくる
ひき ....
喉の奥に良からぬ話題が引っ掛かっている
だから、一昨日くらいから喉が痛い
唾を飲み込もうとしてもうまくいかない
段々と不満が頭の中で熱を持ち始めている
もうすぐ風邪でもひくのだろうか
今、と ....
{引用=ばたん――
ドアがしまるような
収穫の音がして、巻きあがる
走り去ったランナーの
一陣の風

よみがえる
まなざしの白さ、
青い息
ゆらぐ光彩に
ぼっ
と一点とどまる
 ....
遠くそびえ立つビル群
人間が高さを競うように
草木は深さを競い合い
私の横たわるこの下で
取っ組み合いの陣取り合戦を繰り広げている

負けるのも勝つのも好きではないと
酒のない酔いに飲ま ....
タンゴの旋律に
呼吸を合わせるように
茜色のロウソクの火が
ゆらめいている


凪だった{ルビ水面=みなも}を掻き立て
眠っていた感情に爪を立て
ゆさぶりながら


身体の中を貫 ....
真夜中。


アコースティックギターで
指先をぼろぼろにしてコードを鳴らすStreet musicianの
褐色の手のひらが夜の街へと舞うように
恋する人の夜空へと伝えたいことがある。
 ....
星が降る
星が降る
夜空を彩って
涙の数だけ
祭りはめぐる

草の海の彼方は
満天の星空
今宵は星祭り
一年に一度
願いが叶うという特別な夜

もしも願いが叶うというなら
も ....
空咳に転ぶ
換気扇の下
フライパンに灰が落ち
洗っても洗わなくても
そこに立つ人はもういない
戻ることのない忠告を
体内に留めようと
タバコを外して息を吸う
吸うだけでいたかった
そ ....
ホワイトノイズは
部屋で夏空を包みながら
白壁に掛かる孤独な
仕掛け時計の秒針が
いつのまにか
こつぜんと沈黙している
とても古い悠久にある
哲学をゆっくりと紡ぐ
みたいにして

 ....
メザシを食べれば
思い出す


干すばったところが
バアちゃんの手にそっくりで


この塩っ辛さは
バア様の小言にそっくりだ


それに
なんとも言えない
ほろ苦さは
バ ....
 
なんで なんで と
聞きたがる あの日は
まだ何も知らぬ
真っ白なコドモだった。

笑ったり 泣いたり
知らん顔で通り過ぎようとする
オトナを見れば
少しずつ 少しずつ
歪んで ....
セミダブルベット

アルファベットは外に吹き出し
また自動とかかれた扉がひらき
道路ににぎやかに人混みが揺れ
飛ぶということについて考える
指を折りながら時間を値踏みし
白ビニール袋が後 ....
みんな大好き!
と叫んだアイドルがいた

その場の誰もが
「みんな」には自分も含まれている
と信じようとして
アイドルの名前を大声で叫んでみたりする

「みんな」
そして「わたしたち ....
雨が笑ったら
それは春の始まり



雨が色付いたら
それは夏の始まり



雨が美味しくなったら
それは秋の始まり



雨が意志を持ち始めたら
それは冬の始まり
 ....
突然放りこまれてしまった


病院の待合室にすわらされ
時計の針が無表情にすすむのを
昼メロのデジャ・ヴのようにながめる


「ママ ごめんね」
かすれた声の一言で
キミは幕開けを ....
あの螢祭の夜
ミルクの河 渡った
ボクの手が少しギュッとして
キミは 痛い 顔を{ルビ顰=しか}めた

力の加減を知らない
ボクを許して
少し折れてしまった指

キラキラしながら
 ....
アハウさんのおすすめリスト(2019)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
消費されるひと- 恋月 ぴ ...自由詩25*08-7-30
銀色の眼鏡をかけた車掌- りゅうの ...自由詩9*08-7-29
海辺の理由- 二瀬自由詩34*08-7-28
- 榊 慧自由詩608-7-27
遠ざかるひと- 恋月 ぴ ...自由詩38*08-7-23
ひとつなぎ凪ぐ夏- 紺野 夏 ...自由詩1808-7-23
つま- 生田 稔自由詩508-7-23
少年の夏- 未有花短歌16*08-7-23
ビールを呑もう- 生田 稔自由詩608-7-22
キティのデザインハンカチ- りゅうの ...自由詩5*08-7-21
こころ- 二瀬自由詩8*08-7-20
夜に咲く花_☆- atsuchan69自由詩15+*08-7-18
iなひと- 恋月 ぴ ...自由詩24*08-7-17
すな- かとり自由詩16*08-7-16
ゆれる- モリマサ ...自由詩31*08-7-15
大人の風邪- 小原あき自由詩19*08-7-15
レタス- norif自由詩3208-7-15
気の迷い- 佐々木妖 ...自由詩12*08-7-14
タンゴ・ダンサー- 渡 ひろ ...自由詩23*08-7-14
恋のはじまり- りゅうの ...自由詩4*08-7-14
星祭りの夜- 未有花自由詩12*08-7-14
いっそ阿片のように- 佐々木妖 ...自由詩7*08-7-14
仕掛け時計のある風景- りゅうの ...自由詩5*08-7-12
メザシの歌- 青い風自由詩5*08-7-11
生きる力。- Izm自由詩308-7-11
セミダブルベット- モリマサ ...自由詩1008-7-10
ホコテンのひと- 恋月 ぴ ...自由詩30*08-7-10
あ、め- 小原あき自由詩17*08-7-8
ミスキャスト- 渡 ひろ ...自由詩18*08-7-7
ミルキーウェイ- 西日 茜自由詩17*08-7-7

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