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足の向くまま川辺を歩く
チィリリリーと鳴きながら
いそしぎがひっそりと降り立った
すこしだけ日が射すような
くもりぞらが
おまえには似合うね
生え換わる赤子のような羽毛 ....
ねぇ
呼びかける
なんでもいいから
誰でも
花でも
木でも
鳥でも
空でも
雲でも
遠くても
ねぇ
呼びかける
声が ....
今日は水族園の定休日
清掃はぼくの仕事だ
すっかり水の抜けた巨大水槽の中
頭上に燃える太陽
遠くジェット機が白い尾をひいて空を行く
濡れたコンクリの地面に空から落ちた星のように
....
アスファルトの熱
耳をつけてキミの温度を聴く
不安で仕方なくって
キミの確かさが欲しくって
塗り固めてしまった弱い僕たちだけど
ねぇ
あすふぁると
あすふぁる ....
葉脈のない手で
壊れそうな
きみを複製して
アロエ
愛がひざまずいて
ここに痣ができたの
ぎざぎざの記憶の痕
なぞるふたつの指
触れる粘液の
とろりと滴る
....
「ここになにかがありまする」
そう言って彼女は化石発掘用のトンカチで
私の胸をとんとんと叩く
いつもの陽だまりの午後
「なにもありませぬ」
「いやいや、なにかあるであろう」
....
君のまつげが
ふいに
揺れて
まるで手のひらに
雨粒をうけるように
かなしみを
見上げている
そうして
たった今降りだしたかのような顔をして
胸の中に一気になだれ込んで
....
この広い野原いっぱいきむちちげ
さみしいよるにはさむげたん
嗚呼 熱が出ると
こころが優しくなるね
不思議だね
空気を抱き寄せてはあはあはあはあ
うどんがアタマの中でぐるぐる
ス ....
あなたのなかをふるあめが
あなたのまつげをゆらして
あなたのなかをふるゆきが
くちびるをふるわせるとき
ぼくはあなたのてにふれて
ちいさくなみうつおと
ちいさくはじけるおと
あま ....
胸に潜む
沈黙の種子よ
忘れえぬ時の傷みを孕み
切り立った断崖に木霊する
エクリチュールの犇き
伝えられなかった想い
その亡骸
堆積した土塊でできた
テラコッタ ....
荒涼とした原野に
流転の種は解き放たれ
十五夜の月が
黄金色の蜜を
大地に垂らし
豊潤の実りを
見つめている
舞う種は地に根付き
芽は硬い殻を破り
一息呼吸する ....
ここではまるで反転したかのように
辺りは真っ暗で影だけが白い
「言葉」という絵の具を
ぼくたちの真白い影に落として遊ぶ
「あい」は心臓になり
「くう」は胃になり
「ほしい」は ....