イトしくて
カナしくて
仕方ないから
わたしは「夢」を視る
捉えどころのない
その想いを
苦い香の紅茶で飲み干して
白と黒の兎を
透明な「夢」
染まらない世界で追う
....
普通に分かると思っていた
この没落された国家が
何の機能もしていない
パンドラの箱だということを
沸点をこしてもまだ沸騰しない
涙のアパートは
決して崩れるといった選択 ....
背が高いとは限らなかったよ
ちいさいやつもいた
まあちいさいのもでかいのもばかだった
さわらなきゃいいのに火にさわるのはやつらだった
火傷したくなけりゃ
火からすこしだけ離れていたらすむ ....
太陽という名を持つその花は
光の輪郭を持っていて
「笑って」
と、ほほえみかけてくるのです
大切なものを失って
すべてを噛み殺して
悲しみよりも深くたたずむその人の
かすかな ....
ふいに春風が吹き
桜ふかれそして舞い
その花びらに巻かれ
いつしか春は過ぎてゆく
大人になったら分かると思っていた
自分の存在は今もわからないまま
残酷なように秒針 ....
つまらない
空腹を抱えてとぼとぼと歩く
階段をおりて冷蔵庫を探る
腐りかけたバナナが転がっている
嗚呼、何てつまらない
日常はつまらない
僕はいつまでこうして
だらだらとつまらな ....
各々に謂れのありてうつくしき澄める大和の数多なる山
新田と名ある景色の一つなる池の面のしろき小波
絵は如何に上手に描くとするにしも神のみ手にはいや及ばざる
猫がのびをするように
舌を出して
髪を風に翳して
眠るうちに
世界の大半が嘘に染まって
太陽さえもイミテーションになってしまう
午後に於ける
2時00分と云うものは
ひときわ ....
ふるびた喫茶店で飲むコーヒーは
なぜかいつも飲むコーヒーとは
全く違う味がしたんだ
人が全くいない地で
ただあるのは風化しボロボロになり
今はその姿をひっそりと
浮 ....
あさとよる
うみとそら
砂浜は境界線
ふたつでひとつ
よせてかえして
あいまいに笑ってる
目はふたっつ
耳はふたっつ
瞬きのためいき
ふたつでひとつ
すってはいて
風が遠くを ....
ちらかった部屋で
宝物を探していた
いつからか欲しいものは直ぐにテノヒラはを開いたら
そこにあった
暗い独りぼっちの部屋で
僕は人形と一緒に住んでいた
いつも鉄の檻 ....
電車はもう乗り終えた
飴の袋もからっぽ
歩き出す
足元の道はごつごつしている
日の光は花や木にばかり当たっている
ような気がする
水が飲みたい
と思った矢先に
湧き水の立て札
山深く ....
La Roue de Fortune
[正]
運命の車輪は巡る
『見つけた』
仮想空間文字だけの世界
ビジュアルな媒体より
白と僅かの黒の世界で
葛藤や喪失が文章だけで伝 ....
La Roue de Fortune
[逆]
回転する
車輪は
あなたとわたしに
冷笑をあびせ
無駄な抵抗を続けながら押し寄せる終焉を客観的に観ていた
過去の教訓など忘れ
自 ....
ふせた長い睫毛が
まっすぐにこっちを向いて
貫かれるんじゃないかと
どきどきした
ばかみたいだけど
向き合ってね
一定の距離を
大切にしていると
もうこんなに
こんなにせつない
....
わたしの大好きな人の得意料理
潰れた玉子焼き
ホワイトデーのプレゼントだった
可愛い紙コップに
玉子焼きを
渦巻状に押し込んで
小さい子が好きそうな
ウサギの旗をぷつりと刺し ....
例えば犬や猫みたいに
せめて小さい頃の姿が
あいくるしいものだったら
愛することを知れたのに
愛されることを知れたのに
子供のころから
ずうっと考えていたこと
あたし本当は
毒なん ....
画布よりウィンクをマルガリータに。ヴェラスケス、ラスメニーナス。
教えてよ。あなたの愛した人は誰?女官よんめいだれにもないしょ。
ちちははは鏡の中なるひとにてや。ほの明るさに朧なる ....
明日晴れるなら蜃気楼をみにいこう
僕がまっている何かはまだこず
降り頻る涙の雨を浴びて
脅えながらそれでもなお
コンクリートに覆われた部屋からでずにいた
きてはかえす
....
里に寄せる
風向きの奏ず
羽二重と蕾む
鬱金香の艶やかに
絹擦れの音、軽く
君、聴こゆるか
北緯60度ロシアオロシア駆け回り。ピョートル大帝未だ健在。
雪とけて初蝶襲来まちのぞむ。昆虫学会会長代理捕。
アナスタシアアスタシアかもほととぎす。生きているのか死んでいるのか。
....
{引用=嬰子の褥
闇のひとつ奥に蠢動する白光体がたしかにあった
血に焼かれた嬰子が視えない手のひらに止まって
私の身体に続いている
いやへその緒はぜんまい状に闇に溶けて
それはもうわ ....
森深くハムレットなど立ち入れぬ。水に浮かべりミレイの乙女。
水清く流れし行方は知らざりき。アングル描くはだか身の乙女。
何を見て何を知れるか裸身の{ルビ少女=こ}。壺より落ちし水の ....
こころの 襞を はなれて
この場所から は ただ
あわいひかりだけが
みえています、
ひかりは きみの頬を
嬲 ....
ケルンよケルン。かきくれて忘却のちまたに雨ぞふるなり。
ピンダロスダイダロス!不可思議な笛吹けよ大地沈むまで。
パン、ラパン、メロンパン田園に落雷ありていそぎ告げなむ。
森を眺めるようにビルをたどる
窓から窓へ目を移し
切り貼られた深さと切り抜かれた感触を行き来する
昨日この先で見つけた
あの場所は今日も見えるのだろうか
高さを計るように 首を真上へもたげる ....
かきかえさせられた人類の歴史
それでもなお美しく輝かしい高名を掲げるのだろうか
北風吹くシャッター街に溢れるのはため息と小銭と絶望だけ
ジェスチャーだけで想いなどとどくはずがない
....
つのる程に薫る
零れるばかりの
想いを
薄紫の言伝と束ねて
静けさの陽光を
通りすぎる風に
誰かの
囁き声を聴いたような
只々、
木漏れ日のベンチより滑り落つのは
枝垂 ....
雨音に紛れ、扉が僅かに軋んだように思えた。
母親がこまめに掃除しているのだろう。
微かな埃と日向の匂いがする。
雨粒。雲を縫うこどもたちの声。坂道を駆ける軽い足音が風に乗り、ガラス戸を揺らす。
....
世界が私の選択次第で滅ぶとして
いやはや私がなにをしようと
いつか滅ぶことはきまってるんだが
世界とあなたとを天秤にかけたら
世界のほうがもちろん大切なはずである
まったく信頼おけないあほー ....
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