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つくんと
ときおり胸で感じる痛みを
悲しみのせいだとは
思いたくないから、僕らは
うたおうとする
好きな歌を
思い出せないフレーズで
立ち止まってはいけないと
覚えてるとこ ....
用なんかないよ
会いたいだけ
見せてよもっと
君を
明日はきっとあるなんて
どこの誰が保証してくれるの
今君と会えなかったら
今君と愛し合えなかったら
どこに生きる意味があるの
....
左腕に刺青がある。
16の冬に自分で入れた。
自傷って奴に夢中になっていた。
自分を傷つけて、
汚れた血を流したら、
綺麗になれる気がしていた。
穢れ腐ってゆく日々 ....
緋色の風が吹く
光は虹を放つと共に 大地の色を塗る
黒い影を一つ、また一つと丁寧に塗りつぶして真っ白な霧に包まれる。
柔らかな綿毛に光を通す蔦のカーテン
暗闇にもがく私を優しく ....
月が鳴る。蛙や虫も鳴きだして
演奏は合奏へ
坂の上から トロッコが転がってくる
思いの他 スピードが はやかったが
私はパレード 道をゆずるのではない
!!と、目の前で曲がって消えた
....
最初で最後の崖は
未知というより
無知な土が育んだ。
時々、崖の下の海へ
化石をペッペと吐き捨てる。
海は化石を食うと
ゲップをしたり
腹をこわして泡を吐く。
化石のなかには一万年
....
なすときゅうりの馬なんて
のれないよねえ とつぶやいたとき
お兄ちゃんは
ひらたくて少し冷たい手のひらで
あたしの手を
つかんでいた
じいん と鳴る
すずしいかぜに
....
まひるに
月が笑いながら
堕ちてゆくのを
見とどけてしまった
罪
サルビアの
紅が憎くて
泣き叫ぶのもかまわず
摘み取ってしまった
罪
こめかみが
痛くてたまらない
や ....
3匹目の獏は道端で
へたりこんでるところを拾った
小さな獏は虚弱体質で
夢はもちろん秘密も嘘も受け付けず
今にも消え入りそうに震えている
私は必死で噂とか言い訳とか ....
日が落ちて 暗い川に
すう とよぎる物がある
魚のひれに
背の高い草
それから
釣りのおじいさん
長い棒で
水をかき
橋をくぐる
なにがみえるのか
なにがきこえるのか
波紋と ....
緑色の蛇になった私の左手は
悪魔に魂を売り渡そうと
日々 画策している
私の目を盗んでは
悪魔の行方を捜し回っている
赤く先の割れた舌をちょろちょろと出しながら
夜な夜な
徘徊す ....
青い花は青という色が嫌い
光の中の、青と言う光だけ
あっちへ行けと跳ねかえし
私達の目には青に染まった
青い花が映るのです。
私は私が嫌いだと主張しています。
爽やかな日曜日
朝からお洗濯
はりきってお洗濯
お洗濯は大好き
がらんがらん
洗濯機が回るところを
見ているのも好き
暇だから見てるんじゃないよ
暇じゃなくても見ているの!
ごしごし ....
湿った風が頬を撫でる。
低層とはいえ、
屋上に吹く風は、
やはり地上より少し強い。
初夏の太陽のまなざしを受け。
はたはたと、
風に揺らめく白いシーツは、
恥 ....
逃げるんだ逃げるんだ。
鬼が来るから逃げるんだ。
家も家族も生活も、みんな捨てて逃げるんだ。
梅雨の雨に涙を隠して、
梅雨の霧に身を隠して、
蜜夜の闇に君は守られ ....
カレンダーが
隙間を 埋める
いちいち 並んだ文字
規則正しく
色までついてる
ななめに さいて
ずらしても
あくる日は 書いてなかったように
きちんと くる
時 ....
悪気などないのだから
だから尚更
優しいあなたは嘘つきになる
誰をも騙せなくて
自分を騙すことではじめて嘘つきになる
それがたとえ取り繕いの仮面であっても
優しいあなたは
....
ふわり、風
ふわり、髪
いつかの夏の真昼の丘で
風にそよいでいたきみのこと
ふわり、風
ふわり、髪
いつかの夏の真昼の丘で
きみの光が思い出に捕らわれそうで
....
焚き火の火を見つめながら
煙草を吸っているから
涙もくしゃみも煙のせいにできる
焚き付けの新聞紙にはテロのニュース
世の中のもめごとみんな燃やしてすっきり
なんてわけにはいかないけど
....
生まれた日のことを覚えている
ちらちらと雪が降って
がやがやと人の声が聞こえた
そして何度か暗くなった
明かりは穏やかに灯った
鳥の声が聞こえた
硬貨の匂いがした
笑っていた
抱きしめ ....
七月の窓辺
夏色の羽をはばたかせて
揚羽蝶がひとり
庭に迷い込んできました
羽を持って生まれてきた生き物は
そんなふうに飛ぶのが
当然なのだというように
ゆらりと抱いた風をふ ....
まどろむ中での浅き夢
霞んで見えない霧の先
つかもうとしてもつかめない風のように
貴女の影は空へ空へ
消えた
夢の狭間で現実がせまる
貴女の好きな夏の浜で夢を語ったあの時
先へ先 ....
とても寂しそうに立っていたから
声をかけられなかった
檻の中
100センチの
ペンギン
タイミングが全て合ったら
結婚しましょう
氷の上で
夕方の風は冷たくはないの
ぬるいの ....
あなたはわたしの何もかもを知らないし
わたしはあなたの何もかもを知らない
それでいいと思う
それでいいと思ったら
夏の柔らかい部分では
雨の方で都合をつけて
わたしとあなたを
水たま ....
唇で、
嘘をついて、
君の中に、
忍び込む。
舌には舌で、
指には指で、
嘘をついて、
君へ、
滑り込む。
甘い汗、
舐めて、
蜜。
吐息、 ....
私は宙にいた
ずっと空を聴いていた
私を支えていたのは
ただ蒼い闇ばかりだった
ゆれる森
立っている人
言葉をめくる声
降りてくる色
暗くやわらかな
....
十二番目で
いつも言葉を間違えてしまう君は
その次の交差点では
左折ばかりを繰り返している
東京
狭い夕暮れで
夢から覚めたばかりの抜け落ちた体を
ついでのような角度でドアの隙間に潜り込 ....
チョコレート
チョコレートの包みを
あけたのは
退屈なカエルが
土の中から這い出て
鳴いたから
スカーフ
ほめたら{ルビ白髪=しらが}まじりの
老婆がくれた
....
雨ですねぇ
雨ですねぇ
夜中にふる雨は
なぜか
さわがしくてしずか
布団の中で
ほくほくときいているのに
冬の雨は
身にしみて
つめたあい音がす
る
ぽと ほと と ....
太陽を盗んで、
穴に落ちて、
暗闇で、
空っぽで、
誰もいなくて、
誰もがなくて、
誰も待ってなくて、
遠くで、待って、くれなくて、
悲しくて、
苦しくて、
....
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