すべてのおすすめ
もとより文鳥は風切羽を切っているので
高くは飛べないけれども
不便はない、という
狭いこの診察室で暮らしていくには
ここには空がない
文鳥は空を知らない
ねえ
鳥の脚を見て
そこだ ....
りんご
まず愛されないといけないんだ
ごりら
だれかとつながりたいと願うなら
らっぱ
らくだの背中に入れておく粗品
ぱんだ
何か 膨らみを持たせるための何かだ
黙ってうつむくそのひとの ....
きみ、
夏でも秋でもスノーマン、
おさげ頭のスノーマン、
白いましゅまろみたいなほっぺたを、
ふたつの手のひらでおさえながら、
首をすこぉーしだけ斜めに傾げて、
笑うと、目が細くなる、
....
難波から紅いひのとりに乗って、
ひとり険しい顔で電光石火へと向かった
本店は広島にあるのだけど、
東京と名古屋にも店があったのだ
鉄板に載った人にやさしくは、
贅沢にも肉の量がダブルで
....
小さく硬ばった花片を
朝風に震わせる白菊が霜に打たれて
紫色にうち伏した
昨夜
把えられないあなたの
おぼろな姿が身近く訪れた
手を差し伸べて
髪を撫でようとすると ....
いつからだろう
積み上がっていく喜びが
積み上がってしまう寂しさに
変わったのは
こころもとない
ケイケンとジッセキの上から
辺りを俯瞰できる大人なんて
いるのだろうか
今 ....
明らかに明るい顔が
なんでいるの?
飛び出したいくらいうれしいです
よくわからないままに話して
終わりかと思えば続いて
話の終わりを
つけるのが難しい男でした
泣かないで
それより泣か ....
泣きたい理由でもないのに ボロボロ涙があふれてる
悲しくもないのに 悲しい何かを探してる
退屈とため息と他には何もない 静まり返った部屋の中
置き去られた子どものように うなだれて膝を抱えた ....
ある朝
昔いたノラネコを思い出す
もういないはず
頭の中にはいるのだけれど
幼い頃の記憶はぐにゃぐにゃ「ト」むにゅむにゅ
とても優しいものではあり
「僕がワタシであった」証明
....
気づけば部屋のすみに重なっていく紙のくさぐさ
服用薬品名カード、やら
保険調剤明細書、やら
ほおっておけば粉雪のような埃をかぶって
畳にみじめに融けていきそうな顔をする
教科書サイズのお ....
おはよう!
起きてんじゃねえよ、アホ
朝ごはん
....
しゃんとして
くしゃみして
しゃがんでしっかり
だぁれも知らない
自ら織り成す時空に生く
「冷やし中華はじめました」、それは夏を大まかに括っていた、水色の一枚の暦のように、町中華の古びたガラス製の開き戸の内側からぴったりと貼られていた。その水色の張り紙を、店主のおっさんの手がゆっくりとひき ....
今は廃校になってしまった小学校のグラウンドに
ぼくら男子児童は立たされていた
50m走のタイムを計るのだと
体育の大森先生は号砲のピストルを
真夏の空へ向けて構えていた
過疎化の進んだ小学校 ....
水の輪郭 固くうねらせる曲線
脈動も静かに 寛やかになでられ
水の流速 軽くとばされる集中線
はしゃぐ裸足 滴の臨場 踊る
一斉に鳴り出す風鈴
一斉に飛び出す飛行場
必要なのは傘と ....
流線型のトースターから
褐色の食パンが飛び出した
珈琲と目玉焼きとシーザーサラダ、
トーストには人造バターを塗る
今日からはボクも宇宙人
立派な宇宙人として社会に貢献したい
家を出ると ....
すべてのくじらが歌うのなら
すべての露草が雨滴を抱きしめる
単純な対応関係ばかりの夢では
エンドルフィンに支持された
懊悩が硝子体を濁すばかりだ
雲のあわいから垂れる雷は
鉛直方向に空 ....
これは独白ですよ。たぶん。嘘は混じり込んでいるとも。もちろん。想像してみたくなる。いや、自分の死なんて想像してもつまらないものですね。幾ら考えたところで当たるわけないもの。なあんて、しかし捨ておけない ....
足し引いた音符、意外。回文を対比した。
たしひいたおんぷ いがい かいぶんをたいひした
よく続く退屈。靴、苦痛突く、つくづく痛く続くよ。
よくつづくたいくつ くつ くつうつく つくづくい ....
わたしが傷ついたのは斑にみる視線
....
冬眠から目覚めたクマが一番にやらなければならないのは歯磨きだ。それから税金を申告に行く。顔を洗い髪の毛に櫛をあて下着を履き替えるともうこんな時間だ。できるだけ先のピンと張った歯ブラシを見つけて蜂蜜 ....
はる、
にちようびのそくどで走ってゆく、
ひとときの、
ゆるやかな午睡、
草木は徐々に生いしげってゆく、
山沿いの線路で集約される、
一両の田舎の電車、
ちいさな無人駅のような、
ささ ....
駄目な涙だ。畳斜めだ。
だめななみだだ たたみななめだ
余談。名前学んだよ。
よだん なまえまなんだよ
いざ!異例な慰霊祭!
いざ いれいないれいさい
メカな空間が ....
オレンジカクテルの空が
家々のむこうに沈んでいく
どこからともなく飛来した
小さな黒い鳥の群れは影絵
ゆったりと宙に張られた電線に
互いに平和な距離を開けて
つぎつぎにとまれば
みんな
....
河原で石をひろう人たち
貴方に触れない私なら 無いのと同じだから
鬼束ちひろ『流星群』
蔵王の河原で石をひろう神の子たちがいる
名もない石に名前を ....
いちめん 認められたい花
いちめん 認められたい花
いちめん 認められたい花
いちめん 認められたい花
いちめん 認められたい花
いちめん 認められたい花
見渡すかぎり 認められたい花
....
僕はお天気屋さん
空が晴れると
心も晴れる
空が曇ると
心も曇る
空が雨だと
心にも傘をさす
今日は久しぶりの晴れだ
それだけで何かいいことがあるような気がしてくる
耳をとざしたほうがいい
ことばを思わないでいいから
目もひらかず
ただ触れていたい
指で肩で舌で
そのからだの奥を覗きこむような
こまかな息づかい
一度は奪われた草木を甦らせ
半透 ....
なんて役立たずなんだろう僕らは
僕ら以外の全てに対して
この夕刻、
しずかにして斜光射し
木々の茜に染まり
ゆらゆらの揺れ
気の冷涼の蠢き精妙に
包み込まれる心の安らぎ
とおくとほく
すきとほる青の高み
広々響く中有の音 ....
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