すべてのおすすめ
縁側で
ぷっと
西瓜の種飛ばし
放物線の先を
追っている
幼い子供が
独り居て
遠い夏の日
夏の午後
その日を生きる
幼子が
風に吹かれて
風に吹かれて
名無しで ....
痩せっぽっちのロバと
ながらく友達だった僕は
マッチョなイギリスの
粋なボーカリストが好きで
ついにはオペラ座の怪人の
私生活を知ってしまうのだろうか
拘束されない言葉ほど
....
ポプラ通りの真ん中らへん
すべすべの感覚で
まぶたを閉じれば
少年を見つけられる
少年は息を止め
そっと手を伸ばし
とんぼの羽根をゆびさきでつまむ
瞬間を点でとらえたのだ
でも虫か ....
いかがですか
自主出版するなら今ですよ
五百冊がこんな値段と言われましたが
何もしなければ詩人にはなれません
いや、納得できない気持ちは解りますよ
でも、趣味にこれぐらいは出すでしょう
....
学校のノートや教科書の余白に
落書きみたいに書いていた文章
それをいつか誰かに
読んで貰いたいなんて思わなかった
それらは
俺の未熟な心の隙間から落ちこぼれた言葉
だからさ
....
つま先にあたった石ころが
ころころ
ゆるく転がって川に落ちる
何の音もしない
七年前
職場のわたしの歓迎会は
小ぎれいな洋風レストランに皆集まった
こ ....
ようこそ 52億年の誕生を迎える今日という日の門出を祝します。
パスをお待ちのあなた宛にここから先はシアノバクテリアがお供いたします。
緑藻一面晴れ渡る空 海岸線は紫色の塗 ....
無造作に置かれている靴
気に留めることもない
朝の出勤の時
靴ベラを用意
行ってきます
繰り返される日々
奥さんが友人と温泉旅行
次の朝私 ....
冷蔵庫から子供の頭部とおくるみを
毎日切り刻みながら
君だけに盛り上がった
低学年男子の勃起を器に擦りつけて
テーブルに並べる
(コウノトリはキャベツ畑で卵を温めている)、
という事に ....
地下室への階段を降りてゆくと
探していた言葉があった
それは難しい言葉なんかではなくて
なんてことはない言葉だった
くだらないなぞなぞの答えのような
拍子抜けするようなやつ
でも 昔は仲良 ....
私は妻であるようだから
妻の声帯から声を出す
「夕飯はなんにします?」
私の息子があたかも私であるかのように返事をする
彼とは離れて暮らしているのに
「ひさしぶりにトンカツなどがよいです」
....
電灯の力をかりて
風にゆられる
{ルビ向日葵=ひまわり}たちの笑い声
さやかに響く 夏の夕暮れ
たそがれて
いちにちが終わる
いつかは
このくるしみも終わる
すくなくも
わたしが終われば終わるだろう
その時は
世界が終わる のではなく
世界のなかで
わたしが終わる
わ ....
大阪王将のある街で、歩兵の僕は何とか懸命に生きている。
「男なら将棋を上手くなれよ」と、そんな父上の言葉を胸に。
音もなく頑丈な扉を開き、入ってきたのは見覚えのあるような皺だらけの中年男性だった。
署長自らが直々に連れて来たので位の高い人物なのだろう。署長は軽く会釈を済ませるとわたしを指さしてすぐに出て行っ ....
目に見えないから恐ろしいと思ったり、素敵だと感じることがある。
目に見えないから捨てられなくて、手に入れることのできないものがある。
見えないものに心が動くのは、僕らが考えるからで、
想像をしな ....
来た道を帰っていくだけなのに
頭の悪い恋人たちはいつも迷子になる
まぼろしのように遠ざかる土砂降りのテールランプを
おぼつかない足取りで追いかけるゾンビたち
38口径で撃ち抜かれた頭蓋骨に ....
言ってやろうか 聞かせてやろうか
俺を産んだ女は無学で
字もろくに書けねえ読めもしねえ女だった
昭和二十年
この国は戦争でぼろ負けになり
東京辺りは焦土と化してしまったけれど
嫁ぎ先は ....
春はあけぼの
夏は夜
と謳った人が昔居るけれど
確かに
そうやって
自分の好きなものを
実際に
真剣に
数え ....
この部屋にも窓はある
背丈より少し高い壁にひとつ
開けるとカラカラと風
視界の遥か上を通過する
気持ちいいでしょ と声が聞こえ
ると 口、
涎が落ち、水脈になり、
萎れた花に
手が伸び ....
水たまりだらけのいちにちを
病院のベッドから眺めている
何冊めかの本をてにとり
2日めも暮れなずんでゆく
痙攣していたてあしが痛みから解放され
滞っていたからだの中の運河がなが ....
答えにたどり着く気がして
川沿いをひたすら歩く
午後九時
一瞬雲の切れ間に輝いた二等星
願うことから始まる絶望が
いつでもおいでと笑っている
仲間は裏切者だった
でもそれでいいじ ....
現実的になれば
絶望がまた
首をもたげてくるけど
時には
享楽に耽る自分を
許したり
時には
娯楽に興じて自分を
宥めたりしながら
ここまでやってきた
頼りないとか
いい加減だと ....
梅雨は終わり
夏がやってきた
海開きの日
夏本番がきたことを表して
陽射しを強く感じる
静かだった砂浜
賑やかになり楽しそう
この日を待っていた
海の家は
夏にしかない
....
アメリカのミシシッピ川周辺を
起源とする
黒人の
ブルースミュージック
或いは日本の競走馬
或いは賀茂川の三角州
バーのカウンターで ....
林床にはブナ林特有の雑木が生え
そこを刈り払い機で刈っていく
すさまじいヒグラシの鳴き声の海が森を埋め尽くし
私たちの耳に、錐もみ状に刺さっていく
急な斜面を足場を作りながら雑木を刈る
....
この精神ひとつ
この身体ひとつあれば
必ず這い上がれる
やってゆける
形のない精神で
有限なこの身体で
今日を生きる
精神はあの天球と繋がり
身体はこの地球と繋がる
この私の意志の振 ....
病床の旧友よ、それでもなお、夏への憧れを失わずにいておくれ。
学び舎は今でも坂の上に、サイダーは学食の自販機で冷えているよ。
すみません。
ちょっとかいてもらえますか?
あ、背中じゃないんですよ。
リュックの中にノートとペンありますんで。
え?いやぁ、私はご覧のとおり、
右手に長男、左手に長女のいるベビーカーで ....
テレビのボリュームを下げる頃には晩酌の酔いもすっかり覚めている。
眠気を通り越してしまう 小腹も空いてきたよ、なんて
と思って近い台所をあさるのだ。 (すがやかほれば ....
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