すべてのおすすめ
壊れた室外機に腰を掛けて
春が来るのを待ってる
いくつも季節は過ぎていくのに
春だけがまだな気がする
私は雲ではないけれど
春が来たら食べたいものを思い浮かべ
その食べ物に
う ....
サクマのドロップ缶には
カラフルなドロップの
挿絵が描いてあって
ほかのところは金色のメッキで
平べったいブリキの缶の上の
小さな丸い蓋をポンッと外して
傾けるとコロコロと音をたてて
....
夜の軌道を涙がはしる
星のひかりを水面にうけて
まるで転がるひとつのビー玉
回転速度は地球とおなじ
うわずる瞳が坂に消え
まっさかさまの流れ星
ふるえる日輪、始発駅
手をふる窓辺に白 ....
思うようにはいかないもんさ
俺の期待通りには
周りの歯車は回らない
どうなってるのか
俺の歯車と周りの歯車が噛み合わない
からなのか
写真に撮るか
撮れる訳ないか
幾らスマホが ....
ソーシャルネットワークに入り浸る
友だち探し回る
投稿が重要な決め手
実質知らない異性同士がマッチングな出逢い
つい勘違いをしてしまふ
あくまでもバーチャル
なのにマジにな ....
喧騒の
夜の街に溺れる私の
すがりたい真っ白な想いがある
けれど息つぎが下手くそで
凍った心を守ることさえできない
むかし大好きなものを棄てて
冷たい目を手に入れたこともある
....
誰かへの心配がつづいて
憂鬱が消えないなら
もう心配やめちゃえばいい
自分が楽になるためでしょう
自分を冷酷だと思ったり
またそれが心配になるのかな
心配が趣味なら仕方ない
でき ....
時折
君の身体から星が発生した
君はいつもそれを
無造作に僕にくれた
――君は星が好きだから
そう云って微笑っていた
何故身体から星が発生するのか
君自身も知らなかった
――何故だ ....
僕達は此処にいる
この川に隔てられ
君と僕、大空の下
絶え間なく落ち続ける
洋上で過ごすように日がな一日
此処で待ち続け絶えず思い出し損ねる
なぜ僕達はやって来たのか
なぜ僕達は此処 ....
物はかたちに応じてもちうべし人も同様なり
魂魄は困難を内包している
詩人は血を吐かない程度の筆圧で
如才のない道化師は盛り上がりの
緩急などばかり考えているが
誰にも優しくなれな ....
1)
別にグレてるわけじゃないし特に優等生でもなかった、どーにもならないこともあるし理不尽なこともあって親や先生にうんぬんかんぬん、ぼくはそれらでドロップアウトする気などさらさらないし、ただ面白いも ....
拝啓と書く
敬具で〆る
小学生のとき
電話とメールというメディアの違いを考えよ、という課題があった
今はもう、そのどれもがふるい
既読がつき、いいねがあり
三分の空隙にすら意味がうまれ ....
雨が降り続きます。それは決して晴れない雨です。なぜなら、雨は心のなかに降っているのだから。昨日はバス停でバスを待つ傍ら、ああ、この人はきっと割り込んでくる。と、いう人がいました。案の定、彼はわたしの ....
赤塚不二夫のコンプレックスとか
高井研一郎の画風とか
ファルス
コント
喜劇
がきデカ
山上たつひこ
鴨川つばめ
マカロニほうれん荘
....
「12月28日のsketch」
トンネルを抜けるとズレた周波数があった。ラジオ深夜便、ラピスラズリの火球は未明の空を横切った。
「ザザ…ザザザ、とある三歳の女の子がお母さんに結婚してとせが ....
ワンルームの視界に
日をくべる
爪先の怒号
息づかいで飯を炊く
大さじも小さじも
見間違いのないテーブルが
イマジンの頬を叩く
同じ世界を見ない遠さで
文字は「 ....
あけぼのも
やぶんの
しろしのたまいも
うんじゅがなさきどぅたぬまりる
こうとなく
そのこえそのこえこそ
ものの
のぞ ....
雷を髪に飾ることはできる、とあの人は言いました。
プラスチックの黄色い髪留めのことかと思いました
あるいは単なる冗談なのかと
朝食は取らない主義で
それはお腹が弱いから
薄紫の傘が立て掛 ....
ぼやけた眼鏡のひとが
わたしを連れていく
とんかつのお店
ご飯は小盛りで
と言うのでわたしも小盛りにする
遺伝子の特集をとりあげた雑誌をながめる
ばらばらになったいくつかの ....
ながりゆるみじぬあてぃん 流りゆる水ぬ在てぃん
がれちぬあとぅんかい 瓦礫ぬ跡んかい
りんどうぬはなぬさちゅる 竜胆ぬ花ぬ咲ちゅる
ゆちゅぬさちや ....
怒りより大きな声で否定され
なすすべもなく下を向く
地面に穴がひらくのを
夢みるように待っている
罪が同じだと歓びも同じなのかな
酔っ払ってもひとり月見上げ
翼の折れたカラ ....
充溢していた時とは
自分が消えてなくっているとき
思えば大体そんなものだった
そんな風に出来上がった世界に
生まれて生きていつか死んでいく
そのことに絶対的な反感を持ってもいいですか
....
心に愛がなくても
美しい言葉をたらたらと吐ける
心に愛がなくても
たとえ嘘でも言葉が温かいなら
冷たくなってしまった心を溶かすだろ
心に愛がなくても
怪我した指に包帯を巻いてあげら ....
音楽を聴く分析学的な時間が好き
きみと過ごす解析学的な時間
深く沈潜してゆく愛情にも似た雪のよう
罵られる騾馬のように時間が過ぎていっても
愛撫する隙もないきみと暮らしているぼくは
....
こるが一番うまか
そう言ってオヤジは
宝焼酎のお湯割りを飲んでいた
焼酎九、お湯一
ほとんど宝なその飲み物を
旨そうに、グビッ、と飲むオヤジの顔は
幸せそのものだった
おれは そ ....
役立たずの僕、でも朝から勃つので、何とか生きております。
決して立派な茎ではないのですが、誰かの役に勃ちたいのです。
窓を叩いていますのはだれでしょう
だれでもありません、星明かりです
星明かりではありません、月明かり
月明かりでもありません、家守です
家守の足跡追いかけてだれが歩いて
いくのでしょう、 ....
ずっこけて、転がって、這いつくばっては
立ち上がり(瞳はぎらりと、ぎらつかせ)
またずっこけて、膝擦りむいて、血糊を
なめ、それでもまだ夢を見て、今宵の夢
を見たくて ―この世界に恋がしたくて ....
真面目なあの人を笑わせたい
そう思ってたくさんの嘘を用意した
花を摘むよりも簡単
お箸を並べるよりも
宇宙人の話は全然だめで
にこりともしてくれない
幽霊も金縛りもだめ
好きなものを知ら ....
トイレに 貼られた関門海峡の写真
そのくせ 見る事のできない生まれ故郷
「もし そこにいるのなら返事して」母は言う
補聴器をしなければ何も きこえず
わずかに光だけを感知する あなたの ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49