すべてのおすすめ
もみじ、
肩まで浸かった露天風呂からのぞむ、
さりゆく、秋の赤い夕ひが、
ひとすじの、きまぐれな寒風とともに落としていった、
いちまいの、
星のカケラ、
休憩室の掲示板に、ずらりと並んで立 ....
やまいだれ疒とは、面白い言葉だ。「疾病」など主に
病気に関する漢字に使われる部首のことだ。
いま、俺の脳内にやまいだれが垂れ下がっていて、脳
の底にぽたぽたと病の元を滴らせている。また、やま
....
公園の池の際に母子がいる
母は子供にパンを渡し
子供にパンクズを池に投げさせた
池の鯉は競って大きな口をパクパクした
傍には鯉に餌を与えないで下さいの看板がある
通り過ぎる人々の視線が母子を ....
考えるな 感じろ
と誰かが言ったが
背中で感じても指が動かない私は
ひたすら考える
詩人のような暮らしや
詩人のような風貌を
持ち合わせていない私は
ひたすら考える
語彙の ....
白い風が吹いて
今朝
ライトブルーの空から
なにかの声が聴こえた
空に窓ガラスがあるなら
かすかに震える声だった
昨夜の夢を忘れてしまえる
涼しくすき透る声だっ ....
さくばんの眠りの残り滓
吐ききって 吐ききって 吐ききって
今朝はつとめて寒いなぁ
凝集した感性を冷やします
僕は真白い一頁
一体ここに何を書こうか
この朝は妻と和 ....
○「ボケると」
ボケると
自分の行動や判断を
疑ってみる
ということをしなくなるから
解決が難しくなる
○「高齢者医療」
医者は
問診の前に
年齢で診察するのではないか
「70 ....
木枯らしの渦巻く中庭で本を読んでいた
まだ蒼い銀杏の葉がページに挟まり{ルビ栞=しおり}となって
ぼくはそのまま本を閉じた
階段を昇りきると
磨かれた長い廊下は光り輝き
影を失くした透明な人 ....
午後三時
眠剤を服して
午後五時に
起きているのは全部明日の仕事の為さ
コンビニへ行って
チョコレートと黒糖烏龍ミルクティーを買って
原付で
ジョギングする男を追い越して
....
恍惚の人となっても
一番愛していたことを覚えているとしたら
自分にはどんな記憶が残るだろう
愛に似たようなものはあると思うが
今はまだわからない
歳をとって色々なものが抜け落ちた後に
光る ....
机の下から筍がニョキッと生えてきて
松茸さん! コンニチワ ってご挨拶したのよ。
俺は苦行続きの人生だな。何の為に働いてやってんだか、誰もわかっちゃくれないし。
なんてぶつぶつ言い ....
ぼくが20代の終わりくらいのときやったかな
付き合ってた恋人のヒロくんのお父さんが弁護士で
労災関係の件で、それは印刷所の話で
「年平均 6本」とか言っていた
紙を裁断するときに指が切断された ....
もとより文鳥は風切羽を切っているので
高くは飛べないけれども
不便はない、という
狭いこの診察室で暮らしていくには
ここには空がない
文鳥は空を知らない
ねえ
鳥の脚を見て
そこだ ....
きみ、
夏でも秋でもスノーマン、
おさげ頭のスノーマン、
白いましゅまろみたいなほっぺたを、
ふたつの手のひらでおさえながら、
首をすこぉーしだけ斜めに傾げて、
笑うと、目が細くなる、
....
難波から紅いひのとりに乗って、
ひとり険しい顔で電光石火へと向かった
本店は広島にあるのだけど、
東京と名古屋にも店があったのだ
鉄板に載った人にやさしくは、
贅沢にも肉の量がダブルで
....
小さく硬ばった花片を
朝風に震わせる白菊が霜に打たれて
紫色にうち伏した
昨夜
把えられないあなたの
おぼろな姿が身近く訪れた
手を差し伸べて
髪を撫でようとすると ....
いつからだろう
積み上がっていく喜びが
積み上がってしまう寂しさに
変わったのは
こころもとない
ケイケンとジッセキの上から
辺りを俯瞰できる大人なんて
いるのだろうか
今 ....
明らかに明るい顔が
なんでいるの?
飛び出したいくらいうれしいです
よくわからないままに話して
終わりかと思えば続いて
話の終わりを
つけるのが難しい男でした
泣かないで
それより泣か ....
泣きたい理由でもないのに ボロボロ涙があふれてる
悲しくもないのに 悲しい何かを探してる
退屈とため息と他には何もない 静まり返った部屋の中
置き去られた子どものように うなだれて膝を抱えた ....
ある朝
昔いたノラネコを思い出す
もういないはず
頭の中にはいるのだけれど
幼い頃の記憶はぐにゃぐにゃ「ト」むにゅむにゅ
とても優しいものではあり
「僕がワタシであった」証明
....
気づけば部屋のすみに重なっていく紙のくさぐさ
服用薬品名カード、やら
保険調剤明細書、やら
ほおっておけば粉雪のような埃をかぶって
畳にみじめに融けていきそうな顔をする
教科書サイズのお ....
おはよう!
起きてんじゃねえよ、アホ
朝ごはん
....
しゃんとして
くしゃみして
しゃがんでしっかり
だぁれも知らない
自ら織り成す時空に生く
「冷やし中華はじめました」、それは夏を大まかに括っていた、水色の一枚の暦のように、町中華の古びたガラス製の開き戸に貼られていた、その水色の張り紙を、店主のおっさんの手がゆっくりとひき剥がしてゆく、ぽっ ....
水の輪郭 固くうねらせる曲線
脈動も静かに 寛やかになでられ
水の流速 軽くとばされる集中線
はしゃぐ裸足 滴の臨場 踊る
一斉に鳴り出す風鈴
一斉に飛び出す飛行場
必要なのは傘と ....
流線型のトースターから
褐色の食パンが飛び出した
珈琲と目玉焼きとシーザーサラダ、
トーストには人造バターを塗る
今日からはボクも宇宙人
立派な宇宙人として社会に貢献したい
家を出ると ....
すべてのくじらが歌うのなら
すべての露草が雨滴を抱きしめる
単純な対応関係ばかりの夢では
エンドルフィンに支持された
懊悩が硝子体を濁すばかりだ
雲のあわいから垂れる雷は
鉛直方向に空 ....
これは独白ですよ。たぶん。嘘は混じり込んでいるとも。もちろん。想像してみたくなる。いや、自分の死なんて想像してもつまらないものですね。幾ら考えたところで当たるわけないもの。なあんて、しかし捨ておけない ....
足し引いた音符、意外。回文を対比した。
たしひいたおんぷ いがい かいぶんをたいひした
よく続く退屈。靴、苦痛突く、つくづく痛く続くよ。
よくつづくたいくつ くつ くつうつく つくづくい ....
わたしが傷ついたのは斑にみる視線
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52