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今日の平板を飼い慣らし
明日への傾斜を生きる私は
もう何十年もの間、
口を開いたことがない
者であるかのようだ
)赤く燃える明けの空
)ゴオゴオと鳴る遠い街並み
いったい出口は常 ....
自動販売機で「夏の海」を買った
ペットボトルの海を一日中見て過ごした
水平線には夕日も沈んだ
家に帰り
何処に行っていたのか聞く妻に
海、と答えた
妻は、ウソ、と呟いた
出会った ....
目の前の
馬鈴薯と玉葱の炒めものは
たった一枚の皿であれ
時と所により
どれほどの幸いを、もたらすだろう
墜落した紙飛行機が海に沈む
無人の自転車が男を追い越していく、と
男は置いてきた遺書の誤字に気づき
慌てて家族の待つ家へと帰る
妻は夜更けまで
サマーセーターを編んでいることだろ ....
パンはもうすぐ焼けると思う
夜が来たり
雨が降ったりする
人間の気持ちを傷つけたくて仕方がないときがあり
着替えて
街を廻る
そんなふうに
蓋をして
砂みたいになっていく
....
1
コミケの意味さえも知らずに、そこでは生身
のラムちゃんが見れると聞いたのもので。中
味も知らない冊子を所定の場所にドンと置く
と、待ってましたとばかりに、とは言え、一
言 ....
あなたが少し、と言ったから
少し、と思った
わたしたちはどうしても
わたしたちに似たものを探してしまう
それは少し、というよりも
むしろもっと少しの、もの、こと
わたしたちの ....
木立ちを抜けていくのが
私たちの木立ち
だからすっかり抜けてしまうと
教室がある
先生は、と先生が言うと
先生は、と復唱する私たち
やがて始業のチャイムが鳴り
つまりそれは
....
眼が在り映り凝視し続ける眼に
脳裏の戦場の消えない殺し合いか
眼前の草むらの子供らの激しい絡み合いか
展開され焼き付けられるその光景
草むらの草いきれも
左足にぐるぐる巻かれた包帯の ....
忘れられない最終の恋を
たいせつな思い出にするなんて
自己愛が強すぎる女みたいで
ちょっと引いてしまう
陽はまた昇るから
新しいまっさらな真っ白な心で
前を向いて恋をしたって、いいんだ ....
オフェーリア
って誰って聞きながら
シャツを着る
君のことだよ
って聞こえたかどうか
ってぐらいの朝
唐橘って
何のことだよって
容プラ出しながら
悪い気には ....
テレビで紹介されていた中華の店の
たまたま近くにいたので
楽しみにしながら
地図を見ながら行ったら
定休日だった
真っ赤な見た目なのに
そこまで辛くないらしい
ラーズー麺なるものを
....
風が語りかけます
という詩的なフレーズからも
白い饅頭しか連想できない
埼玉県民の悲しき性に
想いを巡らせつつ
北風に逆らってペダルを漕ぐ
世の中とちょっと
気が合わないだけの今日
その二枚か三枚かの舌が造る世界が
あなたには本当なんだとしても
私には無縁の世界で
{引用=窮屈そうな
言葉たちをほどいて
その向こうの空を見る
さよならさえも言えない
あの人は ....
僕は今夜
晩年に娼婦の肖像を描く
マネの孤独の深さを知った
今宵 彼のアトリエを訪れる
ボードレールとマラルメの
美を語らう声が聴こえる
――汝のいる風景の〝今〟を視よ
....
万年筆の花が咲く店でホウキを買った
女性が一人で店番をしていた
ここまでいくつかの霜柱を踏んでやってきた
あの万年筆の花があれば霜柱ももう少しうまく書けたな、
と思いつつ何も言わず ....
お別れ
回遊する魚達、
渦を巻いて
泳ぐ泳ぐ
舞い狂う雪の中
純白の視界を切り裂き
蒼く蒼く透き通り
出会い
寄り添う
肉身の二つ、
交わり激しく
夜を埋め
....
椿の葉は少しの光でも
沢山の光を受けているかのように
大粒の光を反射する
やんちゃな少年がガバッと掴んで
思いきり投げたいくつもの白い石が
空中で一時停止しているような
よく見ると可笑しな ....
僕らの時空は伸びたり縮んだりしても繋がっていて、
気付かないうちに遠い時空の自分を助けていたりもするんだろう
辞書に雨が降り
やがて水溜りができた
海と間違えて
文字たちは泳いで行ってしまう
僕は代わりに
いつか拾った流れ星を挟んでおいた
柔らかいものはみな
今日は朝から倒れている
....
日本語を間違えている
「純」と付けば
混ざってはいけない
献立に洋食なんだ
ガッツリ洋風が占める
たぶん「店の内装が」
純和風でこだわったんだ
....
ジャズを聞きながら
君に手紙を綴っていたら
知らぬ間にアルファ波が
出ていたらしい
気がつくと
時計の針の30分が
あっという間に過ぎていた
願わくば
退屈で長い1日よりも
....
1
そして今僕が見ているのは
雲から降ろされる光のはしご
指から零れ落ちる
2
あの日の雨は
もう降らないのかもしれない
もう降っているのかもしれない
....
店員さんが運んできたコップの中に
凪いだ海があった
覗き込めば魚が泳いでいるのも見える
こんなにたくさんの海は飲めそうにない
先ほどの店員さんを呼ぼうとしたけれど
彼女なら里に帰 ....
宇宙が生まれてからあっという間の
この夏
待っていた風がようやく
畳を撫でた
りーん
ちりーん
光の速さでピントを合わせる
この夏
皺だらけになった母の喉元が
麦 ....
進みたかった
やり直したり
足踏みしたり
違うルートを突き進むのではなく
ど真ん中を正しく進みたかった
正しいルートは分かっているのに
そのルートを進むことができない
違うん ....
とにかく大谷はすごい
生きてるうちに夢を叶えてくれる
動物たちがみな
肉食でも草食でもありたいように
ピッチャーでもバッターでもありたいのだ
あなたがそう言うので
じゃあ、ロボットの私はど ....
今日は爽やかな秋空
隣の山羊たちが
せっせと草を食んでいる
暑くもなく寒くもなく
爽やかな微風が吹いて
ちょうどいい
こんな爽やかな天気は
年に何日あるだろうか
死ぬ時はこんな天気の ....
背は低く小太りな体型だが胸のふくらみは予想以上だった。ワンピースの袖をずらすと右肩に刺青が施されていた。
薄暗い部屋で酒に酔っていたのでよくは覚えていないが、観音菩薩のような姿だったと思う。
....
年を取ったら
生きざまというよりも
死にざまです
みごとな死にざまをいたしましょう
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