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「愛しているよ。」と言い残して
見慣れた姿が粒子になった。
きらきらと暖かな光に包まれて
零れ落ちる粒子を取りこぼさぬように
私は見えなくなるまで抱きしめた。
手を振る父が見えたような
雲ひとつ無い冬の空。
最後の呼吸にも似た突風が
火葬場の玄関を通り抜ける。
(足音だけが響く廊下。)
両腕に抱えた骨壷が
最後に抱き上げた身体よりも重 ....
昨晩の雨は雪へと変わり
昼過ぎには太陽にバトンを渡す。
帰宅した父を囲み
静かに語らう母と娘たち。
その手は何かを決意し
何かを覚悟するかのように
しっかりと握 ....