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 僕は誰よりもはやく
 今朝を発見したかった
 遮光された窓の外を
 僕の両足だけが駈けてゆく

(街と空は素顔で目覚め
 朝陽からは人々の匂いがします)
頭上一面に広がる
果てのない青空
雲も 霞も 霧もなく
手を伸ばしても届かない
高みに
もっと高みに
果てのない青空
抱えきれないほどの
太陽光の乱反射

中空に浮かぶのは
ピン ....
日曜の朝のイメージは白
だったのは子ども時代の名残
めざめるとそこかしこに
ラメみたいに散る朝陽

 日曜日だけは
 がっこうの一時間めのじかんに
 テレビアニメをやっていて
 だから ....
  国語は嫌いでした。
  算数は嫌いでした。
  さりとて体育は苦手でした。
  モテナイ君でした。
  9人兄弟の末っ子で、中卒でした。

  情けなくてある日つい白状してしまいました ....
東京武蔵野にある井の頭公園
アルバイト帰りの夕暮れに
二人でいろいろ話したね
「そんな考え方でいいのかしら」
「どうしたらいいのかしら」
「一緒にいていいのかしら」

あの頃の二人にとっ ....
すべてが終わると
その町にも銃を担いだ人たちがやってきた
彼らはこの国の言葉や
この国の言葉ではない言葉で話すものだから
町の人々はますます無口になった

少年は喧騒と沈黙でごったがえ ....
はっぱをめくればなめくじ

みんなにきらわれて
しおをまかれたりする

おまえなめくじ

うまれてからずっと
からだじゅうでないている

おれだっておなじ

みんなにきらわれて ....
{引用=(どうか、ユーエフオーと発音してください。)}




光る
夜の光
それは星でも 月でも 街の灯りでもなければ
眠る人々の心に点る
ささやかな光でもない
それはやってく ....
なんてことはないんだ。

今朝、母は雪を見ながら(正確には彼女にしか見えていない雪だ)卵焼きを作った。
キッチンに立つ母を見るのは久しぶりだけれどやはり、しっくり、とくる。
料理をするために洋 ....
毎日は同じことの繰り返しのようでも
少しずつ違っているものだから


通勤電車の吊革をつかむ
君はまるで風に揺れる果実のように
その身を進行方向に傾けている

列車のドアが開くたび
 ....
種もつ闇の
ちらかる 真昼

夜から じっと
はりめぐらせた

たんたん ひとつぶ あまい 夢
たんとん ひとなみ ふるい 風

かすれた なきごえ
かみきる したあご
 ....
ちょっと感情を培養し過ぎた
いらない試験管を廃棄しておくか
郵便受けに溜まった新聞が日焼けしていた
古い日付は、風に晒されて
更に風化した遠いあなたの
背中に張り付いて 
帰ってこない のに


201号室の、窓から入る西日を受けながら
忘れて ....
まとはずれなあしおとに響く暗がりの笑いごえ
思い出そうのは3日前の出来事だけ
鮮明に繰り返す、記憶というフィルムのループ
ちぎれてゆく不必要なコマだけをはじきとばして
赤い羞恥の花を彩りよくそ ....
涼しい初夏の頃
大空に泳ぐ風
緑をざわめかせ
色 そめあげてゆく

目をとじても感じるよ
新しい季節のドキドキ
見えるものが全てじゃない
Feeling everything
in  ....
野菜の苗を
手に受けて
指から白い
根っこが生えた

「植物の三大栄養素は窒素・燐酸・カリです。
これを8:8:6で配合し、苗を植えつけて行って下さい。」

手に取った苗は
陽の輝き ....
ありふれた演算子でも

洗練された定理でも

複雑な感情を記述することはできない。


明解な文法でも

思案尽くした形容詞でも

あなたの核心に接近することはできない。

 ....
悲しい夢を見たあとに
声を上げて泣いてしまったのは
その夢が悲しかったからではなく
その夢が現実にほど近い
記憶だったからかもしれません

昔のことですから
もう数えきれないくらい繰り返 ....
双子の兄弟が天秤の右と左に乗った
同じものを食べ同じものを着ているのに
右にのった弟の方が重かった
弟が髪の毛を数本抜いて
ようやく天秤は釣りあった
天秤から降りると
母親は二人の ....
108段目で躓いて
そのままの勢いで転がるように
踊る 踊る 真っ暗闇の中

アメリカ生まれのキャンディーは
いつか 溶けてなくなってしまう
甘い原色のマボロシ

そう あなたは
何 ....
おじいちゃんは手を振った。

おじいちゃんは笑っていた。

また来いよ、と言った。

また行ったら

おじいちゃんは白黒の写真になっていた。

写真のおじいちゃんは笑っていた。
 ....
吐き出す瞬間にきみのお得意飾りことば
のろりのろりと
撒きついて
振り払えるかな

―シンクに落ちた水はピンクでした

煙草は調子ぶっこき者愛モク赤マル
べつにね
赤マルはいいんだけ ....
―そろそろもう時間だよ
水がいつまでも鳴り止まないから
わたし、ここにいる
―先に行くから
ばいばい
―あとで必ずくること約束だよ
わかったから
わかったよ
―じゃあ出るときメールして ....
初潮という言葉と海とのつながりとかを
ぼんやりと考えていた頃に
おまえの家は紙の家だとからかわれ
私は学校へ行けなくなった

私は紙のにおいが好きだった
鼻をかむ時のティッシュのに ....
「京都へお嫁に行ったら苦労するよ」
関西にいたら一度は聞く
でも君を見ているときは
そんな言葉はどこかへ飛んでた

カマカマカマカマ カマ カメレオン…

私はアホみたい方向オンチやから ....
暗い
宇宙の夜に中に
最初の人間が現われる
途端に 宇宙の空は晴れ渡る
ように見えるが それだけだ
相変らず
宇宙は 際限のない夜に包まれている
最初の人間はぼんやりと坐りこみ
すべる ....
そのはじまりからすでに
鋭く亡びに縁取られているのが夏で
青空と陽射しがどれほどあかるくても
そのあかるささえ不穏なのが夏で

蝉が鳴き騒いでも
祭の喧噪が渦巻いても
濃密な静寂が深々と ....
いつものように
なんでもない顔をして
駅で電車を待って
頭ん中だけで
僕は僕を{ルビ撲=なぐ}っていたんです。

ふとしたことで
泣き出しそうになって
そんな自分がどうしようもなく
 ....
    田中君は今日も元気




弧を描くよな風が 短い場所でおおらかに吹いていた
湿度の低い 午後3時



フレアスカート プリーツスカート ふくらんだりして
白桃や北 ....
からだの曲線にそって
あなたは
かんたんなじゅもんなのだと指を折った
てのひらをそっとひらいて
りゆうもなさそうにわらった時
すこしだけ
えんえんとつづいてゆく
朝の風景を おもいだして ....
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