すべてのおすすめ
たゆたうみたま
いずこへむかう
いぶきゆらゆら
ほどけてきえん
いしくもいちずに
まもるまなこは
かがりびゆらゆら
うつしてきえん
かなしかなしや
いわけなきこえ
ことのは ....
ぼくたちの見えるところ見えないところ
繰り返される欲望の衝突のおかげで
ぼくたちはもぬけの殻になってしまった
風鈴がチリンと一つだけ鳴る
意味を終えた紙吹雪のように
....
意味のない恐怖があることに
逆に安心したんだね
こぼした
蜜のようにあまたるく
頭の頂上から
肌つたってく
意味のない
恐怖があることに
逆に安心したん ....
しっとり、これは
濡れるために、素足
群れる草の土に冷たく踏み入り
行き場を失くしたことのない、
何処にも行かない、素足でした、濡れるために
こっそり、あれは ....
膝をたたみ 目を伏せて
思い出すのは
折りたたまれた空に見つけた夏のかけら
黒髪が 風を誘った雨上がり
わたし ここで猫が飼いたいの
....
絵は語りかけてくるのだ
院展に飾られた数十の世界に
僕は招かれ
彼等を渡り歩いた
ある明け方に
青い国は一筋の紅い光を浴び
鵜飼いの男は焚火を消した
ある朝に
インドの女が ....
ベンチに腰を下ろしたら
まるで恋人みたいな気分になって
不思議
人の通りの薄い時刻
けれども人がいない訳ではなくて
噴水を挟んだ向こうのベンチには
しっかりと
恋人た ....
聞こえなくなる直前の耳に聞こえる
鈴虫の羽が散らす美しい高音の点線に沿って
無数の枝が折れてゆく、無数の枝が折れてゆき
その微細な山折りと谷折り、その隙間から
水と ....
やがてテントを夢色に染める
オルゴールの{ルビ音=ね}は消えゆき
客席に響く拍手の{ルビ渦=うず}におじぎするピエロ
幕が下りるとくるりと背を向け
舞台袖を降りて入った
楽屋の鏡の前に座り
....
おおきなお空の、
でっかいおめめさん。
まんまるね。
あかるいね。
あったかいね。
お空を見上げたら、
いつもあなたがいるの、
いつもあなたが見ているの。 ....
思い出
と
記憶
の違いを知ってしまってから
僕は
思い出喪失患者
になりました
何が綺麗だったのかも
誰が愛しかったのかも
今の僕には
何の意味も持たないようで
....
あの子は逝ってしまったのよ
夏の名残の陽射しが注ぐ朝の庭で
何度か苦しそうに喘いで
だけどそのうち眠るように
少しづつ少しづつ
呼吸が弱くなって
愛するみんなが見守る中で
頑 ....
誰にだってあること
こんなに淋しい
ひとりきりの昼間は
妙にアイスクリームが欲しい
ときどき部屋の時計が
止まってるけど、それは
数えるのをやめただけで
....
手のひらを
じっとみる
樹木
にキス
傷つけている
怪しい空
魔法じかけの空
手のひらの中の空
伸びる空に
手首に傷
手首にキス
闇を空に
病みを空に
目がつかまえた ....
目を閉じてひゃく数えるあいだの
静けさがこわかった
(いーち にーい さーん)
ぼくはずるだと言われるのがいやだったから
はんぶん泣きそうになりながらゆっくりと
(しーい ごーお ....
瞳をとじて あかい海
金魚の鉢に くちづける
からからの ぷらんくとんを ばらまくと
ゆれる水面に さざめくひかり
プランクトンはぷくぷくみずを吸い込んで、
ぶくぶく息を吐 ....
心臓を 下さい
何処かに置き忘れたのです
シナプスを飛ばして 過去の駅
遺失物預かりの四角い顔は
どうして揺れることがないのでしょう
同情して下さい なんて
云えないのだけれど
....
ふと、迷うということをしてみて
揃わない手のひらで地図をなぞる
帰る時間になりました、と言われるけれど
本当はどこへ帰りたいのだろう
誰か
夕暮れに誰か
流れていく群れを、逆に擦り抜け ....
至近距離で選ぶ 想像の快楽とロマンチシズム
目線のやり場を 一体どこに持って行けばいいのかと
目視の限界点で 目をしばたたかせる男と女
何をそんなに見つめていたのかは、人それぞれである
まった ....
雨の日は誰もがまるで
幽霊のようですね
ほら
青いビニール傘透かして
見上げてごらんなさい
雨粒と同じ数だけ
冷たいタマシイが
落ちてくるのが
あなたにも見えるでしょう
落ちてはじけ ....
{引用=
ゆつくりと 首を すげかへて
さみしさ を
あなたと わたくしの合間に横たはる、あの さみしさ を
その一端でも 共感しやう
静かなあなた の 夢見言が
わ ....
ユメに住めば 眠り浅く
ユメを食べて 満たされず
咲いたところで ユメのなか
カリソメの陽を浴びて
水面に映る蒼白い ヌケガラ
啓示は 下された
女が 死ぬ
男は 海に
自殺を 抱き
生き続ける
足下には 泥
むらがる 蟻は
蝉と 十字架を
運び
凹凸の激しい
排便
排便 そこには
美などなく
....
人の生き死にをたやすく
詩になんかするものじゃない
と、貴方は私に云い
今のところ
概ねだけどそれは守られている
けれど私は
貴方の生きざまと
死にざまだけは
しっかりとこの眼 ....
私の中に
午前を飼っている
白い舟がいくつか
遠く漂う午前だ
華奢な草の葉がためらいがちに揺れ
吹く風のなかに
覚束なげな青さが
消えない午前だ
もう長いこと飼っている
だからも ....
まなこ に にちりん
もろて に こがらし
つち の かんむり しろ こだち
かぐわし みつ むし
たわわ の やま つき
かぜ の ふところ ....
残暑が、高らかな色彩吐露を
自ら慎みはじめている
少しでもぶり返せばそれは
奇声、とひとことで片付けられる
薬を拒んでも、夏は引いてゆき
もう夏風邪とは呼べない何かと ....
月のしずく
やどる草陰
いともたやすく
朝陽にとける
心ころころ
恋心にも似て
儚きものこそ
うつくしく
しばし留めん
愛しきすがた
その日の夕方
妻は花束を抱えて帰ってきた
赤 青 黄 白
色とりどりの花の群れ
寝室の棚の上に花瓶を置いて
妻は花をその中に挿した
赤 青 黄 白
色とりどりの花の群れ
部屋の中は美し ....
雨が来る
雨が近づく
星を隠してしまう
足を失い
けだものは川へ行く
たとえ流されても
先へ進む
闇のなか 地に手をつき
文字を指で書きならべる ....
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