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水底に置かれて
屈折した空を見上げては
ただの黒い点となって
あぶくを吐きつづける私は
その蒼に抱かれながら
浄化という名のもとに
この躰を満たしながら
還りましょう 雨に
....
ふたしかな季節を
灰の午後のかけらを
染まるようで染まらずにとおりぬけ
雲を燃す火はぽつぽつと
河口の浪を照らし出す
割れた岸を砂は流れ
夜の虫の光のように
浪の下へと沈 ....
降り続く5月の雨のにおいに
そのアパートの住人は気付かないふりをしている
僕は僕であって欲しかった
少なくとも鏡の前では或いは
君や君以外の誰かの瞳に投影される僕の影ですら
既に僕ではな ....
矢車草が咲いた
どこに行くのか
よく判らない
この道の辺に咲いた
青い小さな草は
私の歩みにしたがって
くるくると
風を孕んで
ゆらゆらとゆれる
お前の白い太腿は
この
....
にわか雨は窓ガラスを叩く激しさで
海辺の汐臭さをわたしの部屋まで連れて来た
波音のひたひた寄せるテーブルで
いつか拾った貝殻の擦れる音色がする
ハンガーにかけたわたしの白いブラウス
温もりの ....
生きながら魂となり
死してなお人を愛する
その心は
千年の時を超えて
今も誰かの命に宿る
今宵も
妖しく燃え立つは
情念の炎の
ふたつ みっつ
今夜 私には
逢いにゆく人がいない
孤独な夜の散歩者は
アスファルトに響く雨唄と
ビニール傘に滴る雨垂れの
二重奏に身を浸しながら
果て無い雨の夜道を{ルビ彷徨=さまよ}う ....
いのちって儚くて 消えてゆく音色に似てるね
このんで選んだその音を いくつもの 指先は奏でていった
記憶だけ残されて
いくつかの歳月の 重なりあった思い出は
通り過ぎて ゆく
あわい ....
悪夢に襲われ呆然といる僕
外ははなまるの晴天
しめった心を日向干しようと
公園まで足を引きずりながら
出かけた
サラサラ髪の坊やは
季節に波乗りサーフィン
....
春の底に吐息する
ヒナゲシの色彩の
ポッ、と尽きて灰になる予感に
逆らわず、半音ずつ春の底へ
半音ずつ春の底へ、身を委ね、静まる
少女のスカートがフレアを
静か ....
泥水のような灰色の空が、
切り立つ垂直の地平を蔽い、点から線へ変貌する驟雨は、
藍色の抽象画の顔を育てている。
列車の窓に映る凡庸な景色は、引き摺るように、
後ろ向きに、失われた過去を走ってゆ ....
この 思いの
行き着く先は 蒼く
仄かに
月は揺れる湖上の 夜に
揺れる わたしは遠く
あなたを遠く
遠く
思いに 揺れる
月
丸みを帯びた光は
瞼を下ろすたび
その裏に
微かな影を描く
碧さを含んだ風が
誘いかけても
膝を抱えたままの両腕を
微動だにしないで
閉じたままでは
何も見えない
....
午後の太陽を舌でころがしながら
うすく目をあけ
融けてゆく自身を見つめる
けだものは雨を見ない
けだものは雨のなか
血を流している
風がとどまり
何かを描いて ....
さよなら
でも
さようなら
でもいいが
それは
またね
をかくしているはずで
またね
は むぼうびなのに
わたしたちは
うたがうことをしない
まだ
ことばのないこ ....
もちろん、そこにはいくらでもあった
今を今として見てみれば、行き詰っていたのだろう
記憶にあるものを少し、震わせてみれば
確かにその街はどこに行っても
なにかしら行き止まっていて
そ ....
投げ出された星々は
結ばれず
誰ともつながれずに
コラージュ
ただそこにあるだけ
遠い母の
記憶は
ぎこちなく
夜空の
コラージュ。
手を振ってくれた時の ....
もう都会は
もう蜃気楼しか見えなくて
本物のか現実か分からなくなっているよ
マンションから吹かれるつむじ風に
冷たさを覚えた
誰もいないプールサイドで
服を着たまま ....
↓START or END?↑
寄せては返す
小波は
酷くせつなく
身を切りて
ひとりぽっちで
歩く女の
白い小足を
浚ってく
潮を含みて
吹く風は
....
ぼくは詩人
人生には幾度となく
分かれ道があるが
そこで曲がらなければ
前には進まない
今日もまた
朝の散歩をしていると
分かれ道に出会いました
一つは林の中の坂をのぼ ....
ほら
徐々に白昼は
朗らかな華やかな他人となり
朗らかに、華やかに
高くなり
遠くなり
ずっと
最適な肌へ
熱を当てそこない続ける私の体の
どうしようもなく密 ....
冬は起ちあがり
世界は染まる
風のない
夜の明るさからやってくるもの
輪の星の目を
時計の目が見つめる
舌 傷口 くちびる
ためらいのなかはばたく
夜の手の羽たち
....
{引用= あのひとの記憶がしずむ海は、いつしか防砂林で見えなくなった
越えられない高さに、すこし安心した}
砂が、降って
深く深く沈んで 底まで
皮膚 ....
名の無き道に
いつかふたりで
残した足跡を辿る
咲いた椿を
ひと目見たくて
斜陽にそっと
伸ばした指先
溢れた椿に
躊躇うばかり
枝先から
落ちた瞬間
名 ....
先端のあやふやな人が
細長い話をしていたので
窓をもち歩く人が
そっと窓をしめる
何かが入り込むように
何かが出て行こうとするから
わたしは遅い夏の陸橋
レタスが逝った日のことを話し ....
五月半ばの空は晴れ渡り
真っ暗な空に星と太陽が並んで光る
という風景を見るためには
大気をすべて消去する必要があるけど
そこまで無理することないわ
面倒だから五月闇で充分
まだらに曇る空か ....
雨の
始めの
ひと粒
ふた粒
私だけに
与えられた
もののように
この頬を濡らす
あなたの指先に
近い温度で
毎日夢をみる
毎日生活がある
しがらみの世の中で
心のベクトルは乱反射
ニュースでは連日
悲しい事件ばかり
川のほとりに咲く花は
なにも知らずか知ってのことか ....
本を捨て風を追え
光の鉄筆を持ち
刻むがいい
化石となり残る言葉を
考古学者が
その意味を追うだろう
ノートを捨て雨を打て
声にならない慟哭を
写すがいい
降り積 ....
ただよって ふかく
抱かれて ひろがり
水となって しかし
すべてを忘れ 風の
かなたで あふれる
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