すべてのおすすめ
届けられたのは
便箋にして二枚の
こころの欠片でありました
丁寧な挨拶の他には
少しの友情のような気配
けれど
こころ火照らせるには充分な
あなた ....
いのちあるものを
司る月の満ち欠け
この8の月は
月が二度満ちる
その不可思議に
神聖な月は
青い月と聞く
頑なな心の闇夜も照らし出す ....
ヒュー シュッパーン パッ パッ パッ パッ パン
たま〜や
夏の宵闇を貫く大輪の華
ラムネの瓶に沈んでいく
タップ タップ タップ タップ ....
知らない
し
暑くもない
し
ちょっとだけ寒かったりする
あ
初めまして
わたしは
あれ
誰でしたっけ?
夏の果てに棲むという
或いは大きな口をひらけて
あれは ....
うらやましそうに見ていたら
「じゃあ、少し上げる」
その人は言って
端っこのほうを千切って
ちょっとだけくれた
辺りを見回すと
端っこのほうをもらって
喜んでいる人もいる
わたしは端っ ....
生きていくのだ
ブルゾンに袖をとおして
ショップの店員が
ボタンを掛け違えたまま
しめやかに執り行われます
本日の埋葬
自分しか見当たらない台所で
悲しみの真似事をするのは止めに ....
ひらいた おやまの
むこうの おそらに
ちいさく てをふる
おにのこ つちのこ
とんとん とんのに
とうせん はなおに
とんから とんから
とうそう はなおに
ひらいた ....
一日終わる 堕天使達の
かくも短き 一夜の宴
折れた翼を 探しつつ
心の氷 溶けざらん
旨き肴と 旨き水
膳に集いし 一時や
心に羽根が 生まれる如く
話し弾 ....
窓のむこうに
降るのは
あかるい雨
夏の日差し
真っ白な雪
網膜の向こうで
立ちつくし暗転する
背中の音
いつも風景に
変移を求めていた。
わたしが変わっていく事になど
....
受信箱に届いた一通のメール
知らない送信者
おそらくフランス語のSubject(タイトル)
本文は
三年間でやっと入手した第二外国語の単位と
長いブランクのある読解力では
解読するには ....
苦しげな雷鳴に飲み込まれ
灰色に溶けてゆく午後の中
向日葵の黄色の彩度が
浮いてしまっていて
それでも、向日葵は
いつまでたっても泣いたりせず
ああ、どうしてなの
滲んで ....
熱く
青く
南から押し寄せる
夏の、ソ、ラ、シ、の
反復の幾つかは
肌を灼熱させたり
唾液と共に高笑いに混じったり
アイスクリームをベトベト光らせたり、そうして
幾 ....
許される時知らず
流れ着く場所知らず
其の手の瓦礫
其の血の痛み
乗せたまま
時を越え
流れつづける浮船の
哀しみ
埋まらない心を鉛にする
傷口を君が優しく舐めて
そしてまた固まっていく
重い体はどうしたらいい
吐く息さえも固形であり
時に喉の奥で詰まってる
私が永遠に羊を数えて ....
悲しげな横顔を今も思い出す
雨の日も晴れの日も
切なくて
悲しくて
愛しくて
届かない
想い出は
もう
葬ってしまおう
墓標は白いユリの花 ....
藍の先に広がる紫雲の中に 運び去られた光を探す度に心は溶け
悲しみを剣で返す人の愚かさを知る
読みきることの出来ぬ深い歳月を歩み彼らは、光を捨て
迷わす千や万のささやきを振り払い 闇を御 ....
あたりじゅうすべてが蜃気楼と化してしまいそうな
夏の午後
裾の長い木綿の部屋着に包まれ
籐の長椅子で微睡む一個の
流線型の生命体
窓からのゆるい風が
肌にときおり触れて過ぎる
ほの甘くあ ....
熱い日がまた来る
今日も暑いね
あの日も暑くて・・・
父さんにとって人生で最大の危機の日。。
熱い日がまた来る
思い出に熱波が押し寄せる
今日も暑いね
戦争は知らないけれど・・・
....
私達はこの国に生まれたんじゃない
そういう訳では決して無い
この大地と海は遥か遠く国境を越えて繋がっているのだから
誰かの決めた曖昧なアウトラインが何処にあるのか
私は知らないけ ....
くらげはもう水みたくなって
やがて海になるだろう
溢れる 空想を両手にとって
きみは穴を掘っている
隣で海を耕しながら
私はそれらを見つめてあげる
....
わたし、ほんとうはせみが大嫌いなのに
せみを見つけるのが
とてもじょうずで
命あるものみなとうとい
なんて嘘
目にみえるものすべていとしい
なんて、嘘
わたしはせみが嫌いで
で ....
雨、
雨音
ヒグラシのリズム
おもむろに始る
朝のデカダンス
雨が沁み入る
抗体のしきたり
生き足りて苦痛です
滅落して遊ぶ生態は
蓄音機になりたいのだ
潰されない虫に ....
ながいあいだからっぽの
まどぎわの
たなの
うえの
すみっこに
おいてある
きんぎょばちの
なかで
おどっている
きみの
すがたを
すがたを
すがたを
....
あの夏の指は
空き地の夏草で切れ
薄っすら汗滲む指紋にぽつ、と赤く
劇的に熟してゆく果実を携えたように
あの夏の指は
空き地の夏草で切れ
何処にも行かないという約束 ....
少しずつ
深くなる季節に声をかける
前髪の長さが視界をさえぎる頃
君は青のように濡れるだろう
それは特に悪いことではないのだが
誰もが出立している そのさなか
僕は君に声をかける
少 ....
ふいに
欠けた気持ちで目覚めた
三日月の朝
とんとん、と
階段を降りながら
わたしを満たしていた
はずの
あたたかい何かを
必死で思い出そうとする
思い出そうと
コーヒ ....
灼熱の夏のうらがわで
たいようがかなしげにゆれているのを
みのがすひとにはなりたくなかった
カラフルなひよこがちいちいと泣く
こどもがそれを買ってとねだる
ゆかたのわたしはそれをみて
....
わたしがむやみに数えるものだから
蛍はすべていってしまった
わたしが思い出せるものは
ひとつ
ふたつ
と
美しい光
いつつ
むっつ
と
美しい光
けれどもそこ ....
帰り道に迷うのは
せめて僕のほうだったらいい
通りすがりで、そっと交わす言葉からは
いつだって真ん中のところが零れ落ちていく
駅の階段を
夏に降りていく
君は一つの呼吸で
手を振 ....
閃光と爆音が果てしなくつづく
長い長い夜だった
終戦前夜の静かな港町に
これが最後とばかりに
ありったけの爆弾が落とされて
夜空はまるで夕焼けのように
真っ赤に染まったという
....
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