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何処までも続く田んぼ道を
傘を差しながら歩いていた
泥濘に足を捕られ
踏み込んだ足音に
ため息が一つ、呼応する
辺りはすっかり暗くなった

バスの停留所が見えるまで
ひたすら途方も無 ....
 
 
寝台車の匂いが
掌にする
腕はまだ
距離を測っている
残されたものを集めると
骨の近く
きしきしして
初めて靴を買ってもらったときの
恥ずかしい喜びしか、もう
いらない
 ....
がっくりと
落とした肩を拾う
何かの実のように
赤く色づいて
種を持っている
やがて発芽する
青くてたくましい
力を持っている
肩は落とした数だけ
冬を語っている
肩は拾った数だけ ....
泥を
振り払おうとする腕こそが
いつまでも拭えない
泥かもしれない

確かめようの無いその有様を
透明である、とは
誰も語らない

そこでまた
ひとつの泥の
可能性が
散る ....
息をひそめて
(葉も揺らさぬように)
焚き火が揺れる

煙の中でも煙草を吸う君は
跡形もない言葉のままで
髪先を星座に投げる

傷跡だけを残すために
遠くの峰でわき上がる
季節 ....
素麺を啜りながら東の空を見た
月消えて
すみそにあんかけうまかろう
そらに女のささやきが
ゴアゴアした風にも油断ができた

すみそにあんかけうまかろう
提灯で電気花火に火をつけた
撥撥 ....
彼は待っている、
おおきな手と長い腕をひろげて、
彼は待っている。

彼はひとつの特権を持っている、
おおきな手と長い腕をひろげて、
彼は特権を行使する。

しかしその特権をどんなに行 ....
ある夜 街はずれの広場で
夜空を天幕がわりに
サーカスが催された
楽隊のない 静かなサーカスだ
曲芸師たちはみな骸骨
水晶のように無色透明なのや
黒曜石のように黒くつややかなのや
銀色の ....
雨に吸い取られるように
街から見上げると
あしもとの同心円は
忘れてしまう
私ではないあちこちを中心に
広がる波紋の重なりで
まちは夏の終わりに濡れて
遠い港の潮臭いしぶきまで
思い起 ....
灰の混じる手で
顔を洗う
灰は髪になる
灰は語る


火が残り
背を照らし
髪の影を燃し
ひとりを浮かべる


月を連れ 別れる
赤い光が 鉄路を去る
隣を歩む ....
 Quartz
 震えて
 終わりと
 始まりのないものを
 区切っていく
 切り刻んで
 数をあてる
 なにものとも
 名づけられない筈の
 私より薄くて
 鉄も
 昼夜をも含 ....
わたしたちの目の前で
落ちるブルー、ブルー、ブルー、





ブルー、ブルー、ブルー、
いちにちの、落ちる、朽ちる、空はやがて
静かに液化して海となり、闇となり
ざ…、 ....
銀色の太陽が照りつける夏があり
それはもう
うち震えるほどの悲しみに満ち溢れているのだが
私には震えることが許されていない
この夏の中では
私は銀色の太陽に烈しくうたれて
鋭く濃い ....
三度に分けて呑み干す光
その日かぎりの地図にこぼれ
街はひとつ低くなる
空き地は碧くたなびいてゆく


わずかに曇った風が吹き
ふところに涼しく正座している
頬を染め 空を ....
夏の真昼、それでも橋は
向こう岸へと道を渡していた
橋は境界を渡っていくという
意志の名前だ

それはいつも不器用な放物線で
あなたと わたしや
世界と そうでない世界と
あっちと こ ....
あたしは起きると夜になっていて、
サメザイはいつも、
「おはよう。」
とは言わず、
「こんばんは。」
と言う。
それは皮肉ではないのだけれど、
あたしには ....
雨とよばれる
雨とはちがうそれを
よける隙間も
したう境界線も
本能のなす
川かも知れない



浴びていることを
浴びせてしまうような
無知なる無知の
さらなる先 ....
小さく折れ曲がり
玉蜀黍畑にうずくまる
光と共に、空から
夥しく剥がれ落ちる玉蜀黍の葉の
激しい葉脈を見上げる


光、
青、深緑、
夏、
という、灼熱
 ....
車椅子に座る 
小さいお婆ちゃんを 
前から抱きかかえる  

少し曲がった 
「 人 」という字そのものに 
なれた気がする 

ごめんなさい、ごめんなさい 
と繰り返すので
な ....
手のなかに
ことばを握ることがあったね

あるはずもない質量に
身を任せてしまうことが
あったよね


どんなこころ模様にも
ときは流れてゆくものだから
いつか
わた ....
あおい月がしずかに沈むのを防ぐために、どれだけの灯
りが必要だろうか。どんな空の下でも、繰り返される息
があり、その色は見えないが、あかでもなく、みどりで
もなく、あお。それに限りなく近い色だろ ....
つきを
見上げるための、その装置を
湖底にそっと、
眠らせて

ノスタルジアが、いま、
宝石に
なる、



 王冠は
 燃え盛ろうとする、あの
 いつわりの技巧
 ....
胃の洗浄をするために
階段を上ったり下りたりしていた
蜂蜜のソーダ割りをひっかけていた
シュワワワワーと
それは収束の音だった

落ち着きのないフルート
君はツタの絡まる音を聞いたか
 ....
何を植えるかなんて
考えもなしに
掘りおこした
庭のすみ

やわらかい土の頂きに
雀が降りて
ころころと、まろび遊ぶから
つい、嬉しく振り返って
あの人の面影を探してしまう

幸 ....
あなたが夕刻を告げると
わたしのお遊戯が
奇妙な形で切り落とされて
真っ暗になって
ぽた、ぽた、落下する
わたし
という無数の子供たち
の見上げる、灯り
に群が ....
その広い丘にはドアがあって
朽ちかけたドアだけが、ひとつ、あって
その横で佇んでいる、家族だった影が
心を裏返すほどにゆるしたかったものは
自分たちだけ
だった

 ドアを開けると道が広 ....
暗い空から吊り下げられている
いくつもの虹色の絶望のシャンデリア
時にそれが奇妙なほど
美しく煌いて見えてしまう

灰色の道は沈黙のように続いていて
その上を歩いている
黒いハットと黒い ....
梅雨の季節に入り
自分の住む街にも雨が降り始めた
テレビの天気予報では
しばらくの間はこのままだという
ぼくは家の中
ここにいる限り雨には濡れない
家の屋根がある限り雨には濡れない
ぼく ....
東京には空がない。
そんな事は
遠い昔のおはなしになってしまった

新都心でも今はやりの高層ビルディングも
空に浮かんでいるよう
眼下には千切って零した緑の森と
トミカの車が血脈のよ ....
 
たくさんの鳥

そして少しの懐かしい人を乗せ
他に何も無いような空港から
飛行機は飛び去って行った

覚えていることと
忘れていないことは
常に等量ではない

夏の敷石の上で ....
こしごえさんの自由詩おすすめリスト(3573)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
母の上空- 佐藤清児自由詩507-9-16
寝台車- たもつ自由詩1807-9-12
- 小川 葉自由詩307-9-12
透いてゆく- 千波 一 ...自由詩22*07-9-11
晩夏の指先に- たりぽん ...自由詩8*07-9-6
怪奇月食- あおば自由詩2*07-9-5
おおきな手と長い腕- 佐々宝砂自由詩3*07-9-2
静かなサーカス- 塔野夏子自由詩5*07-8-31
フランクリン・シンドローム- たりぽん ...自由詩16*07-8-30
夜めぐる夜- 木立 悟自由詩607-8-30
Q- 水町綜助自由詩2407-8-27
落ちるブルー- A道化自由詩907-8-11
夏の影- 塔野夏子自由詩9*07-8-11
数と光- 木立 悟自由詩607-8-4
橋、ただの橋だけど- たりぽん ...自由詩11*07-7-28
「_とまどうペンギンどもよ今すぐ羽ばたきあたしに続け!。_」- PULL.自由詩6*07-7-28
はじまり- 千波 一 ...自由詩13*07-7-27
微粒子- A道化自由詩1407-7-19
「_人_」_- 服部 剛自由詩18*07-7-18
重みを確かめては来なかった- 千波 一 ...自由詩14*07-7-18
The_Blues_Are_Still_Blue- 岡部淳太 ...自由詩11*07-7-14
シークレットブルー- 千波 一 ...自由詩18*07-7-13
洗浄- ふるる自由詩807-7-7
つゆむらさき- 佐野権太自由詩37+*07-6-26
ぽた、ぽた、する- A道化自由詩1407-6-26
停留所家族- 霜天自由詩707-6-24
黒の歩行者- 塔野夏子自由詩4*07-6-23
屋根は濡れている- ぽえむ君自由詩8*07-6-22
*雨音_2007*- かおる自由詩13*07-6-21
綴じ代- たもつ自由詩2607-6-21

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