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秋の胡蝶の薄い羽は
微かな風にうち震え
先細る命に慄く
あえかな花の行く末は
胸騒ぎがするから
花占いの刑に処す
命あるものの極みは地に堕ちて
蠢くものの餌食と ....
いのちを
てのひらのように合わせる
欠けたまま
あることの
ひとつの償いであるかのように
頭上の硬い岩は
いつでも欠けたままで
(満ちることなど
たまにしかない)
私たちの不安定な歩 ....
そこに花がある
名前は知らない
けれども
その花にしかない色がある
それだけあればそれでいい
そこに鳥がいる
名前は知らない
けれども
その鳥にしかない翼がある
それだけあればそ ....
旅程、 それは
気体としての体の呼び名
約束は山嶺のむこうで
鼓動が、 「遠く」と嘆く
あなたの住む町に
なごりを凍らせて
肌の温度で流れ出す
液体としての心
はるか、 はるか ....
1
漆黒の夜を裂いて、神楽の舞が、
寂びた神社の、仄暗い舞殿で、
しなやかな物腰を上げる。
右手は、鈴の艶やかな音色が、薫る。
あとを追う鳥のように、左手の扇子は、鈴と戯れる。 ....
{引用=
あれはたしか小学生のころ
ちいさな花をいじめたことがあった
冬がカサリと音を立てはじめたある日
お母さんがお庭でいっしょうけんめい
そだてた花を
「しゃんとしなよ」
「 ....
帰る場所を私は持たない
たとえば
ふるさとは
ほろびるだけで
東京は
ただ試してる
ことば
あるいは
ことば以外で
わかったようなつもりになって
帰る場所を私は持たない ....
赤い河の流れに身を任せる
一通の船に乗る 目の前には夕闇
視界の先を今なら明確にimageできる
失くしたのは片肺…
失くしたのは最愛…
美しい音色に委ねる我が身
力の源が言葉であれば ....
記憶の ぬくもりが
朝のラインに 並びます
いくつかは やわらかく はじらい
いくつかは つめたく ゆるされて
/濡れた空に 水の旗が ゆるやかに たなびいています/
それで ....
あなたの花開くようなお口へ
鈴の音の鳴る金のスプーンに
一さじの杏ジャムを載せて
含ませたいの
とても穏やかな様子で
わたくしの はやる気持ちを隠して
柔らかな顎に そ と手 ....
この街にまだ雪は降らない
灰鼠色の空は浅い冬のまま
恋人たちの吐息や
ブランコを揺らす手に護られている
わたしの何処か深くにある黒いものや
寒い、と寂しい、が似ていること
それに気 ....
ほら
雪って、生きているのよ
空からここまで辿ってきた足跡が
真っ直ぐじゃない
一粒ずつみてごらん
そうしたら、ね
小さな顔がある
あ、いま 目線が合った
雪はそのむかし 薄紅 ....
{引用=*四行連詩作法(木島始氏による)
1.先行四行詩の第三行目の語か句をとり、その同義語(同義句)か、あるいは反義語(反義句)を自作四行詩の第三行目に入れること。
2.先行四行詩の第四行目の語 ....
{引用=街}
街は
灰色にかじかんで
遠くを見る
{引用=鳥}
丹念に編み込まれた
木々のレエス
鳥が壊す
{引用=画廊}
画廊の扉は
今日も閉じられて
あの絵も ....
冬の青い空を眺めて
見えたのは
光の粒子だった
きらきらと光るその粒は
純粋な希望の輝き
冬の白い地面を眺めて
見えたのは
水の結晶だった
きらりと光るその粒は
純粋な創造の輝き ....
窓際に
置かれた
書棚
その窓はすりガラスで
鉄線が格子状にガラスの中に張り巡らされている窓で
北側の壁にはめ込まれている
僕の腰ぐらいの高さの書棚の上には
郵便物用の ....
冷たい風は
そのまま冷たくて
ぼくの身体を凍えさせてゆくけれど
この寒さを乗り越えなくてはと
ぼくを熱くする
冷たい風は
さらに強くなって
ぼくの身体を固めてゆくけれど
この辛さを ....
冬のすじ雲に
数羽の鳥が列をなし
横切ってゆく
あの空は海
冬の枯れ野に
数羽の雀が群れをなし
降り立ってゆく
この地は空
天は恵まれ
幸福は満たされ
その喜びを
地へと ....
1.永遠の序章
(総論)
一人の少女が白い股から、鮮血を流してゆく、
夕暮れに、
今日も一つの真珠を、老女は丁寧に外してゆく。
それは来るべき季節への練習として、
周到に用意されて ....
くらくらしている。クラシカ、遠い世界にいます。海。空に海があるよ。落ちてこない、あれ、今気付いた。なんで落ちてこないんだろう、あの海。空が青いです。ふしぎ。白いさかなが、いっぱい浮いてる。あれは死んで ....
枯れ草しかない目の前は
寂しさを感じるけれど
ここから春が訪れると思えば
渇ききった枝と自分の心にも
潤いが与えられる
土がむき出しのままの畑も
侘しさを感じるけれど
ここから生が誕 ....
わたし、総理大臣のあくびについて観想を述べたいの。あくびの尖端はからっからに観想してますね。あくびはフルマラソンを観想できそうですね。あくびにはどんな観想曲が似合うかしら。
わたし、川に記録され ....
雨の糸の隙間に
夜は満ちて
ストーブの熱が
そこだけ幸福とでも言いたげに
ほんのり春を創っている
きみと並んで傘をたためば
二人の水滴は
余分な約束事のように散らばって
冷えた ....
その昔
まだ名前も与えられなかった頃
僕に
綺麗なモノの綺麗さは届かなかった
1
深い山の奥底で
熊の子供が眠っていた時
その兄は僕が殺したのだった
子供の寝顔に銃声は似合 ....
細い糸のような雨が上がった
日が変ると同時に止んだ
慌しく過ぎて行く日々に
ひび割れていく心
解こうとすればするほど
拗れていく魂
腐るほど希望の詩を書いたけど
....
甦るのは思い出だけです
断片という名の時の死体です
「昨日は、昨日は、昨日は」と繰り返す事がARTだと囁く幽霊が日常です。
あなた今22歳で ボクは25歳
驚きの年代はもう過ぎた話です ....
机に置かれた一枚の写真
若い母が嬉しそうに
「 たかいたかい 」と
幼い彼を抱き上げている
年老いた母は安らかな寝顔のままに
「 たかいところ 」へ昇ったので
彼はひとりぼっちに ....
歩き続けることに疲れた旅人
巨木の木陰に腰を下ろす
見上げた冬空の青に
突き刺さろうと伸びる枝々
北風の唄に散る
枯葉の舞
その{ルビ一片=ひとひら}は
旅人が ....
銀色の穂波は
斜陽に映える芒の原
光と戯れ
丘の向こう側まで
続いている
風は止むことを知らない
運ばれる匂いは
ひとつの季節の終止符
あるいは序曲として
わたしに交わるけれど
....
風と土の中で
人は人になり
人と人になってゆく
それは幾千年も繰り返し
人が変わることがあろうとも
風は常に人を押し
土は常に人を支える
光と水の中で
人は人を学び
人と人が ....
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