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もう二度と会えないねって交わした約束と
12度目の冬を迎える
寒いなーって思ったら
あなたの町に雪が降ったのね
ブラックフライデーにクリスマスプレゼントを買って
夢の中 ....
今日は冷たい北風が吹き
街はもうすぐ黄昏です
西陽が君の横顔を照らし
はにかむ瞬間を捕らえます
それは本当に美しい
この街角の光景です
(あゝ後何百年
待てばこの瞬間に出会えたのか
....
硝子窓のうちそとに
冬が満ちてゆくとき
光の言葉と影の言葉が
中空であえかにもつれあう
秋の雨が窓を打つ
静かな音の中
君の寝顔を間近で見ていた
冬の厳しさがすぐそこにあり
空気は冷たく
一向に縮まらない距離に悩んでいた
近付けば逃げるのに
留まると残念そうな顔なのは何故
....
庭で夕空を仰いでいると
足下の、少し離れた場所が
ふいに がさっ と鳴った
古い柿の木から
枯葉の吹き溜まりに
実がひとつ、落ちたのだ
よく熟れた柿は
ほんのりと夕陽に染まり
....
君があまりにも傾いた樹木として
僕に近づいて来たように視えたものだから
君の大きな瞳の奥の
二三の星の連れ子を伴った
密かに見え隠れする
もう一つの月の貌を受けいれる
現実という測り知れな ....
いいねをつけるかつけまいか
名前で決めてる節がある
女なら寄り男なら引き
おお、ゲスい、しかし正直な
しかるに君は始めから喧嘩しに来てる
僕の名前知ってるか
僕はドラゴン
君 ....
夕暮の秋風に吹かれ
すすき野原が{ルビ靡=なび}いている
僕は風に逆らう
なのに遠い夕空は優しい
道は何処までも下り
またどこまでも上り
やがて雲は
夕陽の顔を隠すだろう
....
送信の印を、押せば
一瞬で相手に届く
メールの文面
手紙の文字なら
その人らしさを表わす一字にも
一つの心臓が、宿るらしい
令和3年にもなれば
ポケットから取り出した
長 ....
ぽたり、汗は落ち、土に浸みた
しゃがんで草をむしる
炎天下の庭で
ペットボトルの水は
すでに
ぬるま湯
あとひと息
草の束を
根こそぎ、引き抜いた
土の中がピカッと光っ ....
九月のしずかなあかるさは
透明な翳りを含んで
その中に点々と
露草の青 浮かんで
波紋するさよならを
心に溜めて
やわらかく孤立しながら
佇む意識の彼方に
ほそい岬
それは空へ帰 ....
もし、汝のこころが
本気なら
少々の障壁はもろともせずに
なんのこれしき
{ルビ空=くう}へ向かって、越えてゆく
夏の終わりの港で
堤防にひとり腰かけていた
(このまま海をずっとゆけば
世界の何処へでも辿り着ける) と
ひとり言は港に置いて
堤防から下りた僕は
歩き始める
やがて秋めい ....
{ルビ古=いにしえ}の詩を{ルビ嗜=たしな}みつつ
酒を呑み
体なきひと、我に語らん
静かな頭蓋のなかで
記憶は波だつ あらゆる襞へ
あらゆる層へ
その波たちは伝わってゆく
記憶はささやき
記憶はつぶやく
かたちを持った あるいは
かたちを持たない
出来事のこと 出 ....
寺の庭の隅にある
竹筒から……石の器へ
滴る水がしずかにあふれている
そよ風が、頬を撫でる
温かな抹茶を、啜る
僕は今 幸せなのかもしれない
この胸から一枚の
夏の風景をとりだしてひろげよう
青い湖 まわりは緑の森
そのむこうになだらかな丘々
湖には小さな桟橋 つながれている幾叟かの小舟
ほとりに小さく白い館
そこで僕らは
....
白く光る田舎の道を
カンカン鳴り響く踏切越え
海に向かって歩いていた
薫る潮騒、うねる波
空き缶一つ、浜辺に落ちて
わたし独りのたましいが
水平線を覗き込む
遠く船が落ちていき ....
失われつつある夏の日差しをむさぼるように
虫はうるさく徘徊し最後の狂いに没頭する
夏の影は次第にゆがみながら背骨を伸ばし
次の季節の形を決めてゆく
夏、それは誰もが少年であり、少女であった ....
日々に少しの余白を
どうか忘れないでいてね
なんにもしない日とか
空ばかり眺めていたりとか
そういう
一見すると無駄のような
切って捨ててしまいそうな
だ ....
暗い風が吹いた
濃くあかるい夏空の下を
暗い風が吹いた
暗い風が吹いてもなお
夏空は濃くあかるく
白くかがやく雲を湧き立たせた
蝉たちは鳴き 鳴きやめ また鳴き
鬼百合 向日葵 百日 ....
急がなきゃ。
と思うのだけど暗い。
思うように進めない。
あたりはいちめんの草むら、猫じゃらし、
ときどきひょいとバッタが飛ぶ、
川の向こうには何かが明滅している、しかし
その ....
この街に
人はたくさんいるのに
なぜ、ふいに
ぽつんと独りいるのだろう
読者よ 友よ
この紙の向こう側にいるきみよ
わたしの音の無い声は
その耳に届くだろうか?
願わくば
今 ....
すうっと細く、立っている
南天の赤い実たちの中に
一人 空のお日様を
小さく映すものがいた
かわいいね
っていうと、風にゆれ
緑の葉たちも、風にゆれ
ひそやかに舞う
互いのここ ....
君はその身体に
神話と寓話とを
ありったけ詰め込んで
旅立つよりほかなかった
君が旅するほどに
君の身体の中でそれらが育つので
君はいつも張り裂けそうだ
君の身体から
抑えきれず放たれ ....
少年と少女
青年と恋人
おじちゃんとおばちゃん
今
世界のいたる場所から聴こえる
くちづけの音に
....
久々にひとり旅で、箱根の宿の土産コーナーに
指でたたくとんとん相撲があった
――九才のダウン症児とやったら
お相撲さんをつまんで、ポイだなぁ…
翌日、小田原城の中には
玩具の刀がキ ....
トイレットペ-パーの残りを
使いきり、ちんと鼻をかむ
残った芯に
印刷された ありがとうございます
の文字に
僕も呟く ありがとう
最近は鼻づまりがひどくて
なかなか寝つけずし ....
わなわなふるえる
ひびの、よろこびかなしみよ
それがこの世のさだめなら
汝のコインに息を吹きかけ
明日の行方へ、投げてやれ!
くるくると…裏表見せる
放物線のその先は
道 ....
君が教えてくれた勿忘草の花言葉を忘れない
ううん、そうじゃなくって、
勿忘草の花言葉を教えてくれた君を忘れない
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