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光に貫かれ
すべてが踊り出す
この七月、
白い波しぶきを浴びながら
流浪の旅人は
麗らかな海辺の街をいく
静かに客人を待つ庭先には
石と薔薇、石と薔薇
石に刻み込まれた眼は
鬱屈 ....
銀色のプラットフォームは静かだ
何かが終わってしまったような
白い虚ろな光があたりを満たしている
駅名表示もない 時刻表もない
すべての列車はもう過ぎ去ってしまったのかもしれない
他の乗 ....
静けさの含み持つ何か
自らの心落ち着いた時に
期せずしてやって来る何か
過去へ遡行しながら
未来から到来する
未来から到来しながら
過去へ遡行する
胸奥から込み上げ溢れ 溢れ込 ....
指に指の毛が生えていること
永いあいだ、すっかり忘れていた
まだ僕に夢も希望もあったころ
いつかの祖父らと田植えをしたのに
未舗装の砂利道の上、うろ覚えの英語でルー・リードのWalk on the wild sideを口ずさもうとするんだけれど、あらぬ方向へ跳ね回ってどうにも様にならない
緩んだままのスニーカーの靴紐 ....
コンビニの旗がはためいている
僕はイートインでアイスコーヒーを啜る
いつ痛みだすか分からない肉を抱え
明るい街を見ている
理由もなく歓びに包まれ
明るい街を見ている
見れる、感じれる
....
意識が躍動する朝に
子供たちが踊る
鮮やかに心臓が脈を打ち
光の街が浮き上がる
歓びに充ちた朝、
自分の存在の輪郭が
世界に溶け込み
深い深い息を繰り返す
わたしは生きるの ....
夜に
道行く人の顔、白く浮き上がり
満月
独り独りの魂が、彷徨する
街道に沿って
ぽつぽつと点灯する黄色い灯り
追いかけて、追いかけて
刹那開かれる永遠に
そっと息継ぐ精霊を ....
サーモンピンク
色した指先で
鍵盤を健気に押して音楽
空は明け方のおおらかさ
赤ん坊の鼻息がぷうぷう
一緒に朝食
きゅうりってこんなに薄く切れるんだね
とあなたが感動している
こと ....
覚醒する意識に
一瞬が泡立ち
永遠が開ける
熱風吹く青の下、
日傘をさした人々がいく
歓びに充ちて
凝視する
世界は光
永遠の戯れ
A倍、K泉、A生、K田といった面々が
料亭で高笑いしている写真を見た
胸くそ悪かった
庶民がずっと苦しんでた時に
という思いがして
ものは受け取りようだ
彼らはりゅうさんが生き、活躍す ....
「孤鳥」
規則正しい通りの両側には、規則正しく家々が立ち並ぶ、それぞれの窓は開け放たれており、バルコニーには規則正しくbirdが並んでいる、birdは均等に朝を迎える、birdはお互いを決し ....
赤く燃える残照の地平に
片眼の巨人が座る
表層を掠めていく孤独
深まる陶酔の眼差し
彼は聴き入る
遠い故郷の残響を
わたしは ひとり ここにいる
隠された故郷の残響を聴きながら
....
「rain」
雨、という現象が
印象派の庭です
水の詩集をさらさらとめくる雨音が
萌芽の眠りを妨げて
やわらかく湾曲してゆく
午後からのカーブを描いてゆきます
「あの人は、光 ....
韻律都市の夏へ
君が吹いたシャボン玉は
まるで水銀球のようで
それでいてふわふわと
街路を漂ってゆくのだった
それは
この都市の名うてのダンサーである
君が踊る姿にも似て
―― ....
それから
100年も過ぎたような笑顔を見せた君は
振り返らなかった
ぼくたちの間には、鉄橋が
背の高い、ぼくの背よりも
ずっと、ずっと高い所にあって
ぼくたちの距離感をもってしても
届か ....
最後の一歩を踏み出すとき
人は独りだ
脳髄には光が溢れ
宇宙が爆発する
生への情熱は未だ
止むことなく
眼下に広がる青い青い海原をみる
最後に眼を瞑るとき
人は独りだ
午 ....
地獄のような山
吹けるマグマは三拍子
地に落ちて血に変わる
たどり着く列車は
溶けかけの人々を乗せ
運命に這いつくばる姿を
壊れた楽器のような音で
山に届けるのだ
ここを何とか逃げ ....
ばあちゃんたちは
生きていく生きていく
長生きは楽じゃない!もう死にたい!といいながら
生きていく生きていく
医者通いしながら
施設に通いながら
生きていく生きていく
毎日テレビを見なが ....
どんなことにも耐えられる力があるじゃないか!
と言っていた僕の心は
一回の入院で折れました
耐えられるわけあるかいや
人には耐えられない痛みがある
あとは養生あるのみ
僕そういうの ....
逸脱した想像力でかろうじていきているのかもしれない
人生にはときどき小さな推敲が必要なのかもしれない
戦いを降りた人間はミニマムのエネルギーで生命を維持する
だから村上春樹の海辺のカ ....
暑い日は
暑さを楽しむ
寒い日は
寒さを楽しむ
雨の日は
雨を楽しむ
風の日は
風を楽しむ
そういうふうに生きていけたらなあ!
君が不在のとき
スマホに撮りためた君の写真を見ていた
すると私の心は
君の存在とともに鳴り響くようだった
君は美しい絵画に似ている
君は瀟洒な音楽に似ている
君は心を打つ小説に ....
やさしい
やわらかな
音に包まれ
反復のうち
落ちてゆく
夢の底
青い波、残響する宇宙
たましいのふるさとを歓び
肉の苦痛から解放され
ただひとりに戻る
蝋燭の炎が青白く燃 ....
手押し車を押す老人
たいまつの火は燃えている
異郷のこの地にひとり立ち
遥かな地平を凝視する
わたしはふるさとを持たず
同じ道を通い帰る
痛む脳髄を密かに抱え
それは静かに歩いていく ....
耳の森、目の島、パーティーを開こう
渡し守、渡し船、何度も来ては
肺に入る宝石、出る水鳥、キキキと鳴いて
じっと待っている足たち、大人しくして、子どもらしくあしらって
暮らしや ....
ぶーん
と、軽やかに宙を舞う
一匹の蚊よ
命がけで人の血を吸う
機会を狙うお前よ
逃げなさい
大きな黒い手の影が
生きることと背中合わせの
お前をいつも追っている
....
子どもだからと置いていかれた
それでもそっと覗いて見ていた
あなたと私
繋がらないまま黙っていた
想像していたよりも良かった
でも と言い淀んで
私とあなた
すぐに来るからねとうなず ....
昨日いつもの爺ちゃんにあった
知り合いでもなくても知り合いみたいな人だが
やがて僕もこういう素敵な爺ちゃんになってゆきたいと
僕は自分の歴史しかわからないし
時々前後も混乱するのだが
....
今を静かさが支配している
静かさは私という不安を抱き留めている
私は静かさのなかで震えている
静かさのなかですべては始まるから
静かさがすべてを支配するから
私は吐きそうになりながら ....
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