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ぼくは道化師
老いたピエロ
観客を笑わせては
ご機嫌をとっている
化粧に隠した顔は誰にも見せない
眼尻に描いた紅い涙は乾いている
手品を見せてはため息を吐かせ
夜毎繰り返す芸 ....
世間に遊ぶ
世間と親和し
満洲餃子など
友と食べ歩きし
肉顔持つ魂達を見入り
赤煉瓦の港町は
後ろ暗い汚物が一掃され
うわべだけは瀟洒な衣装を着ている
遠い国からの荷物に潜んだ
赤い蜘蛛にとっては新天地だ
交響曲が聞こえてくる
泥とあぶらが染みついた服で
....
春の上辺の景色に
色欲がなぞる
それは現実と内側が
溶け合う真昼
子供のような体温は
不規則な熱情と
規則的な自然のまたたきに
揺らぐ小さな愛のように
しずくとなり
冷たいような ....
永劫の大洋
打ち寄せる波
揺り籠から墓場まで
墓場から揺り籠まで
燃え滾る創造力動
、
時の狭間を縫い
永劫の内なる大洋から
溢れ流れ出る 行為へと
行為す ....
ことば は 溶けている
いちどは 溶けて ただよう
ふわり と どろりと
ことば は 約束したり
裏切り続け
そうして 何度も溶けた ある日
うまれたばかりの 私は
つつまれただ ....
僕らをつなぐものは
あの哀しみの聖地だけ
もう今はたやすく訪れることもできない
あの場所の記憶だけ
今頃はまた あの場所をふちどるように
菫が咲いているんだろう ちいさな光を纏って
....
盲目の空が割れ裂け
入って来い入って来い!
叫ぶ、叫んでいる
あぁ かなしゅん
痛み抱えながら耐えながら
無限に広がりいき開放され
しずか静かさに昇り沈み
入って行く入って生く ....
道路に落ちて
雨に濡れた紙飛行機は
どうしようもなくみっともなくて
翼に乗せていたはずの夢は
タイヤの模様に変わっている
行き交う車に踏まれて
アルミニウムの円盤になった
一円玉が隣でし ....
あなたが手紙をくれたから
日々が春へと向かっていることに
気がつきました
いつの間にか
硬く
冷たく
難しくなっていたわたしを
あなたはどこで笑ってくれますか
わたしの返信を
....
ある日 机の上にぽつんと
見上げる空に 小さくぽつんと
夕食のときに突然、妻がぽつんと
揺れる吊り下げ広告にも なぜかぽつんと
──見知らぬ──
「新しいことば」が
そ ....
踏み切りの明るみに
ふと輝き在る君の顔、
語りかける如くに
微笑みシアワセそう
見つけたんだね、自らの根拠
自らの根拠、
君と僕を繋ぐ
それぞれの内底に
....
月の鏡は夜空を隠し
星々が眠りに就くから
夜の散歩もゆるしてくれる
湖に映る光は月と仲良しだから
微かな風が春の{ルビ詩=うた}を歌い
ささやかな祝福を奏でてくれる
きみとの約束は ....
水面を割り底へ
底へと泳ぎ生く人、
水辺にてささやき掻く
〉神々降誕の手前にて〈
ひっくり返る宝石箱に
色んな人相 輝き蠢き在り
ライトブルーの空
すこうし白をのせた色
あの色を知っている
埠頭に咲いた可憐な花もまた
無邪気にすみわたって
人の秘密をあらわにさせる
そんな色をしていた
或いは
指を彩る鉱石もまた同 ....
青すぎた空に
愛と憎悪の螺旋が渦を巻いていた
透明な視力には
それが耐えられなくて
ウオッカをあおっては
炎が喉を通り過ぎていく
遠い記憶の底をたどるけれど
深海に潜ることも ....
春なのに
びっくりするほど哀しい
いやなことはやく過ぎて
春なのに
まだねむり足りないと思う
目ざめないでと思う
春なのに
こんなに綺麗なのに
ただ笑っているだけの
もう ....
ひんやりと ビルの光の壁に沿って
次つぎ沈んでゆく白イルカ
隙間なくガラス 張り詰めた大理石
仮託して久しい本能
暗闇に光るコバルト毒を呑み下し
冷却する 豊かなゴミ色とりどりの儀 ....
わーい春のさかさま
黄色い花を摘む
卵を買いに行って
転んで帰ってくる
いつかまたここに来ようねって
言ったそばから消えて行った
ちいさく、ずるい人たち
どんな歌も届かないよ ....
○「名言失言」
*「若い内はいろいろあるけれど
結局健康で長生きした者が勝ちだ」
*「長生きはなんのため?
と自問自答しながら年を取っていく」
*「田舎の自治会の会計も
今では ....
「その言葉、あまりいい意味じゃないわよ」
といつも言うのだが
余程そのスラングが気に入ったらしく
父は自らを「自宅警備員」と名乗り始めた
緑内障に日差しはもっとも警戒すべきもの
幾度かの ....
言葉が届かない
グラスを傾け
紫煙に漂いながら
伝わらない伝言を待つ
その裏側は解っている
グキッ
ボキッ
とかとか鳴らして
首の骨を
鳴らして見せる
ジュン
凝り症だから
とかとか言って
しょっちゅう
ボキボキ
やってた
いつだったか
おもっっきり
....
忘却された物にこそ
花の咲き誇り在り
見えないもの 、
見えるものを
覆い包み込む。
この町のどこか
古いアパートの
薄暗い部屋の片隅にひとり
力なくうずくまっている
私を見つけたら
無駄な足掻きでもよくやったなと
労ってあげてください
あるいは
都会の真ん中で、大 ....
夕暮れ時に心のやわらぎ
広大な大地ぽつんと独り
取り残され失うもの
もはや何ひとつ無く
ひたすら自由に 、
美と叡智と力を
思惟と感情と意志を
霊性渦巻く生活へ生かし
太古の ....
昔言えなかったことが
今は言えるよ
あの頃のぼくは
たくさん求め過ぎて
きみの優しさがわからなかった
世間の噂では
きみは独りで鍵盤を弾いているらしい
あの日は雷雨が激しくて ....
○「頂点に立つ選手」
登り詰めるには
時間がかかるが
落ちるのは
あっという間だ
一歩のミスで落下する
○「人間とは」
「信用されてない」
「評価されてない」
と思うようになった ....
狂った時計を森の奥深く
猫の眼時計店に持って行った
ギィーと扉を開けた
こんにちは… 時計を直して欲しいのですが
店主は黙って文字盤を確かめた
これは狂ってはいないよ
ほら 見 ....
子供たち、走り出て来る
無数無数、黄色い帽子揺れ
アスファルトで駆けっこだ
次から次にわくわくと
ダンダンダンダン
今に皆太陽へと昇るんだね
ああ命のときめき時の煌めき
巨きな花も ....
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