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ひたすら憧れて
螺旋階段を昇っていく降りていく
根無し草の宙吊りで
呼ばれるように拒まれるように
(何一つ叶えられることはないのだと)
遠い遠い鐘の音を追いかけながら
ただひたすら憧れて
彼女はほんとうは、登ろうとしていたのではないか
山頂の標識に手を触れると、もうすることはなかった
あたりは一面雲の中で、遠望できるはずの峰々も麓の集落も、
あるいはどちらが上でどちらが下なの ....
落日の量る太陽の重みを
その身の上に遊ばせて
女は隠れた感情に名付け始める
喜びも悲しみも薄く展開していき
愛は少しずつ輪郭を明らかにする
女は陽射しのパンを食べ
風の美酒を飲み干 ....
山からはキンチョール
海からはフマキラー
虫は震えている
足場の悪い磯辺で
蚊取り線香の煙は揺らいで
遠く乱れ雲が重い
わたしの足元で
虫はつぶれている
乾いて荒れた
まぶたが開いて
かすれた小さな
産声が午前を揺らす
きみは何度目かの
救済と絶望のなかで
目に見える世界は
たしかなものではないと知る
クロー ....
人とうまくやってけないんだよ
解き明かせたら
その原因と理由は
いたって単純かもしれないし
その反対かもしれないんだが
人とうまくやってけないんだよ
それは子供の頃から
大人への階段 ....
化石した
遠い遠い
昼下がり
わたしは
人を離れ
故郷を離れ
海へ向かった
知らなかった
心さえ向けば
海とわたしとは
一本道なのだ
そんなことすら
知らないほど
....
人魚姫は逃げた
愚かな人の子狩人を
眩ますため
水浴みしていた
砂に埋もれそうな
砂漠に埋もれかけた
小さな小さな泉を
碧の湖に変えて
そうして2度とは
現れなかった
オア ....
信号を抜けると駅が小さな口を開け
その口の中にざぶざぶと雨が流れる
その口の中をしきりと鴉が覗き込み
鴉が入っては抜け 入っては抜けして
鋭利な風が立つ
風の中
おんなが頭を垂れて
....
みすてられた
犬に
なりたかった
けれど
かこが
いまでは
黄金郷
みすてられた
犬に
なりたかった
けれど
みすてられた
犬に
なれなかった
今日
あ ....
片道切符で揺れる電車に
もう引き返せないと決めた心の
熱い塊がトンネルの中で
燃料となって明日を照らす
言いたいことなら溢れ出していく
後から先へと繋ぐ虹のよう
黒く光る長靴に詰め ....
はらはらと 降る粉雪に ハラハラと
シャッターチャンス 見逃しはせず
チャンスのみ ギュッと握って 離さずに
ぼやけた姿 画面の向こう
ふわふわの 着ぐるみよりも 見たくれは
....
優しさの、
止まらない疾走に
目が回る
こころの上で掬い取られた
優しさはまるで
枯れ果てて茶色の種をバラまくまえの
向日葵の花びらを枯らした姿で
花としては終わり果ててい ....
ヒット商品 作品は どれだけ 人を選ばず 取り込めるか 難しい ステップは 省く
その人の 境涯で すべての 取捨選択が 実行され それ以上は ない
釈迦も 方便から始めて 本門で初めて弟 ....
ふたりの娘へと私と妻の遺伝子が繋がって
親と子供の絆が結ばれた
それは命の鎖
けして切れたりはしない筈だ
その関係は
偶然か
必然だったのかは解らないけれど
一つの家族になれた
....
がおがおやって居ると
先生のビンタが飛んで来る
ここは深い森で
獣の香りが匂って来て
辺りには静寂が漂う
探検隊の隊員は気を引き締めるために
がおがおするをの止めた
先生と呼ばれて居る
....
ラーメン
ソーメン
風信子(ヒヤシンス)
心を研ぎ澄まし
硬く
固く
堅い
爆弾のような石 / 意思 を
ここに置いてみよう
少し離れて見ていると
バンッと
爆発しないかな
丸い石
角張った石
欠けた石
....
いつぽんの川がながれてゐる。
川べりの道は夏枯れた草に覆はれてゐる。
川はゆつたりと蛇行して その先はうつすらと 野のはてにきえ
太古の記憶へとつづいてゐる と村びとたち ....
ひらかれたことばたち。
いみからすこし、とおくでひかる。
ひとのあたまのうえを、ひらひらとまう。
かんじをすてて、かくことで、
かんじのないぶんを、よむことで、
かんじられるなにかが、あ ....
どうしたって
自分の事が嫌いで
何度も自分を自分で殺しました
妄想のなかで
嫌いな自分を馬鹿にする人も嫌いで
何度も色んな人を殺しました
妄想のなかで
何度も ....
赤い線が
皮膚の上に浮かび上がる
今朝
バラのとげが作った傷が
今
わたしのからだの中の
赤いこびとたちが
あたふたと
いっせいに傷をめざして
走っていることだろう
猫を飼 ....
いちめん垂れ籠めていたのは暗雲
学校が退けた
放課後の教室から誰も居なくなった
職員室から人の気配がなくなった
校舎の中は否応なしに暗くなってしまった
図書室の本棚から一冊が床に落ち ....
暮れかけた空に
光る星の名を
あなたに教えて貰った
それは生きるのに
役に立たなくても
心に花咲く同じ記憶よ
図鑑と懐中電灯の
隙間を越えて
指差す方角に
位置を求めた
....
三日前、一度だけ会った新聞記者が
病で世を去った
一年前、後輩の記者も
突然倒れて世を去っていた
彼の妻とは友達で
今朝、上野の珈琲店にいた僕は
スマートフォンでメッセージを、送信した
....
羽が落ちている
本体は見当たらないから
誰かが食べてしまったんだろう
羽は食べてもおいしくないだろうし
さしたる栄養もなさそうな
だけど
錆ひとつない
無垢な部品
ない、みたいに軽 ....
はげしい地震のあと
まるでなにもなかったかのように
がれきの上にひろがる青空
すさまじい台風のあと
まるでなにもなかったかのように
倒壊した建物の上にひろがる青空
自然とは
なん ....
明けない朝、雨音が体中にしみこみ、体内に落とし込まれている
体内にピカリピカリと衛星が動き
コーヒーの苦い液体が少しづつ私を現実の世界へと導いていく
ありったけの負の感情と、希望の無い労働のため ....
頭の中の
折り紙が一枚
翼を広げて
羽ばたいていく
飛行機雲の
交わる中心に
何かがありそうな
期待を乗せて
水溜りに映る
青空へ触れて
ガラスの表面を
砕くよう ....
うねる雲を見ていたら
わたしは私でなくなっていた
わたしは流出して溶けてしまい
涼風とともに雲をかき混ぜていた
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