望月

謡うもの。
遥か彼方より天が下まで。降れて。
方位は陽の沈んだ場所より東であり
影から岬の先端まで。
いつか必ず絶えるからこその
願い。
月を枕にし給いて
気の踊り。
 ....
{引用=
壊れてしまった
停留所で
細々と
息を潜めていた

寒さで
空気が張り詰めていた
吐く息が
白くなって
白くなった

僕らが想像していたよりも早く
バスは出てしまっ ....
空には虹色をした魚の天使たちが満ち
人々は時々輪郭を失くしながら行き交っている
その人々のあいだを
宛名を手書きされた手紙たちが
それぞれの行き先へと急いでいるのが見える
街はずれの丘の上で ....
 {ルビ永久=とこしえ}の春の国       霊魂

永久の国が空にある    森をさ迷う恋人よ
雲雀の嬉しげな    安らう時を知らぬのか
姿無い囀りの遥かな高みに    湖水に休む月影を
 ....
 トゥクトゥクの傍らで赤い夕日を待って
 犬は
 なにもしていない真昼
 なにをしているのだろう、そこで
 みずからの首に首輪をつけ
 ひもをつないで

 犬って
 なにも ....
臨海線を越えれば
また一つ忘却の朝が 時計仕掛けのようにやってくる


未だ
ためらいのない無残なライトの明かりを車たちは放ち、


散水車の水のはねる音に
まどろみを破られた
わ ....
{引用=産}

 さて女王だが、日夜の狂態に目は隈取られ歌い皺が眉間と頬に刻まれ、
幾度と香油をすり込んでも肌から瑞々しさが逃げ、豚のように食べてもや
つれ{ルビ鱶=ふか}のように飲んでも渇き ....
触れられぬ光のようにそばに居るそばに居るのに遠い宝石




濡れ髪をそのままにおく季のうちに夜の声きく朝の声きく




灰という名の舟のどに羽ばたか ....
カウンターの背の高いスツールに腰掛け
グラスに注がれたバーボン
氷のゴツゴツした表面を覆いながら滑り落ちる
琥珀色の液体にジッと
視線を這わせ

すでに結露したグラスを捧げ
グビリと ....
赤い月夜の森の中を
恋人達が無言に行く
凍った大気と闇の道を
二人は抱き合って行く
抱き上げられた女は
男の肩に頭を預け
柔らかに目を伏せて
その温かさに耳を着け
胸の鼓動を感じている ....
かたちのない宝石を
手のひらで転がす九月の午後
孔雀たちはまどろんでいる
淡く実る葡萄の夢を見ながら
 
 
髪に触れる、鮫
独白の跡
カレンダー通りに呼吸する
日々に疎いものだから
 
冷たい泡と泡の間に
ぼんやりとアスファルトの道路
小便の臭い
蚊のような肩幅
 
バス停 ....
{引用=
月が星を
睨んでいるうちはよかった
警告は三声で描かれ
そのために海が割れた

稚拙な頭が
季節から流れ込む空気を食らう
お椀の中に肉声を閉じこめ
黒人霊歌のようにして ....
実のつらなりが
水に映る
逆さになり
雨が来る


遠くと近くの震えが混ざり
小さな 音だけの雨となり
曇へ降る虹
曇から降る虹を見つめる


指のかたちの熱が ....
ほんとうに心配なことは 
まるごと天に預けよう 
あまりに小さいこの両手は 
潮騒を秘める貝として、そっと重ねる 

 
誕生日に友にもらった筆入れから上目づかいでムーミンが見てる


数式の行間からのささやきを待ってるだけよ解けないんじゃなく


「棘抜きで魚の骨を残さずにとってあげたい」そんな恋文

 ....
光りをなくした
名もない星たちが
うつむいては 化石のように
眠っている



ちゃんと笑ってあげたら
隙間に触れることだって できたのに
平穏という残酷な家の灯りに
夜の積み木を ....
立ち止まるひと
立ち止まらないひと

その違いってなんなんだろうね

わたしなんか立ち止まらないひとだと思ってたのに
こんなとこに5年間も立ち止まってしまっていて

指先器用でギターと ....
{引用=なめらかな光り、消失
それはあの人
火花散る、消失
それはあの人}

世界が基準の統計
雄大な時間のパーセンテージ
そこに私は含まれているだろうか
例えば未完成に向けて進ん ....
空にすすけた泥が
まっくろになって
僕とあの娘にふる
この街は
薄汚れた街さ
煤をすすって生きてる

珈琲一杯分の
幸せを
喉に流し込み
反復する
時間と
運動をする
機械み ....
幼さをテトラポッドの棘とげに爪先立ちで残してきた夏  

木漏れ日から乱調の秋降り注ぐ エンブレムなんて破り捨てよう  

遠き日に屋根へと投げた乳歯が今落ちてきたよう昼の初雪  

ふく ....
僕は今両手を差し出して
広い大きな空を掴もうとしている
それがとても滑稽に見えても
そうしなければ
自分が消えてしまいそうな気がして

僕は今両腕を空に向かって突き上げ
広い大きな空に飛 ....
{引用=ほろほろとくずれはしない鍵の化石があなたのからだをひらいています
記憶は銀河のように 白い、黒い乳房のあわいをすり抜ける
あたたかな指先であなたの軌跡に限りなく薄い爪痕 ....
この過剰なしかし稀薄な世界たちの中で
見張り塔から
いったい誰が何を見ている?
何が見えていても無駄かもしれない
かたちの無い革命もどきが
気づくと僕らの意識を下から暗く蝕んでいる
そんな ....
むかしむかし
アルプスの少女ハイジを観ていて憧れたのは
日向の匂いの藁布団や家の後ろの父性の巨木
何よりも、おじいさんが串で炉火にかざして
ハイジのパンに載せてやる、山吹色にとろけたチーズ
 ....
月を見ていた
月が見えていた
今もまだ見えている
月と、木星と、照り返し白い雲たちだけ
他にはなにもなかった
空には
光るものたちは
もともと夜とはそういうものだ
飛び回る ....
遠いものたちが
ばらばらになって
散らばり
それぞれに互いがわからなくなると
世界はいったん
完成されたような
そぶりを見せる
燃えたあとの灰のように
のこったまま
離れを保って
 ....
どこ

外の風も
とおり抜けていくんだ
かすめとっていく世界を

  どこ

見えない空を
盲目で描く絵の具はまっしろで
飛んでいく京都のアパート


    ここ。
三ミリ
ほど
白い部分が見えるまで伸びた爪

今日も放置した
自分の


誰かの爪が
食い込んだ
自分の爪より大きく厚い/turn off.



痛みには種類が、
 ....
死んだ少女の手を取って
「タリサ、クミ」とイエスは言われた
少女よ、起きなさい
へべれけにされマワされて
中学生の少女は自殺した
夏の未明、背伸びの季節には
恋に恋する期待もあっただろう
 ....
高梁サトルさんのおすすめリスト(1411)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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夜の粉もすすけた泥- 真島正人自由詩4*10-9-27
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神奈川にて- 小池房枝自由詩710-9-25
遠いものたちが- 岡部淳太 ...自由詩710-9-23
レイス- 斎藤旧自由詩3*10-9-23
敬虔なる- 榊 慧自由詩1110-9-22
タリサ、クミ- salco自由詩11*10-9-19

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