二子玉ライズの空中歩道は
向かいの広大な更地へ伸びるらしいが
この世界不況下
行き先の着工が遅れに遅れて伸び悩み

曇天の早朝
工事途中の突端には
長い銀髪の天使がしゃがんでいる

 ....
手持ち無沙汰に見上げれば夏のような雲の動きと

山すそは無残に切り開かれ
ひとの忌み嫌うものの一切合財を

そのはらわたに黙して受け入れているのか
それとも受け入れざるを得なかったのか
 ....
時の器に
夜がすこしづつ満たされていく

眠りついた月の横顔

埋もれた砂時計の砂丘は、はだしのぬくもり
天よりふる砂を見つめては
閉塞されたガラスにふれる



砂の音はや ....
夜の境界の細いガラス線
危うく立ち 薄目をひらき
沈黙の表面張力 声は貝にねむり
とつぜんの風が雲を掃う、
月の咆哮が闇をきりさく
天秤座の右肩からこぼれ落ちる。
ことなる時間のせりあがる ....
アキアカネ つ、つ と飛んで
サルスベリの花は墓場に相応しい
しろい花 あかい花 
手に取れば 鷺草、彼岸花に似て

柿の実色づく帰り道
家々に祭禮提灯 
横腹の赤三つ巴 火の玉舞うに似 ....
かれは眠るために
夜のシャワアルウムに横になる

指と指のあいだでほそい煙になった
あの、現代的なルックのガアルを想い

ユウモラスをたっぷりふくむ
気だるい音楽のなかで

吊るした ....
昼夜繰り返される試み
この街が雨で埋め尽くされる頃
呼吸を許されたとき
空っぽの胃
歌う

泣きたい、と
ひっそりのたうつ
こんなにも女(の子)だったかと
雨粒に色を閉じ込める作業
 ....
金の入日に 繻子の黒 
金波 頭上に おわします 
思えばオーロラ 光のループ

金の入日に 銀の水輪 ゆれる人蔭 金輪奈落の水際の 
あのかた あちらに いらっしゃる

昼間 ....
今夜月は小鳥の詰まった冷蔵庫で
君は蟹のはさみの間で夢見られた砂の花
だから僕は君にバンジャマン・ペレの詩のような
曲がりくねった定規に満ちた美しいキスをする
「絶望」という名の燃え上がるバー ....
きみはもう
灰色で、
さわれば冷たかった

キャンドルを
ふきけそうとするたびに
きのうの感触がのこるなら
もうそれより先にあるもの
そのすべての秘密を知るのは、せつない

いとし ....
君がまだ小さい頃
仕事が一段落すると
すこし秋めいた アスファルトを歩いたっけ
まだ うまく喋れない君の
小さな手を引きながら
やっと歩くことのできる君にあわせ
二人で歩いていた
あたり ....
彼氏彼女という言葉を
つい使ってしまう僕らこそ
恋人、という言葉を選びたい

透明な香りのなかに
いかにも誠実な覚悟がある

修飾語が何であれ
その語尾からは
謙虚な羞恥 ....
落下する精神の一滴
不毛の砂漠が拡がる

一滴の水はオアシスとなり得ず
砂礫の隙間から地下水脈に吸い込まれる

蒸発するのでは無い。
胡散霧散するのでは無い。

現実だと認識できない ....
ケイト・トムソンの彫刻に
奇怪な地図がうつり
病んだルネサンス文学が
こころの甘さをのぞかせる

やわらかく、やさしい殺人のように
手織りのヴィンテエジキリムのうえで消えた
かけがえのな ....
か弱いものでも生きてゆける
それが人間らしさってこと

それなのに時には誰かを押しのけては前に進み出て

この一歩が生死を分けるのよね
なんて言い訳をする




世の中は悲し ....
光と闇の狭間に見える
人物の陰影
突然漆黒となる闇の陰に
ペテン師の陰惨な微笑と
神の不条理な愉悦が
垣間見える

その反対側の光は
捕縛側の甲冑の黒の光沢を際だたせ
キリストは捕縛 ....
遠野の山道/峠の途中 一本の巨大な枝垂れ桜/
 とおののやまみち とうげのとちゅう しだれやなぎにかっぱがぽつり 

春先にその桜の根元/その下で春先に相撲を取る河童一匹/
 はるさきいつも ....
Ma Jeunesse Fout L'camp     まぁ森へなんか行かない


Ma jeunesse fout l'camp     マジねぇす降る感
Tout au long d'un ....
わたくし 妖怪 おもてなし と申します
わたくしの体のほとんどの部分は 水なのでございます
人間の水分量は六割だそうですね 人って よくそれで生きておれますわね

たわいのないことを地獄 ....
9月
真夏日
ロックミシンと
直線ミシンに
電気を通わせる
いくつもの
ささくれだった傷を接ぐように
激しくも繊細に
針を打ち込む

壁に拳を壊す
いくつもの
波を立てる
 ....
ぼくに見えてる"青"と、あの娘に見えてる"青"は、"同じ青"だろうか?
幼いころや思シュン期にそんなことをぼんやりと考えたことのある人は ....
草陰の首輪
青には小さい青の花
はみ出てはこぼれ
午後に集まる


六つの爪が
頭を光に傾ける
ひらき 突き立て
つかみ 揺さぶる


二本足の飛べない生き ....
人一倍寂しがり屋なはずなのに
気がつくと、いつもひとりぼっちになってしまう

これも運命ってやつなのかな




みんなはひとつの輪になっている
それなのにわたしだけ一歩後ろに下が ....
森へ
つづく道は
つめたくて
きもちいいんだ
冬の
シーツみたいに
白くないし
深く
濡れているけど

たとえば
ビリジアンって
色が好きだった
絵の具
 ....
 あたしが初めてそいつに会ったのは、学校に上がってからでしてね。
 昔の親は貧乏に忙しくて、幼稚園児に弁当持たせるので手一杯。湯気立て
て遊ぶ子ども捕まえて、字なんか仕込む趣味もありませんでしたか ....
陽も暮れきった午後六時
買い物メモを持って靴を履く
切れているのは醤油
それから時計に入れる乾電池
八時には夫が帰宅するので
急がないといけない
台所にはやりかけのパズルが広げてある
電 ....
帰宅して電燈を点けた途端に揺れ
ちょと焦った
テレビを点けると震度3と出
8月31日までも揺らすとは
しつこいのは嫌いだ

ようけ揺れた夏だった
円高も史上初75円台に突っ込んだが
印 ....
それって国芳だろーエド・ハーディー
浮世絵パクって儲けてるエド・ハーディー
その牡丹は中国だろーエド・ハーディー
南画からもイタダキのエド・ハーディー
刺青の本場から言わせてもらうと
あんた ....
いつまでも泣いたり笑ったり出来るよう
二人で一緒になったはずなのですが
歳月と私の怠惰のため
君の目許には苦労の色が溜まり続け
随分と皺が多くなっているようです。
それでもとても奇麗だと
 ....
子供の頃、私も君も涼しい格好をして近所にある人の家の花壇に集まった。
その場所には私が誘ったのだった。
私はこのピンクの花は蜜が吸えると言って花に口を付けた。

君は私を疑って、引 ....
高梁サトルさんのおすすめリスト(1411)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
はごろも21- salco自由詩8*11-9-26
友引のひと- 恋月 ぴ ...自由詩23*11-9-26
時の砂丘- 月乃助自由詩22*11-9-25
天秤座- つむ自由詩6*11-9-25
秋幻燈- salco自由詩6*11-9-24
独立時計師の寝台の上の煙のピロオトオク- 甲斐マイ ...自由詩1*11-9-24
試み- たちばな ...自由詩1111-9-24
オーロラに包まれて- るるりら自由詩15*11-9-24
無題- ぎよ自由詩311-9-23
やさしい爪- 甲斐マイ ...自由詩2*11-9-22
エノコログサの思い出- 山人自由詩17*11-9-22
恋人- 佐野権太携帯写真+ ...8*11-9-22
一滴の水遊び- ……とあ ...自由詩8*11-9-21
キリムに綴る愛- 甲斐マイ ...自由詩1*11-9-20
自虐のひと- 恋月 ぴ ...自由詩32*11-9-19
キリストの捕縛- ……とあ ...自由詩911-9-19
河童- ……とあ ...自由詩811-9-19
フレンチ・ポップスの誘い- salco自由詩4+*11-9-19
おもてなしぃ妖怪- るるりら自由詩22*11-9-16
9月/真夏日_針仕事- たちばな ...自由詩17*11-9-16
なあ、ところで信号機のどの色が青だっけ?(交差点に差しかかる ...- 散文(批評 ...4*11-9-16
降り来る言葉_LIV- 木立 悟自由詩211-9-15
許されたひと- 恋月 ぴ ...自由詩28+11-9-12
ビリジアン- 水町綜助自由詩16*11-9-12
_を- salco散文(批評 ...5*11-9-11
船に乗る- 吉田ぐん ...自由詩2511-9-9
グラグラな夏- salco自由詩15+*11-9-7
江戸派手絵- salco自由詩8*11-9-5
約束- ……とあ ...自由詩19*11-9-5
夏の子供- 山岸美香自由詩211-9-1

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