カウンターでモーニングを
こうして毎日摂れるのは
四十年間働き続けたおかげ
払って来た厚生年金の余禄
震える指で煙草をつまみ、吸い
灰皿に戻して
まったりの店内を吹き抜けるウェイトレスが
 ....
夜更けになると
一両だけの黄色い電車が
黒い森に向けて
走り出す
鼻高山の尾根が
急角度に夜空をめざすあたりから
月が紫色のサーチライトを照らす
生き方知れずの子供たちは
ハーメルンの ....
{引用=裸足に合う着衣というのは、実質的に無い。
問題は、裸足が映える脚であるかなのだ。
例えば綿のワンピースなどは、着ている女が16歳のヴァネッサ・
パラディーとその脚ならば、という条件限定が ....
 
 
どこかで小型犬が吠えている
真夏なのに帽子を被った女性の人が
オレンジ色の自動車を運転している
ガソリンは昨日より一リットルあたり二円安い
空は曇っている、天気予報士がしゃべったと ....
夕日が
あたたかい、だなんて
思わない

ぼくがすきなのは
夕日のいろで、

物悲しそうに
かつ、凛々しそうに
ぼくのすがおは
許されている

そんな確信が、
ある

 ....
丘の上に立つと
夜空にはたくさんの発光体が
空に向って地上から降り注いでいるのが見える。

一様に
ボーっと輝いているが
明るさにはほど遠く
夜空に闇に吸い込まれて行く



 ....
「美しい日本の私」
とでも空にコピーを一本書き込みたくなる
山村の清流でせせらぎに
耳を澄ませながら
いじったタバコを一服
僕はぼんやりと山並みを眺めながら
隣から立ち上る
まるい煙 ....
今日も
まぶたの底に沈んでいる
気配を感じてまた
泳ぎながら指を固める


永遠はいちばんわかりにくい翻訳だから
爪先から這い上がってこないように塗るくちなし色の
どこにい ....
わたしが死んだら
なるべく生き物がたくさんいるところへ
なるべくそのままの状態で
置いておいてください
土にかえったり
誰かの一部になったりして
わたしはわたしの
いのちを分解したい ....
?



あなたに話をしたかった
私達がすっかり醒めてしまうまでに
いつか、あの透かし模様に浮かべていた
神様を
横たわらせた小指の こと


遙か 一瞬で過ぎ去ったものを
か ....
中三の冬に耳朶刺し安全ピン漿液{ルビ瘡=かさ}がパンクを塞ぐ

高一で曲がりいし次女称号が遅刻の女王その親教諭

筆跡を真似て風邪引き飛び歩く我ゆえ母の土曜午後飛ぶ

ひねくれたひよこが騒 ....
ことばの世界から遠ざかってしまったのは
見ようとしても見えなかったものが
見たくないのに見えてきてしまって
見えるものだけが正しいと思ってしまったからだった
気がついたときにはもう
粘着質な ....
粗食・外食続きでスタミナを欲する体が
ずぼらでストイックな私のマインドに
今日はカレーを作らせた
大量のみじん切り玉ネギを飴色になるまで炒め
コリアンダー、カルダモン、クミンシードを挽き
ニ ....
いつか飛んだ空をおぼえている
風を切ってどこまでも青い玻璃の岸辺
さかしまに映る幾千の森 草 花の密度
いつか鳴いた声をおぼえている
朝靄の彼方から裂けた絹糸のような
あれはなつかしい 切な ....
あなたは
決してわたしをゆるさなかった
はじまりの
隠しあう接触のぬくもり
黒くながれおちる髪を
手櫛でやさしく梳きながら
洩れる水を袖口に運ぶ


清潔な距離がくれた
まどろみの ....
背中が痛いよ
見上げればお月様
おなかが重いよ
だから
筋肉を伸ばしたり縮めたりするよ
今夜も
夜を着て

招けば水が湧きいずる
鏡に立木や鷲をうつしながら
わず ....
うつぶせに眠る広きもの
夢とうつつの燃えるさま
陽も月も星も遠のいて
目をつむり目をつむり行方を追う


空に書かれた余計なことから
目をそらしてもそらしても
響きは進 ....
道の脇に花火の燃え殻が落ちていて
ああ、そういえば昨日はお祭りだったな、と思いだす。
夏の歩みが
あんまり一歩一歩ゆっくりなので
なんだかもう、
ずぅっと夏の、
ままな気がしてた。

 ....
夏のお空は賑やか
雲の鯨が群なして
北さしゆっくり泳いでく

夕べ摘まれた胡瓜はポリエチレンの中
萎れた黄色の花を畳んで重い体をしんなりと
むらさきの影踊る無人販売所

朝の優しい静け ....
やがて来る引き波の底
陽気な友達は俺の両足をつかみ
俺は自分で築いた砂の城の城壁につかまるが
靴は一体どこへ行ってしまったのだろうと
考える間もなく城壁は崩れる

八月の光の中
誰も気付 ....
人は何故、殺すのか
人は何故、殺せないのか
普通の者は
殺される側への意識的感応で踏み止まる
が、普通の人間も
対象を下位に置く精神操作なしで、人は殺せるのだ
相手を敵、脅威と見做さずとも ....
お母さん お母さん
あなたは半眼の仏陀のように横たわり
黄金の仏陀のように何も見てはいない
何も聞いてはいない

{ルビΜητέρ=メーテール} {ルビμητέρ=メーテ ....
夜明け前
蒼い空に
身を削る月がいた
誰にも気づかれることのないように
まして獣たちに さとられないように
目覚めた女が背をみせる
静まり返った山森は、眠りについたまま
星をなくした夜空 ....
? 目覚め

「いい加減にしろよ田中。そんなお前見たくねぇぞ」
今朝も俺を説諭する友人、工藤の夢で目が覚めた。
俺は田中じゃない。


? 山本または山室

「ゴゥ、ゴゥ、ヤマモロ! ....
岩をめぐる路
月もまためぐる
ひとつめぐるたび
消えては現われる


つむぎ 投げ出し
雨が持ち去る
夜が来ても
暮れのままの息


雨の手足
屋根の ....
雨の季節が過ぎ
風の中から 川面から きらめく緑の梢から
いっせいに放たれてゆく
夏を奏でる音符たち
それらはゆらめき絡み合い
透明なアンセムになる

その響きに
意識を浸せば
やが ....
 傍らを男の子が追い抜いて行った。
 {引用=危ないじゃん。しつけの悪いガキ、転べばいいのに。}
 黄色いショッピングかごを取って、赤いwelcomeマットレスの上に
立った時、気づいた。3秒く ....
口語自由詩の世界を構築するために過去の詩人たちの苦悶格闘に関しては詩をよく勉強されているらしい人たちには言わずもがな なので勉強不足の私からあえて論ずる必要もない と思います。

 ところで、TS ....
雨の朝 鳥の声
傘を持つ手 昇る色
影の奥を
巡る色


水に呼ばれ
振り返り 見つめる
風の上をすぎる風
こすれては撒く光


お という声に
動く紙の森
 ....
{引用=きょうの料理 8月号}
冷蔵庫からきゅうり1本を取り出し水洗いする
小鉢にマヨネーズ適量をぶりぶりと絞り
もろみ味噌小さじ1を入れる
無ければ{ルビ甜麺醤=テンメンジャン}同量に
{ ....
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殺人の否定- salco自由詩5*11-7-27
おかあさんと一緒- salco自由詩6*11-7-24
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