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春がその鋏をもって髪を切り落とすことで
年月はまるで少女でした

幼さ故に軽々しい
その唄声は温い雨
弾むような花の手を
この手で掴む術もなく

彼女は舞台袖から飛び出すと
馬を駆っ ....
テーブルの上に世界をひろげても
あなたの森羅万象は私の目には写らない

それでも世界をひも解こうとお考えであれば
椅子に座って陽が沈むのを待てば宜しいかと

あなたはきっと待ちきれないでし ....
彼らはひたいに手をやる
私は左目をおさえる
彼らは両目でしっかりと見ている
私は{ルビ右目=ききめ}を凝らしている
{引用=左目は未だ微睡んでいる}

彼らは叫んでいる
声が脈をうち
 ....
刃をもって地図を刻んでみる
道を失った時はいつもこうする
するとそこに印しは現れ
私はようやく安心する
悩みなどない
刻まれて山となった老廃物のベッドで眠る
それは悩みではなく
  夢
 ....
そんなことはない、が
結局は開かれることなかった口の内側で吠えている

不便のないところでは
それがどんな狂犬だろうと
誰かしらがいい薬を処方してくれるでしょう
それで利口に生きていける
 ....
{引用=男は錆びて動けないし
女は感傷で傷だらけ
若者は昔から愛を知らず
皆、高熱で浮かされる}

山なんて削って高原にしてしまおう
それですべてはうまくいく
ここはどこ、わたしはだあれ ....
「箱」

部屋の中で降る雨
窓はもはや絵画
三角錐の頂上はそれほど高くはなく
そこはとても四角だった

誰かしらの手がきっかけで
箱は隙間を許し
本棚は本棚に
テレビは音を放ち
 ....
{引用=なめらかな光り、消失
それはあの人
火花散る、消失
それはあの人}

世界が基準の統計
雄大な時間のパーセンテージ
そこに私は含まれているだろうか
例えば未完成に向けて進ん ....
禁断の実を食べたのでした

僕らはよく笑う高校生でした
僕らはよく悩む高校生でした

ああ、でも赤い実を食べたばっかりに
帆船の入った瓶のように
海は小さくおさまって
ポケットの中で眠 ....
遠く山の{ルビ頂=いただき}で
待ち焦がれた炎は消え
緑立つ少年の波は
今や金色の秋に燃え
激情は嵐を忘れ
ただ思い出を吹きすさぶ

燐光、空たかく
せいのびせども
つまさき立っても ....
私がとても遠いのだと思っていた人は
すぐ目の前にありました
なぜならその人は海だったのです

必要とあれば向こうから
そうでなければひいていきます
私がどんなに駿足でも
どれだけ望みを握 ....
{引用=領域を徐々に侵してゆく不均一な煙のような
その渇きは}

意識の最も深い階層に砂の粒はあふれ
ああかつてのそこはなんであったか
今を放浪する怪物の名は私の三分の一足らず
どうして気 ....
外は今日も騒がしい
豊かな自然
沢山の人間と沢山の生き物
私は今日も窓からその変容を眺めている
それはもう毎日のように

この窓辺から遠くへ臨むことだってある
窓越しに映画を見に行ったり ....
じっと生活していると
だんだんと埃まみれになってきて
埃のおばけみたいに
手なんかもうサボテンのよう
そんな時に誰かがやってきて
ふーっと吹いて埃が舞って
おばけの中から一瞬わたしが出てき ....
乾いた舌を絡めあって
水分を奪い合い
お互い骨だけになって
風が吹くだけで
崩れてしまうような
何もない場所になって
辛うじてしがみついた
苔のように
それで誰も
足を滑らせたりはし ....
船の上で皆が天を指差している頃
私の感心はただただ音の方へ
皆が競って星を奪いあううちに
ステップは外れ
ビールはぬるくなっていること

気づかないでしょうね
むしろ離れていったのは陸地 ....
宇宙から地上へとのびる滑り台を滑り降りて僕らは生まれた

あまりはっきり覚えてないけどあの光景をもう一度見たいから

僕らは長い時間をかけてより高い宇宙への階段を登ってる
私がまだモクセイ科モクセイ属の常緑小高木だった頃
女は窓に立つ鳥でした
私がまだ荊のような神聖さを保っていた頃
女は鳥をやめ風景になりました
そんな女が周期的な区分でグラデーションを繰り返す間 ....
父は木製
母は金属製
そんなわたしの骨は木製
そしてどこか金属製

寄り添う啄木鳥
蝕む啄木鳥
偶然かわいい一羽くらい
薄い音を鳴らすときどき

黙る木製
黙る金属製
そんなわ ....
舞台の緞帳はいよいよあがり

しかしその舞台のうちで更なる幕は開かれる

改革は合わせ鏡

今や幾重にも続く世紀の幕開けに

観客は右に左に首をかしげ

出演者達は台本を忘れ

 ....
私の中の音楽達は皆
荷を詰め込んだトランクをもって出ていきました
だから今は
産まれたてのように静かです

ただ目に映る春をのぞいては
あらゆる情念は鳥のように去りゆき、今やもう海の彼方
きみの温めた卵はもう何処にも見当たらない
いづれ粉砕されるのを知りながら体温を分かち
最後まで希望と名付けることはなかった
そんなきみの熱情 ....
先天的な性質
どんなに抗おうとも
それはシーツの上での舞踏に過ぎない
反響する命の別名を半分だけ受け継ぎ
残りの半分は空気との親和にくれてやる

後天的な性質
魂である影を捨ててまで欲す ....
眩く目を瞑ってしまうほど金色のメッキ
林檎の赤を恐れ隠そうとするファントム
時の雨は降り剥がれゆくあなた達よ
今度は水を金にして流れゆく行進を

既にあるものの存在を誰が否定できよう
目覚 ....
背中に羽がついていますよ

あなた見えないのですね

忙しすぎて 首が回らないみたい


熱心に遠眼鏡を 見てらっしゃるのね

天使が見える?

それは地球を一周して あなた自身 ....
別に空が切り取られた訳じゃない
むしろ高層ビルの群れは空を望んだ形だろう
人が地上に建設した願望の手
その指先に立って手を伸ばしてもまだ届かない
屋上でも地上でも
見上げることしかできない
 ....
ひとつ花のアンビバレンス

嫉妬を誘うアマリリス

物憂気なアピアランス

砂漠のようなアンビエンス

夜に潜むアンタレス

群れる羊はアクイエス

耳打ちしたのはアスタロス
 ....
やたらと動きのよい男は
チーフを取り出して涙を拭う
そして顔を傾けて囁く
女は台本通りに今宵二度目の愛を誓い
嗚呼、悲劇などないのだ、と


そして舞台袖の暗がりでは
黒髪を撫でつけた ....
平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ

平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ

平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ

平淡な 板上の 安定した 金属の 丸い 群れ ....
{引用=先生、いかがお過ごしでしょうか。
こうして便りを書くのも久しぶりですね。
思えば立ち止まって振り返る度に、
僕はこうして先生へ手紙を書いている気がします。}


あの頃、先生がいな ....
高梁サトルさんの瑠王さんおすすめリスト(65)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
春がその鋏をもって- 瑠王自由詩9*11-4-14
血統- 瑠王自由詩3*11-3-24
左目- 瑠王自由詩311-3-17
カムフラージュ- 瑠王自由詩711-3-2
ありったけの花束を- 瑠王自由詩3*11-2-18
熱病- 瑠王自由詩911-1-4
Ten_days_of_blue__1/4- 瑠王自由詩410-11-22
scene_(without)- 瑠王自由詩6*10-9-27
赤い果実- 瑠王自由詩8*10-9-15
あまりりす- 瑠王自由詩4+*10-9-3
潮と月と人間と- 瑠王自由詩14*10-7-16
共存- 瑠王自由詩7*10-7-14
飛んでいく家の話- 瑠王自由詩5*10-7-8
埃まみれの_#1- 瑠王自由詩3*10-7-7
was_word.- 瑠王自由詩2*10-7-5
航海- 瑠王自由詩3*10-6-28
滑り降りてくる輪廻- 瑠王自由詩5*10-6-3
柊と鳥- 瑠王自由詩5*10-5-28
カストール- 瑠王自由詩8*10-5-25
緞帳はあがり- 瑠王自由詩4*10-5-21
代謝- 瑠王自由詩7*10-5-17
ほとり- 瑠王自由詩8*10-5-10
コーラルの森- 瑠王自由詩9*10-5-7
剥がれて尚も行進する金色の- 瑠王自由詩4*10-4-30
shall_have_wings.- 瑠王自由詩6*10-4-20
東京- 瑠王自由詩7*10-4-20
明日- 瑠王自由詩4*10-4-16
観劇- 瑠王自由詩9*10-4-14
群れから外れる反復- 瑠王自由詩6*10-4-11
こころについての手紙- 瑠王散文(批評 ...4+*10-4-8

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