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燃え上がる巨大な寝台列車から逃げ出すひとのいないやすらぎ


草上にレモンはひとつ落ちていてあなたのいない夜のはじまり


街中にひらく紫陽花5Fから観ている雨の降りしきる朝


 ....
ブルー問ふ京の都の古家ぬけ落ち込むぼくに空指しながら


麗しき姿であれどきみに問ふ如何なる意図や人魚の胸像


高速の指の運びに混ぜられてゆく鍵盤ももはや灰色


「色たちが心中し ....
遠き田の隅に孤独は佇みて親しきわれの呼ぶ声を待つ


白きゆり手折る微々たるゆびさきの力でわれをあやむるおまえ


君が代をふたりで唄うさつまいも甘き田舎の夏の縁側


 ....
やわらかく流れる小川わたくしのちひさな闇にきらめくひかり


クローバー探して回る少年と少女の絵画にみとれるぼくら


ぼくたちのこの関係を奪うのが風なら運び来るものも風


河原に ....
竹の子を探す少年少女らを囲む竹林千本の闇


ウミウシという生き物がいることもやがて知るのか二歳の娘


あの日きみが嫌いと言った茄子を見て疼くこころのむらさきの痣


たこ焼きのた ....
きみがまだ少女の頃はぼくもまた少年だった すれ違う駅


きみと向かいあって話した教室が世界のすべてであったあの夏


きみの吸ってたマルボロライトを吸ってみる吐き出す煙が重い七月

 ....
もう一度白い世界さ何もない何もないのさすべて以外に


聴こえるかい草原をゆくぼくたちの忘れたすべての木々のざわめき


もぎ取った翼を売ってぼくたちは生まれたのだときみに言われた

 ....
雨の日にてんとう虫を探すよりむづかしいこと考えていた


ゆれている壁の写真や金魚鉢自信を失くしたきみにゆれてる


驚いた山の紅葉へたくそなきみの手編みのマフラーそっくり


霧の ....
空中に放り投げたる自転車の車輪の下の花びらが好き


背景として描かれる枯野にてかんざし拾うそれはゆうやけ


水没す古代遺跡の燭台にふたたび炎が灯る邂逅


風邪薬ばらまく園児裏山 ....
青空は世界の王である午後にやきそばパンを買いにゆくとき


みとれてるあなたの美脚やきそばの麺の細さを味わうように


屋上であなたとふたり風に似る高鳴る胸の火災報知機


焦がれて ....
巨大な象に踏まれた早朝のグラウンドで
石灰で描かれた白いラインを挟んで
きみとぼく こんなに遠い
舞い上がる砂埃につつまれて
ほどけてゆく朝陽が
冷酷なやわらかさで広がってゆく
ここにきみ ....
丘しかない街の周りをてんねんと呼ばれるきみの自転車がゆく


「本当は円かもしれない」そう言って虹の半円探しだすきみ


ていねいに折り目をつけてあれはシャツ飛んでゆくのはアイロンですね
 ....
今赤き風船ひとつきみの手をはなれ空へと浮気なぼくら


胎動を促すごとく数々の伏線蜘蛛の巣顔にかぶれば


ソヴィエトで焚き火にあたっている少女大陸横断鉄道の窓


金魚鉢のふちで指 ....
今青き蛇の抜け殻くぐりぬけ廃墟のごとき雨の降るかも


コスモスの群がる丘で赤と青 少年少女が燃やすむらさき


錆び付いたあなたが今夜もあらわれて僕のくちびる噛んでさよなら


降 ....
死火山に松明投げるかのごとくあなたが閉ざした扉をひらく


灯台の下で探すが見つからぬ懐中電灯を持ちしあなたが


ふたりしてベンチに座りブランコの鳴き声などを聞いた十月


畑には ....
夜にしか会えないわたしたちだった合わない靴を無理して履いて


クラクション鳴らすあなたの矛先はわたしと彼女のちょうど真ん中


コーヒーを投げるあなたの手の平は薬指から冷めてゆくのね
 ....
あのひとの黒髪をみたことがない
彼女は髪の長いひと
はじめて手紙をくれたひと
姪っ子にリンゴ飴を買ってきてねと頼まれて
祭りの帰りに
「ちょっと待っててください」
と闇の中へと消えたひ ....
どっちを向いても砂浜だらけの砂
部屋が思い出砂漠しているのでゴースト バイ ゴースト バイ ゴースト
あなたが沼へ帰るというので
わたしは途方にくれる
あの森はあなたの兄を食べ
わたしの妹を ....
玄関の扉を開く真白いてのひら
その直前に十月の金木犀の香りに包まれて
ふと立ち止まるあなた
かなしみの胎動を青空に聴くことができる巨大なこすもすが咲いている森で
倒れゆく木々
その生前のざわ ....
イカロスときみに呼ばれた五月から芽吹きだしてる背中のつばさ


滑走路駆けるあなたを追い駆けて追い駆けられて閉じてゆく恋


鋼鉄の翼たたまず夜を待ちどこへ飛び立つ思春期の冬


無 ....
朽ち果てた夜行列車の寝台に
寝転んで星空を見ている
至るところが錆びていて
天井屋根はぬけたまま
よじ登る君はそのまま戻らない
仲間たちもどらない

まるで夜だ

屋根裏部屋で見 ....
連れてこられました
真っ青な部屋です
まるで深い青空のなかを
迷う小鳥のような気分にもなれ
濃ゆ過ぎる空を切り取ったような
真っ青な部屋です
君は今ごろどうしているだろう
連れてこられま ....
禁煙するために
両手をじっくりと見た
花びらが散るように
どこかで終わりが開いた
忘れていた夢が疼く朝
雨が降っているので
部屋はひどく暗かった
少し苦い珈琲を飲みながら
この行為につ ....
罪の森きみの手を取り「逃げよう」と言った途端に僕も罪人


森のなか追いかけごっこふたりして迷い込んだねもうひとつの森


瓶詰めの蝶を埋めます木の根元「飛び立つものはすべて埋めます」
 ....
蜜 蜂 や 甘 い 寝 床 は ど こ に あ る


茶 の 花 の 語 ら ぬ こ と を 飲 む ば か り


両 足 が 棒 の よ う だ と 案 山 子 か な


赤 ....
夕暮れに花を選べばひまわりが遠いどこかでうなだれている


草むらの茂みに隠れ咲いた花ひとりの兵士 目は閉じたまま


ゆっくりと開いてゆくの花びらがだからわたしは滅んでゆくの


 ....
屋上にスカート揺れてあとは空ばかりが残ってしまう学校


渡される廊下で後ろ振り返るきみによく似た少女が今も


出来すぎた出会いに怖れ隠せない手を繋ぐだけ見つめあうだけ


影追っ ....
縁側で闇を見ている妹の白いうなじが僕を呼んでる


夏野山汗ばみながら駆けてゆくゆくえふめいの妹の兄


鉄塔の錆びた階段昇りゆく100階したから姉とは呼べづ


鏡台に映る妹べにを ....
鉱 山 や 氷 河 期 抱 き 耐 え る 夏


網 戸 ご し 細 か い 夜 が 並 ん で る


盆 支 度 墓 の 間 に 間 に 少 女 た ち


盲 目 の 父 と ....
くらい部屋の中
あなたはいつからいたんですか
ずっとそこにいたんですか
さっき?さっき来たばかり?
そうですか
全然気づきませんでした 
すみません
なんだか元気がないですね
お腹がす ....
千月 話子さんの本木はじめさんおすすめリスト(32)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
とうめいな部屋- 本木はじ ...短歌1106-6-11
第三芸術- 本木はじ ...短歌1905-8-25
転向。あるいは秋のいかづちの降る- 本木はじ ...短歌1205-7-12
見上げる木蔭に思い出が降る- 本木はじ ...短歌11*05-5-13
【短歌祭参加作品】食卓までのディスタンス- 本木はじ ...短歌8*05-5-4
イエスタデイをうたって- 本木はじ ...短歌17*05-4-5
洪水反射- 本木はじ ...短歌3*05-2-22
山のあなた- 本木はじ ...短歌6*05-2-12
SENTIMENTAL_COUPDETAT- 本木はじ ...短歌18*05-2-7
若者的最高峰- 本木はじ ...短歌1204-12-12
I_can_speak- 本木はじ ...自由詩304-12-5
生活未遂- 本木はじ ...短歌604-11-6
帯色未遂- 本木はじ ...短歌1304-11-3
退色未遂- 本木はじ ...短歌2804-11-2
Sundown_dazzling_day- 本木はじ ...短歌804-10-31
Wicked_Child- 本木はじ ...短歌9*04-10-28
10_years_ago- 本木はじ ...自由詩1004-10-19
DEEPHITOFMORNINGSUN- 本木はじ ...自由詩804-10-15
閃光- 本木はじ ...自由詩7*04-10-10
ICARUS,FLYMETOTHEMOON- 本木はじ ...短歌1104-10-3
九月病_- 本木はじ ...自由詩9*04-9-25
room- 本木はじ ...自由詩1204-9-18
暫定- 本木はじ ...自由詩704-9-7
瓶詰めの森- 本木はじ ...短歌1604-8-26
秋風記- 本木はじ ...俳句804-8-18
INNERGARDEN- 本木はじ ...短歌1104-8-15
DOWNMEMORYLANE- 本木はじ ...短歌11*04-8-13
夜光中- 本木はじ ...短歌3504-7-14
夏未完- 本木はじ ...俳句18*04-7-10
着床- 本木はじ ...自由詩904-6-23

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