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藤の花ぶさが
紫の光を垂らしている
ささない蜂が
黒い尻を浮かせている
遠目に見ていた
奇跡のような幸福に
実は包まれていることを知ったのは
こんな日のことだ
藤の花ぶさが
紫の ....
人工のひかりを掻き消して
頬を青暗く染めるのは
ぼくのピアノの音だけだろう
難易度F別れの曲など弾きながら
きみ訪ねてくるのを待っている
東名高速を走りながら
....
俺ってこんな感じだ
牛に乗って
花のついた帽子をかぶって
顔だけ影を差し入れて
崖したの小道を牧歌的にゆく
そらは青いのか、曇りなのか
緑はまるで六月の闇のようで
今だによちよちやっているん ....
心根にある切実を
切実に灯るちいさな火を
リレーしながら
なにをかへとひとは継いでゆく
そのちいさな火
すべてが純潔だった
なにをかから見つめると
そのちいさ ....
これはロシアのお話です
ワーニャという女の子が
冬の森を家へといそいでいました
こんなところに?
凍えそうな恰好をしたおばあさんが
娘さん、寒くてつらいんだよ、
ワ ....
乗車率180%だとアナウンスがあった
指定がとれずに仕方なくホームに立っていた
ぼくたちはそういう刑に服する囚人だった
宇宙のどこかで
ぼくたちの身口意の業は計算され
いまここに集められてい ....
同時代をおなじ言語圏で生きているって
夜を宇宙からながめるような感じだな
いっしょうけんめい光っているよ
列島のうえにのる日本の詩人たち
人工も自然も判別なんてつかないよ
おまえたちはな ....
夏が終ります
人肌が残ります
三回くらいやったって
彼氏ではないのです
風がほどけます
秘密の鍵はごっこです
愛さけて
彼氏の知らない
足あとが ....
僕はたくさんのひとを巻き込みすぎている
それでみんなを
幸福にしているのならいいのだが
ついて来れないひともたくさんいた
僕は反省もするし、確信もするし、
でもさいごには ....